安東弘樹のクルマ向上委員会! 第46回 ○○以外は大好き! 安東弘樹、マツダ「MX-30」のEVに乗る!

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2021年03月08日 11:31  マイナビニュース

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いよいよ日本でも発売となったマツダ初の量産電気自動車(EV)「MX-30 EVモデル」。クルママニアの安東弘樹さんが試乗するというので、同乗させてもらった。最終的な感想は「○○以外は大好き」というものだったのだが、どこが気になったのだろうか。

※文と写真はマイナビニュース編集部の藤田が担当しました

「MX-30」はマツダのコンパクトSUV。日本では先にマイルドハイブリッド(MHV)モデルを販売していたが、このほどEVモデルを導入した。グレードは3種類で価格は「EV」が451万円、「EV Basic Set」が458.7万円、「EV Highest Set」が495万円。バッテリー容量は35.5kWhで、フル充電での航続可能距離は256キロ(WLTCモード)と公称している。日本での販売計画は年間500台だ。

「これは、ちょっと怖いな……」。クルマに乗り込んでスタートボタンを押すと、安東さんはつぶやいた。というのも、メーターパネルには航続可能距離が「133キロ」と表示されたからだ。試乗の前にはマツダから、バッテリーは80%まで充電してあると聞いていた。その状態で133キロしか走れないと表示されたので、安東さんは不安を覚えたのだ。

ただ、マツダ広報の解説によれば、この表示は電費(ガソリン車でいうところの燃費)に基づいて算出したものなので、おそらく、安東さんが乗り込む前までの走り方の電費がよくなかった結果、クルマ側でこうした数字をはじき出したのだろう、とのこと。普通であれば、80%の充電で170〜180キロは走るはず、という話だった。

そんな感じで始まった今回の試乗。乗ったのは最上級グレードの「EV Highest Set」だ。横浜にあるマツダのR&Dセンターを出発し、周辺の一般道と高速道路を走った。

○ずっと動かしたくなるパドル

マイナビニュース編集部(以下、編):パドルシフトで回生の強さと加速の具合を5段階で調整できるのがMX-30 EVモデルの特徴です。そのあたり、いかがですか?

安東さん(以下、安):まず、選んだポジションに固定してくれるのがいいですね。しばらくすると、自動的に真ん中の強さに戻る車種もあるので。

安:プラスにする(右側のパドルを引く)と、確かに加速がよくなりました。エンジン車だとギアを下げた方が加速がよくなるので、不思議な感覚ですね。楽しいなー! 運転中、ずっとパドルを動かしていたくなりますね。

編:そのうち、真ん中で固定してしまうなんてことは?

安:私には、ありえないです! 赤信号で停車する際は左に2回(回生を強くする操作)引けば、クルマは減速して減速エネルギーを多めにバッテリーに回収できる。こういった操作、私は好きです。

編:パドルだけで(ブレーキを踏まなくても)、けっこうクルマの挙動がコントロールできますね。

安:確かに。助手席に乗っている人も、よほど下手な操作をしなければ、パドルを使ってクルマをコントロールしているとは気づかないかもしれませんね。横から見ていて、「手を使って何をしているんだろう?」とは思うかもしれませんけど。隣に妻が乗っていた場合、それすら気づかないと思います(笑)。

編:息子さんはクルマがお好きだそうですから、気づくのでは?

安:もう、意味まで分かってますね。さまざまなクルマのカタログを見ながら「パドルが付いているから、いいんだよな―」とか、すでにいってますから(笑)。

編:自転車なんかも当然、ギア付きで。

安:そうですね。この間、「U-18運転予備校」といって、18歳未満でも本物のクルマを運転しながら講習を受けられるプログラムに参加したんですけど、その講習はジャーナリストの菰田潔さんが主催で、BMWが協賛していたので、私もまだ運転していなかったBMW「4シリーズ」を息子のほか、講習生の皆さんは運転させていただいていました。

編:それはまた、いいクルマに乗りましたね!

安:以前にも1度、参加したことがあるんですけど、そのときは「NSX」(ホンダ)、「フェアレディZ」(日産自動車)、「ロードスター」(マツダ)でした。

編:どんどん舌が肥えていってますね(笑)。ただ、息子さんが免許を取るころにクルマがどんなラインアップになっているかは、見通せませんね。

安:電動化比率も高くなっているでしょうしね。といっても、あと4年で18歳ですから、あっという間です。

編:4年後の2025年といえば、まさに電動化時代が本格化していそう。

安:息子は「エンジン車がなくなると寂しい」とかいっていますよ(笑)。

編:純内燃機関車を所有したことはないけど、寂しいと(笑)。

安:EVモデルとはいっても、内外観が変わっていませんね。しかし、日本車はあまり、サンルーフを付けませんよね。需要が少ないとは聞きますけど。

編:このクルマには、欲しいですよね。後部座席に乗ると、少し暗い感じがしますから。そういえば、今度の新型「ヴェゼル」には、一部のグレードでパノラマルーフが付くみたいです。

安:そうみたいですね。新型ヴェゼルのデザインは、マツダのCXシリーズみたいな感じになったと感じました。

編:高級感が出た?

