廣畑敦也は若獅子賞の活躍でドラ1候補へ。武器は最速154キロの直球と強心臓

1

2021年03月09日 07:22  webスポルティーバ

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真




【多芸多趣味、強心臓な社会人2年目】


「先日、JAFA(一般社団法人・日本能力教育促進協会)認定の資格『コーヒースペシャリスト』を取得したんです。2日間勉強しただけなんですが......、100点取れちゃいました(笑)」

 こう言って175センチ83キロの男は笑顔を見せた。大学時代からカフェ巡りに余念がなく、独身寮では毎朝、豆から挽いて飲む「コーヒーを愛する男」、三菱自動車倉敷オーシャンズ・廣畑敦也(ひろはた・あつや)投手である。

 廣畑の興味・特技はコーヒーだけに留まらない。大学時代に始めたギターは『乾杯』(長渕剛)を弾き語る腕前。ウォーミングアップの一環としても採り入れている逆立ちは「ホームからマウンドまでは動けます」(廣畑)と、かなりの"突き詰め系"だったりする。ちなみに女性のタイプは「きれいだけど可愛さを持っている人」で、櫻坂46の守屋茜さんを挙げる。

 昨年、そんな彼の活躍はめざましかった。玉野光南高(岡山)、帝京大を経て社会人1年目にしてエース格へ。中国地区予選ではチームを16年ぶり8回目の都市対抗出場に導くと、東京ドームでの大会開幕戦では前回大会覇者のJFE東日本に、自己最速154キロをマークし1失点完投勝利。

 続く2回戦セガサミー戦でも2点ビハインドの5回途中からリリーフに立つと、メジャーリーガー級の2600回転以上のストレートを披露して10人を完璧に封じてみせ、大会新人賞に当たる若獅子賞も獲得。全国的には無名の存在から「2021年・ドラフト1位候補」の称号を得るに至ったのである。

 本人に都市対抗の後日談を聞くと......。

「試合中は『思い切って投げるしかない』と思っていたので緊張はなかったですね。(12月3日・決勝戦後の表彰式で)若獅子賞の連絡を受けたのも、(23歳の)誕生日に業務をしていた午後に突然、『これから東京に行けるか?』という感じでした(笑)。むしろその後、三菱自動車本社で加藤(隆雄)CEOからお祝いの言葉を直接頂いたほうが緊張しました。だって一介の社員が最高執行責任者にお会いできることなんて、まずないですから」

 この強心臓も「エグイ右腕」の真骨頂である。

【自分の考えを着実に形にする力】

 こうして迎えたドラフト解禁年。首藤章太監督や投手担当の永峯康政コーチが「考えてやっているし、心配していない」と明言する以上に、廣畑自身は「昨年は(コロナ禍の影響で)半年しか野球をしていないので、今年は都市対抗のようなパフォーマンスを1年間安定して出す」べく、多くのスポーツ選手が陥りやすい調子のいい時をどんな時も追いかけてしまう落とし穴にはまらないための対応力を鍛えるアプローチに着手している。

 一例を挙げれば、社会人野球、国際試合でも決められているイニング間のベンチ前キャッチボール禁止への対応。ベンチではジャンプやもも上げで下半身が固まらないように工夫し、最善策を練っている。また、昨年よりやや左肩が上がりがちになっているフォームの変化も「その時の状態に身体が反応すればいい」とあえて意に介していない。

 冒頭に記した『コーヒースペシャリスト』資格取得も、「好きを形にしたいと思っていたなかでそのような資格があった」と言う。廣畑にとっては自分の考えや欲を形にするための必然の行動だった。




【新たな引出しと成長でオンリーワン右腕へ】

 もちろん、これらの強い意思は周囲にもよく伝わっている。

「今年は周りからのプレッシャーもあるなかで精神的強さが仕上がって来ていると感じるし、一つひとつをクリアして次に進んでいる印象がある。フォームも安定しているし、バランスを重視して投げてもストレートにキレがある。ここから上がってくれればいいと思います」

 そんなコメントを残した某球団スカウトを含め、複数の球団関係者が詰め掛けた3月3日の香川オリーブガイナーズ(独立リーグ・四国アイランドリーグplus)とのオープン戦では、最速151キロのストレートに加え、「相手がストレートを狙っている中で効果的に使えた」と振り返る140キロの高速スライダーでバットを粉砕する引き出しも見せた。

「ストレートのエグさはあるので、今年はエグい変化球を覚えてドラフト1位で(プロへ)行ってほしい」と、かつてルートインBCリーグ・石川ミリオンスターズでドラフト指名を目指したチーム2本柱の一角・矢部佑歩投手が寄せる期待にも廣畑は着実に答えを出そうとしている。

 チームの今年初の公式戦となる3月9日からの東京スポニチ大会で廣畑は全試合リリーフ待機となりそうだが、「いろいろなチームが僕を意識して対戦する中で、いろいろな課題を得たい」と既にテーマは設定済。まずは社会人日本選手権、都市対抗の社会人野球2大全国大会出場を目標とする。

 その先は「縁と運があれば、必要としている球団に行きたい」と、ドラフト指名を目指している。彼の先には、観客の興味を大いに惹きつけるオンリーワン投手としての称号が待っているのだろうか? 注目が集まる。

    ニュース設定