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2021年03月03日 12:22 ITmedia PC USER
限定公開( 1 )
写真![]() 「ROG Zephyrus G15」のムーンライトホワイトモデル |
3月3日、ASUS JAPANがゲーミングブランド「Republic of Gamers(ROG)」シリーズのノートPC新モデルを発表した。1月のCES 2021に行われたイベントで発表されたものの国内展開が明らかになった格好だ。新製品には、2画面ノートPC「ROG Zephyrus Duo 15 SE」や、メインストリーム向けの「ASUS TUF Gaming A17」など、気になる製品が並ぶ。
今回は、さまざまな新製品の中でも「ROG Zephyrus G15」の2021年モデルに注目したい。ROG Zephyrus G15は15.6型のWQHD(2560×1440ピクセル)ディスプレイを備える。リフレッシュレートは165Hzと高く、左右のベゼル幅は約4.6mmと狭めである。輝度は300ニトで、Adaptive Sync(FreeSync)にも対応する。CPUは最新のAMD Ryzen 5000シリーズ、GPUは発表されたばかりのGeForce RTX 3060/3080を搭載している。
非常に優秀なスペックを備えるROG Zephyrus G15だが、実際はどうなのだろうか。今回、同社からROG Zephyrus G15の上位モデル(GA503QS-R9R3080W)の実機を使う機会を得た。CPUはRyzen 9 5900HS(3GHz〜4.6GHz、8コア16スレッド)、GPUはGeForce RTX 3080(グラフィックスメモリは8GB)、メインメモリは32GBを備える、とびきりのハイスペックモデルである。想定価格は税込みで32万9800円だ。
これを使って、比較的最近のゲームタイトルである「DEATH STRANDING」や「VALORANT」をプレイしたり各種ベンチマークソフトでテストしたりしつつ、使い心地を確認していこう。
●エコシャイン塗装が施された落ち着きのある外観
ROG Zephyrus G15の2021年モデルは、「エクリプスグレー」と「ムーンライトホワイト」の2色が用意される。今回試すモデルは後者だ。
4つのレイヤー(下地/補強/着色/パール)に分かれた「エコシャイン塗装」は、さらさらとした手触りが心地いい。全体的に非光沢加工が施されているが、天板の一部に虹色に輝くパール塗装が施されており、虹色に輝いて見えるのがおしゃれだ。
本体右側面にはUSB 3.2 Type-A(Gen 2)端子とmicroSDメモリーカードスロットがあり、左側面にはHDMI出力端子、USB 3.2 Type-A(Gen 2)端子、USB 3.2 Type-C(Gen 2)端子、3.5mmマイク/イヤフォンコンボジャック、有線LAN端子や電源端子が配置されている。
キーボードは日本語配列の86キーで、テンキーやInsertキーなどを省いたコンパクトなものだ。ゲーミングノートPCにありがちな独自配列ではなく、Enterキーも通常タイプなので扱いやすい。バックライトはホワイトで、しっかりと光って、暗部でもキー内容がきちんと判別できる。
タッチパッドは滑らかな手触りで、マルチタッチにも対応している。クリックボタンはタッチパッドと一体化しており、右下部分を押し込めむと右クリックできる。2本指でスワイプすればスクロール、3本指でスワイプすればウィンドウを切り替えられる。
排気口は両側面と背面に配置されているが、今回ベンチマークソフトやゲームを起動していても、表面が熱くなって不快に感じることはなかった。一方で、ディスプレイ側はかなりの熱を持った。エアフローはしっかりと考えられている印象だ。
ストレージには、韓国SK Hynix製の1TB M.2 SSDが搭載されていた。CrystalDiskMark 8.0.1を使用して読み書き速度を計測したところ、シーケンシャル読み出しで最大毎秒3.5GB、書き込みで最大毎秒3GBという速度を記録した。NVMe規格のSSDとしては高速かつ大容量だ。有名なAAAゲームタイトルを短時間でロードできたり、アプリケーションを多く保存してすぐに起動できたりできるなど、そのメリットは大きい。
重量は公称値で約1.99kgとなる。実際に持ってみると重量はさほど感じず、リュックなどに入れて持ち運ぶのも楽な印象だ。
●3DMarkでは納得の高いスコアを記録
続いて、ベンチマークテストで本機の実力を見ていこう。まずは3DMarkとPCMark 10を使ってパフォーマンスをチェックする。
