コロナ禍のお花見スタイルとは? クルーズ船や香りの活用も

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2021年03月05日 17:00  AERA dot.

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写真(週刊朝日2021年3月12日号より)
(週刊朝日2021年3月12日号より)
 満開の桜を愛でながら、大勢で酒を酌み交わしワイワイ語らう──。今年もそんな花見は我慢するしかない。だけど、それでもやっぱり春になったら花見がしたい。“新しいお花見”スタイルとは。

【一覧表】今年はオンライン花見も! 2021年春版 お花見の楽しみ心得はこちら

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 露店で桜を買ってみた。10センチほどの苔玉に、桜の枝が挿し木のように植えられたもの。

 春が来れば、やはりお花見をしたくなる。しかし、昨春は、新型コロナウイルス感染拡大にともなう自粛要請を受け、大勢の花見客でにぎわう公園や河川敷など人気花見スポットが閉鎖されたり、花見に関する祭りやイベントも軒並み中止になったりした。

 緊急事態宣言は解除の方向へと向かっているとはいえ、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は、歓送迎会や卒業旅行、そして花見にともなう宴会などの自粛を呼びかけた。都内最大規模の桜祭り「千代田のさくらまつり」をはじめ、都内でも複数の桜や花見に関するイベントの中止がすでに発表されており、2年続けて春の風物詩は我慢ムードだ。

 新しい生活様式にのっとった、“新しいお花見”の楽しみ方はないものか。マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏は、「あくまでも少人数で」という前提のもと、まず【散歩花見】というスタイルを提案する。

「大人数で座って“宴会花見”はできませんが、千鳥ケ淵や目黒川沿い、東京ミッドタウンなど、家族やカップルでそぞろ歩きしながら、花見をするというのが今の楽しみ方ではないでしょうか。夜桜も20時までなら楽しめそうです。場所によっては短時間ならベンチなどに座れるかもしれません」

 桜の見えるレストランの個室や景色の良いホテルのテラスなど、密を避けた空間で楽しむ【隔離花見】もおすすめだ。

「屋外でも、透明のビニールハウスのようなテントやバルーンの中に入ったり、アクリル板の間仕切りで対策した仮設ブースからのお花見もありかもしれませんね(笑)」(西川氏)

 貸し切りクルーズ船で目黒川沿いに咲く桜を船上から眺めなからドリンクやフードを堪能できる「目黒川お花見CHANDONクルーズ」という優雅なプランにも注目だ。プランを展開するアニバーサリークルーズには、家族や仲良しグループなどからの予約が、すでに昨年よりも多く入ってきているという。

「オープンデッキのクルーズ船なので、換気も安心ですし、飲食時以外のマスクの着用やアルコール消毒、検温など、対策も万全のうえで開催いたします」(担当者)

 昨春は、自粛が叫ばれるなか、安倍昭恵夫人が有名人らを招いて私的な花見を行っていたことが問題視された。今年も、ワイワイやる花見はのぞまれないだろう。そこで、お花見の名所などに足を運ばず、筆者のように桜を買う【購入花見】という選択もある。

「もちろん、家で楽しむために、どこかの枝を勝手に切ってはいけません(笑)。需要があるからと、ネットのフリマアプリで切った枝を売るのは窃盗です」(西川氏)

 生花大手の日比谷花壇でも、桜関連の商品は、自宅で桜を楽しむ人の増加とともに、注目を集めているという。今年は、つぼみからゆっくり長く楽しめる、鉢植え型の商品の人気が高い。

「外出自粛が続く中、おうちで育て、おうち時間をより充実させるような自宅向けの桜商品が好調に推移しています。テーブルなどに飾りやすい、ミニブーケも人気です」(広報担当者)

 DVDや動画、ライブカメラによる配信、さらにはVRで臨場感ある3D映像など、【映像花見】というスタイルも、今は幅広い選択肢がある。都内のテレビ関係者のAさんは、趣味のジョギングで訪れた先で咲く桜をカメラに収め、それをスライドショー形式で流すことで、お手製の「桜ムービー」を作成して楽しんでいる。

「テレビやパソコンのモニターもいいですが、安価なプロジェクターでも壁に映せば、さらに大迫力で楽しめそうですね」(西川氏)

 コロナ禍の中、ZoomやTeamsといった、ウェブ会議システムを用いた「リモートワーク」が、昨年から一気に浸透した。この機能を活用し、離れた場所から複数でのコミュニケーションが可能となった「リモート飲み」も流行した。花見もリモートで楽しむ、【オンライン花見】の可能性も、ますます広がりそうだ。西川氏は言う。

「大人数がリアルに集まって楽しむことは、まだまだしばらくは難しいです。大勢で酒を酌み交わし語らうことが花見の一番の楽しみだという方も多いでしょう。今は、少し我慢して、リアルに集まらず、画面上に桜の映像を流したり、参加者の誰かの家から見える桜を映したりしつつ、オンライン上で楽しく語らい、飲食を楽しむのがおすすめです」

 東京都国立市が開催する、今年で44回目を数えるイベント「くにたちさくらフェスティバル」は、昨年は中止となったが、今年はウェブ上での開催を予定している。フェスティバル実行委員会の小林寛事務局長は言う。

「なんとかして開催できる形はないかと模索しました。例年ステージで行われていた踊りの配信や、協賛店舗の紹介など、さまざまなコンテンツを予定しています」

 映像やオンラインでのお花見に際して、西川氏がぜひ試してほしいことがあるという。

「それは香りです。このようなお花見で、目や耳は楽しめますが、香りを感じることはできない。アロマやお香で演出するのもいいですし、桜の香りがする飲み物やスイーツをいただくなど、脇役である香りの要素を加えることで、気分がいっそう高まります。コロナに感染すると嗅覚が奪われることが少なくありませんが、こういった、いわば“エア花見”のときにも、香りも含め五感で楽しむ本来の魅力を失いたくないですね」

 冒頭の桜、早咲きの品種のようで、日々春めいてくるとともにつぼみはふくらみ、2月下旬、花が咲いた。ちょっと先取りで、まずは自宅でのお花見を楽しむ予定。(本誌・太田サトル)

※週刊朝日  2021年3月12日号

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