安:値段がちょっと心配ですけど、逆に、これまでとさほど変わらない価格帯であれば、ホンダの戦略はすごいなと思います。ただ、ヴェゼルのパノラマルーフも最上級グレードのFFモデルにしか付かないので、やはり日本メーカーは屋根を開ける事には消極的ですね。

○やっぱり気になるバッテリー残量

編:MX-30 EVモデルはEVなので静かに走りますが、アクセルペダルの踏み具合(モーターにかかる負荷の状況)に合わせて人工的な音がスピーカーから発生する仕組みになっています。そのあたりはいかがですか?

安:この音、私は嫌いじゃないですけど、任意で消せないとすれば、好き嫌いは分かれるかもしれません。あるいは、普通のモーター音が聞こえてくるようにしてしまうのも、いいかもしれませんね。どうせ、聞こえてきてしまうので。でも、マツダとしては、モーターの状態をドライバーに知ってもらいたいと考えたのでしょう。

安:運転席はパワーシート(背もたれや座面の高さなどを電動で調整できる)ですが、助手席にも付けて欲しい機能ですね。日本車はそこを差別化しがちですけど。

編:運転席は、ドライビングポジションを細かく調整してもらいたいという気持ちなんですかね。

安:ただ、助手席に体力のない方が座る場合もあります。助手席にパワーシートの付いていない自分のクルマに祖母を乗せたことがあるのですが、そのときは前後、特に前にシートを動かすことは不可能でした。子供やお年寄りには、体力的になかなか難しい操作だと思うんです。

安:ワンペダル(アクセルオフで完全停止までもっていける機能)をやらないのは、マツダらしいですね。

編:慣れたら、ワンペダルもいいんですけどね。

安:私たちは日々、いろいろなクルマに乗りますから、ワンペダルにもすぐに慣れることができるのだと思いますが、一般的には人生で数台のクルマにしか乗らないという方も多いと思います。そうであれば、「これまで乗ってきたクルマから乗り換えても違和感がない方がいい」という気持ちが、あるのかもしれません。

編:EVになっても、完全停止させるには必ずブレーキを踏まなければならないというクルマであれば、確かに違和感はないでしょうね。

安:ちょっと、大黒パーキングエリアに入りますね。航続可能距離は……あと122キロか。あ、バックしようとしてシフトを「R」に入れると、運転席側のドアミラーが下を向きました。ドアミラーを調整するボタンを運転席型にセットしておけば、運転席側も下を向くみたいですね。なるほど、これは面白いなー! 普通は、助手席側しか下を向かないんで、これは初めて見たかも。やっぱり、マツダって面白いな〜。

安:このMX-30は加速がスポーツカーみたいかというとそうではないですけど、やっぱり、EVの加速って気持ちがいいですね。

編:確かに。ただ、テスラのようにワープするような加速感ではないですね。

安:テスラやほかの欧州メーカーのEVに比べれば、かなりおとなしいですね。MX-30 EVモデルは、ガソリンエンジン車との違和感が最も少なくて、なじみやすいEVということになるのかもしれません。それがいいことなのか悪いことなのかといえば、何ともいえないところですが。

あ、航続可能距離が94キロになった。二桁になると、さすがにドキドキしてきますね。

編:そのうち、発電用のロータリーエンジンを搭載して、航続可能距離を伸ばしたモデルも発売になるそうです。

安:あれは気になります。どのくらい伸びるのかなー。ただ、結局は化石燃料を燃やすことになるというのは、やはり気になります。一般的に、クルマから出るCO2の排出量だけを気にしがちですが、、それ以外にも有害物質は出るので、そこをゼロにできるかどうかは重要なことです。

編:航続距離を気にしないとすれば、このクルマはどうですか。

安:嫌いじゃないんですが、使うシチュエーションが見えづらいというか、日本市場ではユーザー像が想像できないんです。

マツダさんは「ヨーロッパではセカンドカーとして評価して頂き、販売台数も順調に伸びています」とさかんにアピールされていましたが、ヨーロッパでは、国にもよりますがEVに対するインセンティブが日本とは比較できないほど手厚くて、価格は日本円にして350万円を切る国も多いそうです。

日本では、今回乗った最上級グレードですと乗り出し450万円(補助金が全て適用されても)ですから、そうすると、このクルマをセカンドカーとして所有できるユーザーは、日本にはそんなにいないですよね……。しかも、少数の富裕層は、セカンドカーに加速がスポーツカー並みで、実質航続距離が倍以上のテスラやヨーロッパメーカーのEVを選ぶでしょうしね。マツダファンの私としては複雑な心境です。

1時間半ほど、ほぼ走りっぱなしだった今回の試乗。最終的な表示はバッテリー残量38%、残りの航続可能距離73キロとなっていた。「航続可能距離以外は大好き」というのが、MX-30 EVモデルに対する安東さんの個人的な感想だった。

安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら(安東弘樹)

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  • マツダは価格も重量も上がるから電池は増やさない。暴力的な加速も売りにしないそうで。テスラのメディア向け試乗車は事故が多いという話ですし。
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