先述の通り、ROG Zephyrus G15はCPUにZen 3アーキテクチャを採用したRyzen 9 5900HS、GPUにGeForce RTX 3080を備える。特にCPUはRyzen Mobile 5000シリーズのハイエンドモデルだけに、GPUと合わせて存分に性能を発揮してくれるだろう。
まずは3DMarkを実行してみよう。今回はフルHD(1920×1080ピクセル)で描画するDirectX 12ベースの「Time Spy」と、解像度をWQHD(2560×1440ピクセル)に引き上げた「Time Spy Extreme」を試した。結果は次のようになった。
・Time Spy:9654
・Time Spy Extreme:4702
デスクトップのゲーミングPCにも匹敵する、かなり高めのスコアが出た。ROG Zephyrus G15の標準解像度であるWQHDでも好スコアをマークしており、ゲームを十分に楽しめそうだ。
続いてはDirectX 11ベースの「Fire Strike」を試す。こちらではWQHDで描画する「Fire Strike Extreme」と、4K(3840×2160ピクセル)で描画する「Fire Strike Ultra」も合わせて実行した。結果は下記の通りだ。
・Fire Strike:2万2506
・Fire Strike Extreme:1万2081
・Fire Strike Ultrta:6507
こちらも高いスコアだ。特にフルHDのFire Strikeでは優秀なスコアが出ている。
ゲームの解像度をフルHDにすると、165Hzのリフレッシュレートを存分に発揮して、かなり滑らかな画面でプレイできそうだ。
続いて、GeForce RTXシリーズの持ち味であるリアルタイムレイトレーシング(RT)機能を利用したベンチマーク「Port Royal」も実行した。スコアは次の通りだ。
・Port Royal:5925
こちらも、秀でたスコアを記録している。Port RoyalはGeForce RTX 20シリーズが発売されてからリリースされたベンチマークのため、GeForce RTX 3080を搭載するROG Zephyrus G15なら余裕のあるテストといえる。近年増加傾向にあるRT機能を採用したゲームタイトルも、十分に楽しめるだろう。
参考として、ミドルクラスPC向けの「Night Raid」とモバイル端末向けの「Wild Life」もテストした。
・Night Raid:3万9670
・Wild Life:4万449
当然だが、非常に高いスコアとなった。これからハイスペックなPCに乗り換えたい場合や、同じノートPCでももっとリッチな体験を望む人にはピッタリなモデルといえそうだ。
続いて、ゲームタイトルでのパフォーマンスを見ていく。
●「FF」シリーズのベンチも十分に動作
では、実際のゲームを基にしたベンチマークテストを試してみよう。今回は「ファイナルファンタジーXIV」と同「XV」が公開しているテストを実行した。
FFXIVベンチマーク
・標準品質(ノートPC):1万8528(非常に快適)
・高品質(ノートPC):1万7619(非常に快適)
・最高品質:1万6363(非常に快適)
FFXIVベンチマークは、リリースからかなり時間の経っている、それも負荷を可能な限り軽減したゲームのため、スコアは総じて高い。映像を見ていても止まったりチラついたりすることもなく、快適に遊べるはずだ。
FFXVベンチマーク
・軽量品質:1万4257(非常に快適)
・標準品質:1万2395(非常に快適)
・高品質:9355(とても快適)
2018年にリリースされ、ネイティブ4Kに対応した高画質かつ美しい演出が施されたタイトルのため、「高品質」では少しスコアが落ちたものの、高性能なCPUとGPUの力でAAAタイトルであっても十分に楽しめる。
●ゲームを実際にプレイして確かめる
次に、実際のゲームタイトルをプレイしてみよう。今回は4K表示にも対応していてリッチなゲームプレイを楽しめるDEATH STRANDINGとVALORANTをWQHD解像度で試したが、どちらも満足のいくパフォーマンスを発揮している。フレームレートの記録には「Fraps」を使用している。
DEATH STRANDING
DEATH STRANDINGでは「レイク・ノットシティ」周辺を「最高」「標準」「低」画質設定で、3分×3回走り回って検証した。映像に負荷がかかるエフェクトであろう「時雨」が降る場所や、表示するオブジェクトが多い遠景を眺めても、映像がカクついたりチラついたりすることはなかった。
WQHDで画質設定を最高にしても60fps以上のフレームレートを記録し、十分に滑らかな映像表示を楽しめた。2020年に発売されたPCのAAAタイトルでも、ROG Zephyrus G15は頼もしい実力を発揮してくれる。
