遠藤航と長谷部誠に共通する強いメンタルと欧州で成功するためのスキル

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2021年03月04日 06:21  webスポルティーバ

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福田正博 フットボール原論

■これから終盤戦に入っていく、ヨーロッパ各国リーグ。激しい順位争いが行なわれるなか、現在の日本人選手のプレーぶりはどうだろうか。活躍している選手は誰か。福田正博氏に解説してもらった。

 遠藤航(シュツットガルト)がブンデスリーガ第23節のシャルケ戦で、リーグ初ゴールとなった先制点を含む、2ゴール2アシストの大活躍を見せた。




 これによって攻撃面がクローズアップされる格好となったが、今シーズンのプレーを振り返れば格段の驚きはない。「あれくらいできるレベル」というのが正直な感想だ。

 今シーズンから初めてブンデスリーガ1部を戦っている遠藤だが、開幕当初からボランチとしてリーグでも指折りの評価を受けている。1対1のデュエルでの勝敗を示すスタッツで、リーグ最多の300回超えを記録。ボールを奪い、攻撃に転じる起点となる部分がフォーカスされてきた。

 しかし、遠藤が昨シーズンから大きく成長したのは、そのあとの動きにあると見ている。ゴール前へと攻め上がり、シュートシーンにも顔を出すようになったことだ。こうした動きは日本代表の試合でも発揮されている。

 ゴール前に押し込んだあと、相手にボールを奪われても、遠藤がバイタルエリア(ペナルティーエリア手前)付近で再びそのボールを回収することで、2次攻撃、3次攻撃が繰り出せるようになった。

 日本代表にとって遠藤の充実ぶりは大きい。これまでボランチの軸は柴崎岳が務めてきたが、これからは遠藤が中心に座るのではないかと予想する。守備力に秀でた遠藤を置き、そのパートナーには対戦相手に合わせて特長の異なる選手を使い分けていくのではないか。

 シュツットガルトは第23節終了時で10位。昇格1年目と考えればよくやっている。ただ、その中心選手である遠藤にはもう一段、二段高いレベルのチームでプレーしてもらいたいところだ。

 今シーズンに受けている高い評価を考えれば、ヨーロッパリーグ(EL)やチャンピオンズリーグ(CL)出場を狙うレベルのクラブからオファーがあっても不思議はない。だが、ネックになりそうなのは遠藤の年齢だろう。2月9日に28歳になったが、20歳前後でビッグクラブへの階段を上り始めるヨーロッパサッカーにおいては、若いとは言えない。

 そうしたなかで遠藤が今オフにレベルアップできるクラブへと移籍するためには、今シーズンの残り試合で定評のある守備力を落とさずに、ゴールをさらに決めていってもらいたいと思う。そうすれば自ずと道は開けるはずだ。

 欧州や南米の選手に比べて、日本選手は成長のピークが遅い傾向にあると感じている。もちろん相応の努力をしている選手に限るのだが、逆の見方をすれば、それゆえ息の長い現役生活を送る選手が少なくない。それを顕著に体現しているのが長谷部誠(フランクフルト)だと思う。

 今年1月に37歳になったが「年齢が高いわりに頑張っている」というレベルではなく、プロの世界の厳しい目のなかで、プレーが高く評価されているのだ。それは、長谷部が高い目的意識と自身を律する精神力を持っているからこそである。

 今季の長谷部は、序盤はリベロで出場していたが、第14節のレバークーゼン戦でジブリル・ソウと中盤の底でコンビを組むと、以降はボランチに定着した。長谷部が中盤の底で構えることでチームに安定感が生まれ、改めて存在感の大きさを示した。

 彼はプレーそのものもすばらしいが、キャプテンを任されていることからもわかるようにドイツ語でしっかりコミュニケーションを取れることが大きい。それによって的確に指示を出してチームをまとめている。海外育ちではない長谷部が言語を操れるのは、トレーニングの賜物。これから海外でサッカー選手として食べていこうとしている若い日本人選手には、長谷部が身につけたこうしたスキルを最も見習ってもらいたいと思う。

 長谷部が37歳にして活躍していることは、遠藤にとって後押しになる可能性はある。日本人だからといって誰もが長谷部のように歳を重ねても輝けるわけではないし、長谷部自身の努力も見落としてはいけないが、遠藤は長谷部に勝るとも劣らないほど目的意識が高く、そこに向けて努力をしてきた。だからこそ、長谷部が活躍すれば、同じような強いメンタリティーを持つ遠藤を評価する強豪クラブが現れるのではないかと願っている。

 フランクフルトでは、鎌田大地も存在感を放っている。しかし、同じチームの長谷部に比べるとまだ甘さを感じてしまう部分もある。その理由は、トップ下で起用されながら、得点への貪欲さが見られないことだ。ヨーロッパでこのポジションを任されたら、得点こそが評価の基軸。それを本人もわかっているはずだが、アシストへと向かう傾向が見られる。このあたりを改善できれば鎌田の評価はもっと高まっていくはずだ。

◆冨安健洋の移籍先はプレミアの可能性大。出場記録ストップもいい機会だ>>

 冨安健洋(ボローニャ)は世界的に見て、日本人選手で今もっとも評価が高いのではないか。昨季はボローニャで右サイドバックとして起用され、今季はセンターバックでスタートしたものの、攻撃力を生かすために再び右サイドバックで使われながら試合出場を重ねている。

 2月20日の第23節サッスオーロ戦まで全試合にフル出場したが、これはセリエAのフィールドプレイヤー全選手で唯一。第24節のラツィオ戦を前に故障して全試合出場は途切れてしまったが、それまでの起用のされ方からもシニシャ・ミハイロビッチ監督からの信頼と期待の厚さが伝わってくる。

 冨安は今年11月で23歳になるが、シーズンオフに新たなステップアップを果たすのは間違いないだろう。どのリーグのクラブに移籍するかは楽しみなところだが、来季はELやCLの舞台で冨安のプレーが見られるのを心待ちにしている。

 その冨安のいるセリエAでは、吉田麻也(サンプドリア)も存在感を示している。サンプドリアはボローニャと同じく10位前後を上下しているが、そのチームで吉田はスタメンを確保している。途中出場もあるが、そうした試合でも攻守でしっかりアピールし、自身の評価を高めている。

 吉田の場合は、これまでオランダやイングランドでの経験があるだけに、どんな使われ方をしても、自身がすべきことを見失わない強みがある。そして32歳になっても新たな舞台に挑戦するハングリーさも持ち合わせている。日本代表のキャプテンが、守備の国と言われるイタリアでどんなエッセンスを取り入れ、今後どう変わっていくのかは楽しみでもある。

 そのほか、今季はベルギーリーグで14得点を挙げている、シント=トロイデンの鈴木優磨、ゲンクの伊東純也や、ベールスホットの鈴木武蔵らは、結果を出して評価が高まっているのではないかと思う。日本人選手にとってヨーロッパサッカーの玄関口となるベルギーリーグからステップアップして暴れてくれるのを期待している。

 そのためにもシーズン最終盤に向かうここからが、すべての選手にとって正念場と言っていい。高い注目をされながら苦しんでいる久保建英(ヘタフェ)や南野拓実(サウサンプトン)を含め、全員が来シーズンにつながるプレーをしっかり発揮してくれることを願っている。

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