洗濯機と子どもの事故、ドラム式と縦型の盲点「一番危険な時間帯」チャイルドロック、購入前に使い方確認を

77

2021年03月04日 07:00  ウィズニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ウィズニュース

写真ドラム式洗濯乾燥機は、チャイルドロックかけ忘れに注意を
ドラム式洗濯乾燥機は、チャイルドロックかけ忘れに注意を

新生活に向けて新しく買う家電が増えている季節です。幼児のいる家庭で気になるのは洗濯機の事故です。ドラム式洗濯機には子どもが入り込んでしまう心配があり、縦型は子どもがおぼれてしまうかもしれない……。情報がネット上にあふれ、どれを信じたらいいのか分からないという悩みも生まれています。洗濯機の安全について、専門家に聞きました。

洗濯機の子どもの事故防ぐためにここをチェック 使う前に気をつけるポイント

対策は何重にもかけて
――私の家庭の場合、洗濯機を購入するときに、ドラム式か、縦型かで迷いました。ドラム式は「放り込んだら洗濯と乾燥をぜんぶやってくれて便利」という利点があります。一方で、安全ロックを付け忘れたことにより、子どもが入り込む事故も聞きます。縦型も、小さい子どもが溺れるというのを聞いたことがあります。洗濯機を使うときに大人が注意すべきことはありますか。

話を聞いたのは、小児科医の渡部基信さんです。


ドラム式洗濯機による事故の報告はあります。子どもが中に入って出られなくなり窒息することがあるようです。また、縦型の1槽式、2槽式の洗濯機だから安心・安全というわけではなく、運転中に上から覗けば中に落ちて溺れてしまう可能性もあります。


対策は、何重にも重ねて行わなければなりません。


まず、ドラム式については、洗濯機の扉が開かないような対策が必要です。チャイルドロック機能を使うことです。また、簡単に子どもが開けられないように、ホームセンターで売っている「ゴムバンド」などの製品を使ってロックする方法もあります。

・さらに、洗濯機のある部屋のドアも子どもが入れないよう、鍵をかけるようにすると良いでしょう。

・もちろん、洗濯機の前に子どもが登れるような台などは置いておいてはなりません。

また、子どもが言葉が分かるようになったら、「ここは遊ぶところではない」と普段から声かけをすることも大切です。


大人がずっと子どもを見張っていなければならない、というのは家庭内ではまず不可能です。事故というのは、普段はあり得ないことが重なって起きてしまうのです。たとえば、その日に限って上の子が風邪を引いていて看病をしていて下の子から目を離してしまった、などです。対策は普段から当たり前にできるよう、習慣づけておく必要があります。万一大人が目を離している場合でも、事故が起こらないような工夫が大切です。防犯対策と一緒と考えてください。


子どもの年齢・発育・発達を考えながら、家庭内の身近な危険について、常日頃より検討することが基本です。子どもの成長は大人が思っているよりも早いです。きょう出来なかったことが明日にはできるようになるため、それに伴い家庭内の危険の種類も変わってきます。


子どもの成長に合わせ、どんな危険があるのか予測して対策を取っておく必要があります。

小児科学会のホームページの「Injury Alert(傷害速報)」で家庭内での事故の報告を公開しています。参考にして下さい。

洗濯機に興味持つ理由は
――子どもがドラム式の洗濯機に興味を持つのはなぜでしょうか。



家庭内で子どもたちがどんな所に興味を持って動き遊ぶのかについて、私は1歳前の子どもにカメラをつけて、子ども目線で分かるよう調査しました。その調査では、子どもは大人が忙しいときに、普段触れない大人のバッグや鍵を触ったり、炊飯器に手を伸ばしてみたりしていました。

