「河川敷」は“かせんしき”? ここぞという時に使える言葉の「教養」を鍛える一冊

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2021年03月07日 02:41  ダ・ヴィンチニュース

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写真『いつも使わないけど、これが「教養」! ここ一番の国語辞典』(話題の達人倶楽部/青春出版社)
『いつも使わないけど、これが「教養」! ここ一番の国語辞典』(話題の達人倶楽部/青春出版社)

 マナーが他人への心遣いだとすれば、教養は学問も含んだ一般的な知識といったところだろうか。ところが、しばしばマナーが教養と結びつき困惑することがある。手紙の時候の挨拶がそれで、昔は手紙一つ書くのにも神経を使い面倒に思ったものだ。今では信じられないかもしれないが、電子メールでも以前は時候の挨拶から始める人が多かった。しかし、新しい文化には新しいマナーが生まれるもので、携帯電話を使う機会が増えると、の画面サイズや文字数上限から、挨拶は短いほうが良いとされるようになった。

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 140文字という字数制限のあるツイッターが現出した頃、見知らぬ人の投稿にリプライをしたら、初対面で挨拶しないのは無礼だと怒りの返信がきたのも懐かしい。でも普段そういった知識に触れないようになると、今度は面倒に感じていた難しい言葉を使う機会もほしくなる。教養をひけらかすようなことは愚の骨頂だとしても、遊んでみるのは悪くないのではないか。古風な言葉を使いこなせたら面白そうとも思い手にしたのが、この『いつも使わないけど、これが「教養」! ここ一番の国語辞典』(話題の達人倶楽部/青春出版社)である。

季節の「風」を、いくつ知っている?

 本書は辞典を名乗っているだけあって、語句と短い解説のシンプルな構成だ。ただ、普通の辞典と違うのが、あいうえお順などではなく「共通点」のある語句を章ごとにまとめているところ。例えば「季節の日本語」の豊富さには、改めて驚かされる。

「東風(こち)」が「春に東から吹く風」というのは知っていたけれど、4月頃に南から吹く「穏やかな風」を指す「油風(あぶらかぜ)」というのは天気予報でも聞いた記憶は無い。初夏に吹く「新緑の間を吹き抜けてくる薫るような風」の「薫風(くんぷう)」は、爽やかなイメージで校歌の歌詞にでも出てきそうな言葉である。梅雨に入って吹く南風を「黒南風」と書いて「くろはえ」と呼び、梅雨が明けた後に吹く爽やかな南東の風は「白南風」と書いて「しろはえ」または「しらはえ」と呼ぶそうだ。月ごとの「○○の候」といった挨拶文の一覧も載っているので、特別な相手に使ってみてはどうだろう。

この漢字を「濁音」で読んだら間違い

 漢字辞典を引かなくても漢字変換が容易だからか、近年では難しい漢字を書けなくても読めるという人は多い。しかし間違った読み方で覚えている人のためにか、そのまま漢字変換できるように登録されている漢字も多い。

 昔はアルコール中毒と云っていたのを現在は「依存」症と呼ぶが、本来の読みは濁らずに「いそん」が正しい(国語辞典には「いぞん」が並記されている場合も多い)。河川の敷地の「河川敷」も、広辞苑などの辞書では「かせんしき」を見出しにしているそうで、濁らないという。

 茨城県は濁らない「いばらき」と読むが、筆者はかつて大阪府の茨木市は「いばらぎ」と読むというのを人から教えられたことがあったのだが、実はどちらも「いばらき」と読むのが正しいのだとか。

二通りの漢字が候補になる熟語の違いは?

 漢字変換といえば、「肝腎」と「肝心」、「一攫千金」と「一獲千金」などのように、二通りの書き方のある熟語が表示されて、どちらを使うか迷うことがある。これは、役所や新聞社などでは原則として「常用漢字のみ」を使うため、本来の書き方を常用漢字に書き換えたからだそう。先の熟語では、後者が「代用漢字」を当てたものである。

「腎」と「心」なら、どちらも体には重要な臓器であるから意味が通じるのに対して、「つかむ」と読む「攫」を「獲(と)る」に置き換えてしまうとニュアンスが変わってしまい、本書でも「攫」のほうが「感じは出ている」というコメントが付いていた。同様に「慰謝料」と書くと「謝る」お金のように感じるが、本来は「慰藉料」と書き、「藉」には「いたわる」という意味があるそうで、これなどは戻したほうが良いのではないかと思う。

カタカナのままのほうが良い? それとも漢字にする?

 本書には、日常的に使われるようになったカタカナ語の「反対語」についても載っていて、これが案外と難しかった。例えば、「アブストラクト」は分かるだろうか。「抽象」という意味で、反対はなんと「コンクリート」であり「具象」を意味する。「オリエント」は東洋を意味している馴染みのある言葉だけれど、西洋を「オクシデント」と呼ぶことなど実生活ではありそうにない。やはりカタカナ語は、漢字にしてもらったほうが分かりやすそうだ。

 ところが世界の地名の漢字に目を向けると、どうもそう上手くはいかない模様。イギリスを「英吉利」と書くのは無理矢理感がスゴイし、エジプトを「埃及」というのは上手いけど失礼な気もする。せっかく覚えた言葉も使うさいには、TPOを弁えねばなるまい。

文=清水銀嶺

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  • 一段落は『イチダンラク』なのか『ヒトダンラク』なのかも迷います。横文字はニュアンスが柔らかくなる為、使い勝手が良いのは解るのですが何でもかんでも横文字を多用するのは苦手です。
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