81歳にして中村玉緒が「インスタデビュー」 苦難に満ちた人生を支えた「2人の恩人」

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2021年03月06日 16:00  AERA dot.

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写真81歳にしてまだまエネルギッシュな中村玉緒
81歳にしてまだまエネルギッシュな中村玉緒
 昨今は、パートナーの不倫に泣かされる女優や女子アナが世間の話題になることが多い。だが、愛する夫の浮気に借金、逮捕といった逆境をものともせず、苦労を笑いに変えて、明るくポジティブに人生を謳歌してきた女優がいる。中村玉緒(81)だ。

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 父親に人間国宝の中村鴈治郎を持ち、歌舞伎界の名門のお嬢様として生まれ育ち14歳で女優デビューした玉緒は、俳優・勝新太郎から熱烈な求愛を受けて22歳の時に結婚。その後は、芸能界屈指のおしどり夫婦として知られ、今でも「生まれ変わってもあの人と一緒になりたい」と語るなど、勝を愛し続けている。

 とはいえ、これまで歩んで来た道はけっして平坦なものではなかった。夫は豪放磊落なイメージと愛嬌のある人柄で愛された昭和を代表する大スターだけに、結婚後も自然と多くの女性たちがその周りには集まった。

「当時は『女遊びは芸の肥やし』なんて言われていた時代でしたし、今どの人と付き合っているのか分からないくらい相手も多くて、やきもちを焼くヒマがなかったんです。それに私は15歳であの人と出会って、他にほとんど恋愛というものをしないまま結婚したので。他の男性と比べようもなかったですし、それが当たり前という感じでしたね」

 困難は夫の女性関係だけではない。記者会見での「もうパンツは履かない」という“迷言”が生まれた米ハワイでの麻薬所持による夫の逮捕、勝の映画制製作への徹底的なこだわりと毎晩繰り広げられる豪遊による総額14億円もの借金など、さまざまな逆境が玉緒の身に降りかかる。そんな中、1997年に最愛の夫だった勝は旅立ってしまった。

 それでも、玉緒は毎月500万円ずつ20年以上かけて借金を返済し、80歳を超えた今も女優、タレントとして芸能界の最前線で活躍している。

「私はお金に恵まれていないけど、人には恵まれていると思います」

 こう話す玉緒が明かすのは、2人の恩人の存在だ。

 1人はエリザベス・テイラー、グレース・ケリーらのドレスを制作するなど日本を代表する友禅作家として世界中で活躍する千地泰弘氏。

 千地氏の勧めで自身がデザイン、プロデュースする着物ブランド「中村玉緒のきもの」を立ち上げると好評を博し、以来30年続く人気ブランドへと成長した。

 もう1人が、今年1月にも放送された毎年恒例の正月特番「さんま・玉緒のお年玉! あんたの夢をかなえたろかSP」(TBS系)でもタッグを組んでいる、お笑いタレントの明石家さんまだ。

 さんまとの出会いは30年ほど前。夫の事件の影響でテレビ出演を控えて舞台やショーを中心に活動していた玉緒のもとに「さんまのまんま」(フジテレビ系)のゲスト出演のオファーが届いたのだ。

「その頃、私は女優しかやっていなくて、バラエティーというものがよく分からず、事前に台本を用意して頂いたんです。でも、さんまさんは『お母さん、台本なんていりまへん!』と途中から無視し出して。それで私が『あきまへん!』と口喧嘩みたいになったら笑いが起こったんです。それに当時は借金で宝飾品をほとんど手放していて、唯一残っていた母からもらった指輪をしていたのですが、ちょうどけがをして別の指にばんそうこうをしていたんです。そしたら、さんまさんから『立派な指輪を2つしていると思ったら1つや!』とツッコまれて思わず笑ったら、その(私の)独特の笑い声がものすごくウケてくれたみたいです」

 こうして新たな才能をさんまから見いだされた玉緒はバラエティータレントとしてブレークし、数多くの番組から出演オファーを受けることになる。

 それから四半世紀以上が過ぎた現在も2人は番組で共演する仲だが、玉緒は「私にとって、さんまさんとの出会いは一生涯忘れられません。さんまさんは私のことを『お母さん』と呼んでくださるのですが、それがとてもうれしいんです」と目を細める。

 そんな玉緒は、今年に入ってからも「さんま・玉緒のお年玉! あんたの夢をかなえたろかSP」や「ありえへん∞世界『美容整形&究極ダイエットで大変身!世界衝撃事件』2時間SP」(テレビ東京系)に出演するなどエネルギッシュに活動。

 プライベートでは長年の趣味であるパチンコに加えて、今年1月からはなんと81歳にしてインスタグラムを始めたという。

 玉緒のインスタグラムには自身の動画や日常の様子などが公開されているが、インスタを始めたきっかけについてこう明かす。

「スタッフから多くの方がやっていらっしゃることを耳にするようになり気になりだしました。実際にやってみて、ハートマークやコメントなど反響があるとうれしいもの。周囲の方に『インスタグラムに載せていいですか?』と直談判してみると喜んでくださるので、やりがいを感じています」

 さらに、「YouTubeも始めてみようと、協力してもらっているスタッフさんが生配信などを持ちかけてくださる。想像がつかないけど、面白そうだと思っています」と今後の抱負も語る。

 YouTubeに関しては、昨年12月に放送された「爆笑!明石家さんまのご長寿グランプリ2020」(TBS系)で、玉緒は番組とのコラボ企画としてYouTuberデビューを果たしている。

「初めてのYouTubeは何だかよく分からないままでした。バラエティーでは女優とは別のもうひとつの私をたくさんの方に知って頂けました。元気のある今はYouTubeもやってみて、若い皆さんにももっと知って頂いて、お年寄りからお子さんまで一緒に元気になってもらえるような作品が作れたらと思っております」

 何かと暗い話題の多い昨今だが、どんな試練や困難に遭遇してもめげることなくエネルギッシュに前を見据えて歩み続け、81歳になった今でも新しいことにチャレンジし、前向きに楽しもうとするその姿勢からは学ぶべき部分も多そうである。(取材・文=芸能評論家・三杉武)

●中村玉緒(なかむら・たまお)
 1939年7月12日生まれ、京都府出身。53年に「景子と雪江」で映画デビュー。女優として数多くの映画やドラマ、舞台に出演し、「ブルーリボン賞」や「毎日映画コンクール」、「日刊スポーツ映画大賞」の助演女優賞、「日本映画批評家大賞」のダイヤモンド大賞などを受賞。その一方でコミカルなキャラクターを発揮し、「さんまのスーパーからくりTV」をはじめ数々のバラエティー番組で人気を集める。01年から「京都市特別観光大使」、11年からは「京都名誉観光大使」を務めている。

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