いつも遊んでいるおもちゃは飽いてしまっているのか余り興味を示しません。面白いものを求めて、常に子どもは家中を探索しています。

ドラム式洗濯乾燥機は、押したり引いたりしてドアが開き、子どもの興味を引きやすい構造です。中に入りやすくなっており、小学生以下の子どもはすっぽり入ってしまいます。

さらに重要なのは、大人の死角になりやすい洗面所などの場所に洗濯機が設置してある点です。大人の目が届かない所にあるために、事故の予防や事故の早期発見が出来ず、重大な結果を招くことになります。




――家庭内で事故が起きやすい状況はあるのでしょうか。



家庭内の事故は、夕方に多い傾向があります。

夕方は、夕ご飯を作ったり、家事が立て込み大人が忙しくしている時間です。また、働いている大人がまだ帰ってくる時間帯ではないため、ワンオペになりがちです。大人が忙しく子どもから目を離している間に、子どもは家の中で面白いものを探して徘徊しています。

夕飯時に事故が起こりやすい背景には、多くの家庭では家事も育児も夕方1人の保護者が同時に行わなければならない、という社会の問題としての側面があります。「夕飯を作らなくては」「お風呂を早く入れなければ」という意識の中で、子どもへの注意が疎かになってしまいます。

負担や責任が一人にかかるようなことはないようサポートが必要なのではと痛切に思います。

メーカーも事故防止の工夫をしています。消費者も、洗濯機に限らず冷蔵庫、車、家などの購入時には、特に小さな子どものある家庭で「子どもの安全」も選ぶ基準に加えていただけると幸いです。

何度も起きた死亡事故
ドラム式洗濯乾燥機の事故は過去に何度も起きており、朝日新聞でも報道されてきました。

2008年以降、米国や韓国でも子どもが洗濯槽に閉じ込められ、死亡する事故が相次いでいました。

2015年6月には東京都青梅市の住宅で、ドアが閉じた洗濯機の中で7歳の男児が死亡した事故がありました。内部には取っ手などはなく、ドアは内部から開かない仕組みで、密閉された空間で窒息死したとみられています。

2015年の青梅市の事故後、各メーカーは安全対策を強化し、閉じ込められても内側からドアを開けることができる「閉じ込め防止機能」を付けた機種も販売されました。しかし、2018年にも死亡事故が起きました。当時の報道によると、この「閉じ込め防止機能」付きの機種は数が少なかったといいます。


2018年1月27日に、大阪府堺市の住宅で5歳の男児が死亡。発見当時、洗濯機は動いていない状態で、ドアは閉まっていたといいます。チャイルドロックの機能が付いていましたが、発見時はこの機能は使われていませんでした。

「メーカーもっと知恵を」
子どもが入り込んでも脱出できるよう、2018年5月25日に電気用品安全法が改正されました。「ドラム式洗濯機の前面ドアが内側から開けられる構造であること」という項目が追加され、義務化されました。

子どもの事故を防ぐために、科学的・工学的視点から分析し、防止策を考える、日本技術士会「子どもの安全研究グループ」の森山哲さん、近藤訓さん、瀬戸馨さんの3人はこの「閉じ込め防止機能」の安全対策がまだ不十分だと指摘します。


「この法改正は、子どもが閉じ込められたドラム式洗濯乾燥機から自力でドアを押し開けて、脱出できることを前提にしたものです。あくまで、脱出の手段の一つを準備することに過ぎません」

「また、中に閉じ込められて全く身動き取れない状況には対応出来ていません。子どもが中に入れない、入る動機を除去する、など、 メーカーの設計者が知恵を絞っていただきたいと切に望みます」

ドラム式洗濯乾燥機の事故原因の調査を担当した近藤さんは「閉じ込められたときの体勢はまちまちです。足から入るかもしれないし、お尻から入るかもしれない。色々な体勢が考えられる中、必ずしも内側からドアを押し開けることができるとは限らないのです。さらに、体勢によっては肺が圧迫され、窒息の可能性があります」と危惧しています。

