調整の場なのに乱闘に退場…「オープン戦で論外」と審判も呆れた春の珍事

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2021年03月06日 16:00  AERA dot.

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写真オープン戦で退場となった元近鉄のローズ (c)朝日新聞社
オープン戦で退場となった元近鉄のローズ (c)朝日新聞社
 プロ野球のシーズン開幕を前に、連日オープン戦が繰り広げられている。新戦力のテストや主力の調整の場でもあるオープン戦は、両軍が熱い火花をバチバチ飛ばすイメージからはほど遠く感じられるが、時にはシーズン顔負けの乱闘劇や監督同士の丁々発止の舌戦など、思わぬ珍場面が見られることもある。

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 死球をきっかけに、殴る蹴るのバトル・ロワイアルが勃発したのが、1990年3月15日の中日vs西武だ。

 1対4の8回、中日は1死一、二塁で、新外国人のベニー・ディステファーノが打席に立ったが、鹿取義隆の内角高めへの投球が右肩付近を襲う。慌てて前かがみの姿勢で避けようとしたが、ボールは背中にドシーン!

 直後、「シーット(くそったれ)!」と怒りをあらわにしたディステファーノは、バットをマウンドの鹿取目がけて投げつけた。幸い狙いはそれたものの、今度は制止に入った捕手の大宮龍男がターゲットになる。

 右手で大宮の頭を押さえつけたディステファーノは、5発、6発と立て続けに顔面パンチを繰り出す。たちまち両軍ナインが飛び出し、乱闘が始まった。

「やられっぱなしでいられるか!」と大宮も反撃に転じ、一塁ベンチ前では中日・早川和夫と西武・バークレオが激しくもみ合う。さらに星野仙一監督も乱闘の輪の中で帽子を吹っ飛ばされ、顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていた。

 試合は4分中断し、ディステファーノは暴行で退場となったが、乱闘のどさくさで誰に蹴られたか、左足のふくらはぎに打撲傷を負っていた。死球がきっかけとはいえ、「オープン戦で論外ですよ」(岡田功三塁塁審)と審判も呆れる前代未聞の大騒ぎに……。

 2回にチームメートのバンスローが郭泰源から左肩に死球を受けたことが伏線だった。両助っ人が相次いで死球禍に見舞われたとあって、星野監督も「(バンスローの死球の直後)広野(功)コーチがニタニタ笑っとるからや。(ディステファーノも)頭を狙われたら、カッとくるよな。あれも野球のうちや」と擁護していた。

 米パイレーツ時代、“ベニー・ザ・エキサイティング”と呼ばれた暴れん坊は、シーズン開幕後も、5月24日の巨人戦で、江藤省三コーチを殴り、再び退場処分になっている。

 NPB史上最多の通算14回の退場で知られるタフィ・ローズは、近鉄時代のオープン戦でも“番外編”とも言うべき退場処分を受けている。

 02年3月12日の日本ハム戦、2回に先頭打者として登場したローズは、フルカウントから関根裕之の外角フォークをボールと思って見送ったが、丹波幸一球審は「ストライク!バッターアウト!」とコールした。

 ブチ切れたローズは「ブル・シット(くそ野郎)」と口にしたが、「日本の審判は英語がわからないだろう」とタカをくくっていた。ところが、オリックスで通訳の経験もあり、米フロリダの審判学校で学んだ丹波球審は、英語のスラングも熟知していた。即座に「退場に値する言葉」として、ローズに退場を宣告した。

 オープン戦でまさかの退場処分を受ける羽目になったローズは「あの打席のストライクは全部ボール。でも、丹波さんが英語ペラペラなのを忘れていた。ゴメンナサイ」と苦笑いするしかなかった。

 この時点で公式戦でのローズの退場回数は、意外なことにまだ4回。「ゴメンナサイ」と言いながら、その後も全然懲りなかったのも、ローズらしい。

 オープン戦にもかかわらず、両監督が感情むき出しで舌戦を繰り広げたのが、04年3月16日のロッテvsオリックスだ。

 きっかけとなったのは、6回無死二、三塁のピンチで、ロッテ・バレンタイン監督が先発・小林宏之に代えて長崎伸一をリリーフに送った場面。マウンドで捕手・里崎智也と打ち合わせをしていると、三塁コーチャーズボックスに立ったオリックス・伊原春樹監督が「早うせえ。ハリー・アップ!」と英語まじりに文句をつけた。

 これに対し、バレンタイン監督も「そんなに試合を短くしたければ、お前の(ブロック)サインを素早くしろ」とジェスチャーまじりに言い返した。

 第2ラウンドは7回。オリックスが無死二塁のチャンスをつくり、次打者・早川大輔が打席に入るのが遅れると、今度はロッテベンチから「早くしろ!」の声が上がる。伊原監督が「ドアホ!」と応じると、バレンタイン監督も「バカヤロー!」を意味する英語のNGワードで対抗。さらに三塁の伊原監督を指差し、「ゲット・アウト(ベンチに引っ込め)」と罵倒した。

 ヒートアップした両指揮官のバトルは試合後も続く。怒りが収まらないバレンタイン監督は「メジャーには30、日本には12球団があるが、何でマイナーリーグでもないのに、監督が三塁に立ってるんだ。彼が注目されたいようだったから、ちょっと注目してやっただけだ」と皮肉った。

 一方、伊原監督も「日本語で喋れっつんだよ。日本でやってんだから。オープン戦なのに、投手交代を迷ってテレンコテレンコしてるから、ハリー・アップと言ったんだ。てめえで試合を早くしようって言っときながら、お客さんに手を振って出てくる?ふざけんじゃない。なめとるよ。日本の野球を。年俸じゃ負けとるけど」と一歩も引かなかった。

 そして開幕後、ロッテはオリックスに8連敗。主力に故障者が相次いだことから、“伊原の呪い”と報じられた。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。








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  • ちなみに生でローズがキレた試合は一回だけ見た事あるわ!(マリンで)
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