「何色にでも染まれる」のはよいこと? それとも…!?『死刑にいたる病』/佐藤日向の#砂糖図書館

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2021年03月07日 02:41  ダ・ヴィンチニュース

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写真佐藤日向
佐藤日向

私は継続的に同じ人と長い時間一緒にいると、話し方や雰囲気が似てしまう傾向がある。

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たとえば半年や一年単位でグループの活動をともにすると、無意識に歌い方が似てきたり、トークの波長が合うようになる。

その傾向は、今でこそ役者として”何色にでも染まれる”という意味で、良い個性とも捉えられるようになったが、中学生の頃、アイドルの活動をしていた際にマネージャーさんから

「何かひとつ個性となるものを身につけなさい」

と言われていたのをきっかけに、個性とは自発的に身につけるものなのか、個性を見つけるためには何をしたらいいのか、と悩みに悩んだ。今では、自分で個性を見つけられなくてもまわりが見つけてくれたらいい、と思えるようになった。

今回紹介するのは、身近な人に影響を受けたが故に、悲劇の道をたどった人たちの模様が書き綴られている櫛木理宇さんの『死刑にいたる病』という作品だ。

元々、高校時代に『ホーンテッド・キャンパス』を読んだことをきっかけに櫛木理宇さんを知ったのだが、今回初めて『ホーンテッド・キャンパス』以外の櫛木さんの作品を読み、作中に漂うダークでリアリティのある世界観に魅了された。

物語は、過去の栄光に囚われたとある大学生が、死刑囚の男性から手紙を受け取るところから始まる。手紙にはこう綴られている。

「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」

この手紙をきっかけに、死刑囚が引き起こした残忍な事件たちを再び調べ直すが、そこで死刑囚の男性が劣悪な環境で過ごした幼少時代を知り、最後の一件は本当に冤罪だったのか、そもそもむごい行動を取るようになったのは幼少期の経験のせいなのではないか、と思うようになる。

私はこの作品を読み終えたあと、まわりから見た私自身の印象が無性に気になった。

なぜなら、作品内で多数出てくる聞き込みのシーンで、話を聞かれた人全員が、その死刑囚に対して全く違う印象を持っていたからだ。

「連続殺人犯だと分かった今、許してはならない。近づいてはいけない。」という者もいれば、冤罪を主張し続けたり、死刑囚だとしても匿ってあげたい、と漏らす人もいた。

彼と関わった人の根底には、”魅力的すぎる”という要素が共通して伝わっていたように思う。

では、魅力的な人は殺人を犯しても罪に問われないのか、というと、それは断じて違う。

この作品の怖い部分はここだと、私は感じた。

実際、どのコミュニティにも魅力的な人はいるだろう。

そして、その人に対しての第一印象は基本的に”良い人”であると思う。

恐ろしいのは、第一印象が良い場合、滅多なことがない限り悪い方に覆ることはないし、無条件に信頼を寄せてしまう。

もちろん本当に素敵な方も沢山いるだろうから、一概に全員がそうだとも言えないが、私の人を信頼する条件は甘いのかもしれない、と読了後に感じた。

そして、この作品で最も面白いと思ったのは、手紙を受け取った大学生が死刑囚と面会を重ねることによって死刑囚の影響を受け、気付かぬうちに性格が変化していくこと。

この現象は、読者である私たちにも起こりうるものだと思うと、二重で恐ろしかった。

冒頭でも述べたが、私はまわりの影響を受けやすい。

それは流行に便乗したいという類とは違い、この本に登場する大学生の状態と少し似ている。

だからこそ、私は相手の素敵な部分を吸収して、一際輝く花になれるよう努力したいと、強く思った。

この作品は、読み終えた後の「解決したように見えて何も終わっていない」という薄気味悪さが、これまで読んできたどんな作品たちとも違っていた。

是非、貴方も体感して欲しい。

さとう・ひなた
12月23日、新潟県生まれ。2010年12月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして、メジャーデビュー。2014年3月に卒業後、声優としての活動をスタート。TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』(鹿角理亞役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)のほか、映像、舞台でも活躍中。

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