VALORANT
続いてVALORANTを試してみよう。このタイトルを選んだ理由は、「プラクティス」の「スパイク設置」でスパイクを設置してから敵を全て倒すまでの流れで、展開がほぼ同じで検証時の条件をそろえやすいためだ。競技向けのタイトルで負荷も軽いため高いフレームレートを維持しやすく、ディスプレイのリフレッシュレートが高いマシンの性能を確かめやすいことも利点だったりする。
テストでは画質設定を「高」「中」「低」の3段階で、スパイク設置を3分間繰り返して3セット記録した。競技向けのタイトルということもあり、フレームレートは高く、非常に滑らかに動作した。描画のカク付きやチラつきもなく、フルHDより負荷が高いWQHDであってもしっかりゲームを楽しめることが分かる。
どちらのゲームも、動作させると冷却ファンが高速で回転して大きな風切り音が発生する。しかし、キーボードが熱くなって触れないような状態にはならない。特にDEATH STRANDINGでは、1時間以上プレイしていても「少し温かいかな?」程度だったため、標準搭載のキーボードでゲームを遊ぶ際も熱の心配はない。
●日常使いでも快適に使える
では、日常的に使うブラウジングやオフィスソフトのパフォーマンスをチェックするPCMark 10を実行してみよう。今回は、通常のテストに加えてゲーミング性能も合わせてチェックする「Extended」テストも行った。合わせて、ノートPCということで、バッテリーの駆動時間を計測するテストのうち「Modern Office」と「Gaming」のシチュエーションも実行した。
結果は以下の通りだ。
PCMark 10
・総合:6693
・Essentials:9388
・Productivity:9135
・Digital Content Creation:9488
PCMark 10 Extended
・総合:8830
・Essentials:9386
・Productivity:1万77
・Digital Content Creation:9493
・Gaming:1万8300
バッテリー駆動時間
・Gaming:1時間5分(バッテリー残量は3%)
・Modern Office:7時間40分(バッテリー残量は3%)
PCMark 10では、主にCPUの性能が結果を左右する。Ryzen 9 5900HSを備えるROG Zephyrus G15は、かなり高めのスコアを記録した。特にオフィス系ソフトを試す「Productivity」と、3Dグラフィックス処理などのクリエイティブ系アプリの使い心地を計測する「Digital Content Creation」のスコアは特筆すべきものとなっている。Ryzen 9 5900HSの優秀な性能がうかがえる。
バッテリーの駆動時間は公称値で約11.6時間(JEITAバッテリ動作測定法Ver.2.0)をうたっているが、実際にアプリを実行しながらだと7時間強、ゲームで遊ぶと1時間程度という結果となった。電源のない外出先で仕事をしたり、気になったアプリの更新を少しチェックしたりする、といった使い方なら十分にこなせる。
●非常に高い性能を発揮できるノートPC
以上のように、ROG Zephyrus G15はノートPCでありながら非常に高い総合性能を備え、優れた放熱機構の力で標準搭載のキーボードでも長時間のゲームを楽しめる。クロック周波数が高めなRyzen 9 5900HSと、グラフィックス処理能力の高いGeForce RTX 3080はゲームだけでなく、日常使いにおいてもしっかりと能力を発揮できる。
普段のPC利用において、何よりうれしいのはキーの配列(レイアウト)だ。日本語配置ですっきりとしたキーボードは打つ際に迷いにくく、Deleteキーも右上部分に配置されているため、Back Spaceキーとあわせてタイプミス時の修正で困らない。
最近は、キーボード部分に電源ボタンを配置するノートPCが多い中、ROG Zephyrus G15では従来モデルと同じ位置に専用のボタンとして備えている。筆者はこれまでに、「キーボード内にある電源ボタンをDeleteキーと間違えて押してしまい、作業が水の泡になる」という現象を幾度となく経験している。しかし、ROG Zephyrus G15ではそれが起こり得ない。それも大変好印象だ。
本製品は省スペースでゲーミングPCを運用したい人だけでなく、比較的長持ちするバッテリーを生かして、喫茶店やファミリーレストランのような外出先で仕事をしないと落ち着かない、といった人にもお勧めできる。高価ではあるが、テレワークや在宅勤務が普及したこの時代に、思い切って買い換えてみるのもアリだと考える。
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