洗濯機種類別の対策は
洗濯機種類別の対策、購入時のポイントを、日本技術士会子どもの安全研究グループに取材しました。



<ドラム式洗濯乾燥機>


【危険なポイント】
・縦型の洗濯機よりも大きいため、小学生低学年の子どもも簡単に入り込めてしまう。これまで中に入った子どもが閉じ込められたことによる窒息死の事故が起きている。

・入り込んだ際に体勢によっては肺が圧迫される。

・「内側から開けられる構造」があったとしても、中に入ってドアが閉まった場合、扉を自力で開けられるかどうかは、中に入ったときの体勢に左右される。


【対策】
・使用後は子どもが中に入れないよう、必ずチャイルドロックをかける。


・さらに、中に入ってしまった場合に備えた「内側から開けられる構造」がついたモデルを使う

・扉の前に登れるような台を置かない。


【購入時の注意点】
・法改正(2018年)後の内側から開けられる構造のものにする。

・大人にとってもチャイルドロックをしやすいかどうか、使い方を購入前に販売店で聞いて実際に操作して確認する。

(普段から使う際、チャイルドロックの使い方が複雑なため、大人が面倒に思ってしまっては習慣づけることができず、ロックをし忘れて事故につながるため)




<1槽、2槽の縦型洗濯脱水機>


【危険なポイント】


・幼児まで…子どもは、立てるようになったころが特に危険。水がたまっていた場合、台があればのぞき込んで中に転落、溺れてしまう。


・中学生や高齢者…脱水槽が回転中は、ふたにロックがかかり開かなくなっている。しかし、経年劣化により、古い洗濯機は、ロックが解除されてもまだ脱水槽が回っていることがある。誤って手を中に入れると、洗濯物が指に絡みつき指を切断するけがをする。使い方に慣れていない子どもや高齢者などが指先を失う事故に遭うケースがある。


【対策】


・幼児が溺れないために、使わないときは、中に水をためて置かない。つけ置きなども乳幼児がいる自宅では避ける

・洗濯物が指に絡みつかないよう、使用時、しっかり脱水槽の回転が止まったことを確認してから手をいれる。蓋が開いたからといって無意識に手を入れると危険。



【購入時の注意点】
脱水中に脱水槽のふたのロックがかかるものを選ぶ。



        ◇


渡部基信さん

わたなべ もとのぶ  1965年6月9日生まれ。 同志社大学赤ちゃん学研究センター副センター長、日本小児科学会小児科専門医、医学博士 臨床心理士、日本眠育推進協議会理事。 1993から2002年まで福井赤十字病院小児科、2006年からは、現在の医療法人社団医聖会学研都市病院の小児科で勤務。


        ◇


公益社団法人日本技術士会登録 子どもの安全研究グループ


2009年設立。子どもの事故を減らすための活動に取り組む、科学技術の専門家である技術士を中心とした研究グループ。約20人。傷害事例を技術的に調査し、製品や環境の改善への提言をするほか、子どもの安全に関わる国際規格「ISOガイド50」の普及に取り組んでいる。日本技術士会会長表彰(2012)、Safe Kids Award(2019)受賞。安全工学シンポジウム(日本学術会議主催、2012、2017)発表。


子どもの「安全や健康」について、周りに聞きにくいことや今更聞けない「#今さら聞けない子どもの安全」への質問を募集しています。「お寿司っていつから食べていいの?」「ベランダから落ちる事故を防ぐには?」など、実際にあったことや、もやもやしていることを「#今さら聞けない子どもの安全」をつけてツイートしませんか?

このニュースに関するつぶやき

  • そもそも子育て世代が斜めドラム式洗濯機を使っているのが間違いだし、少しばかり心理的恐怖を与えてでも危ないことについてはしっかりと躾が必要。
    • イイネ!2
    • コメント 0件
  • 自分が子供の時に洗濯機に入ろうと思ったことが全く無かったので、洗濯機で溺れる子供の思考が全く理解出来ない。
    • イイネ!35
    • コメント 2件

つぶやき一覧へ(55件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定