ここ20年で最も監督を輩出した球団は? 顔ぶれで見えてくる“名将のDNA”

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2021年03月09日 16:00  AERA dot.

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写真西武黄金時代に主力投手として活躍し、ヤクルトでは野村監督の下でプレーした渡辺久信(OP写真通信社)
西武黄金時代に主力投手として活躍し、ヤクルトでは野村監督の下でプレーした渡辺久信(OP写真通信社)
 プロ野球チームの監督と言えば、野球に関わったことがある人であれば一度はやってみたいと思う憧れの立場ではないだろうか。時代の流れに伴って求められる役割や掌握する範囲に変化はあるものの、今も昔もチームの顔であることに変わりはない。そんな1年に12人しか就くことができない役職に多く人材を輩出しているチームは果たしてどこになるのだろうか。

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 2001年以降に指揮を執った監督を対象に調べてみたところ以下のような結果となった。なお、複数のチームでプレーした経験のある監督は、投手であれば勝利数、野手であれば安打数を多く記録した方を出身チームとした。また()内は2001年以降に出身チーム以外で指揮を執った球団を明記している。

■ヤクルト:11人
大矢明彦(横浜)
尾花高夫(横浜)
若松勉
古田敦也
栗山英樹(日本ハム)
小川淳司
ラミレス(DeNA)
真中満
高津臣吾
三木肇(楽天)
石井一久(楽天)

■西鉄・西武:11人
仰木彬(オリックス)
東尾修
伊原春樹(オリックス)
石毛宏典(オリックス)
秋山幸二(ソフトバンク)
工藤公康(ソフトバンク)
伊東勤(ロッテ)
渡辺久信
田辺徳雄
森繁和(中日)
辻発彦

■巨人:9人
王貞治(ダイエー・ソフトバンク)
長嶋茂雄
原辰徳
森祇晶(横浜)
堀内恒夫
中畑清(DeNA)
高田繁(ヤクルト)
高橋由伸
大久保博元(楽天)

■中日:7人
星野仙一(阪神、楽天)
大島康徳(日本ハム)
牛島和彦(横浜)
田尾安志(楽天)
高木守道
谷繁元信
与田剛

■阪神:6人
岡田彰布(オリックス)
中村勝広(オリックス)
真弓明信
和田豊
金本知憲
矢野燿大

■広島:5人
山本浩二
ブラウン
野村謙二郎
緒方孝市
佐々岡真司

■ロッテ:4人
山本功児
落合博満(中日)
西村徳文(オリックス)
井口資仁

■阪急・オリックス:3人
山田久志(中日)
福良淳一
中嶋聡

■南海・ダイエー・ソフトバンク:2人
野村克也(阪神、楽天)
森脇浩司(オリックス)

■大洋・横浜:2人
山下大輔
三浦大輔

■近鉄:2人
梨田昌孝(日本ハム)
大石大二郎(オリックス)

■楽天:1人
平石洋介

 最も多いのはヤクルトと西武の11人となった。ヤクルトは大矢、若松の2人を除く9人は野村監督の下でプレーしており、当時の経験が指導者として生きている部分も多いのではないだろうか。野村の一番の教え子と言える古田が監督しては結果を残すことができず、優勝監督となったのは栗山、真中の2人だけというのは少し寂しい数字ではあるが、今年から楽天の指揮を執る石井監督に期待したいところだ。また、古田や一昨年までヘッドコーチを務めた宮本慎也なども年齢を考えると再び指導者としてチームに戻ってくる可能性は十分にありそうだ。

 そして指導者の実績としてヤクルトを上回っているのが西武だ。80年代から90年代にかけて黄金時代を築いた時の主力が軒並み監督に就任しており、その中から東尾、伊東、渡辺、秋山、工藤、辻の6人はチームを優勝に導いている(※東尾監督時代の優勝は97、98年)。西鉄時代にプレーしていた仰木、伊原の2人も優勝監督になっていることを考えると驚異的な成功率と言えるだろう。自身の出身チーム以外で指揮を執っているケースが多いのも目立つ。また渡辺と辻は現役時代の晩年に野村ヤクルトでプレーしており、現在この2人がGMと監督という立場でチームを支えているが、ここにも野村の影響力は感じられる。

 続く3位は9人を輩出している巨人。しかし顔ぶれを見てみると王、長嶋、森、堀内、高田といったV9時代のメンバーが半数を占めており、それ以降に活躍した選手は非常に少ない。原はリーグ優勝9回、日本一3回を成し遂げた掛け値なしの名将だが、その後に続く人材が出てきていないというのが現状だ。引退後に二軍監督となった阿部慎之助、今シーズン電撃的にコーチとして古巣復帰となった桑田真澄など、次代を担う指導者に期待したい。

 巨人に続くのが7人の中日と6人の阪神だが、顔ぶれを見てみると星野の影響力を大きく感じる。大島、牛島、矢野の3人は星野が中日の監督時代に他球団へトレードとなったが、移籍先で主力になっており、矢野は阪神でも星野の下でプレーしている。逆に金本は星野がFAで獲得した選手で、低迷していたチームの起爆剤となった。落合も出身チームはロッテに分類したが、星野が中日の第1期政権時代にトレードで獲得した選手である。星野自身は中日、阪神、楽天の3球団で優勝という偉業を成し遂げているが、どの球団でも積極的に血の入れ替えを行っており、そのことがプラスに働いた選手たちが、監督にも就任していると言えそうだ。

 オリックス、ソフトバンクの2球団はチームが強い時期があったものの、意外に少ない人数となった。ただオリックスは中嶋が新たに監督に就任し、田口壮も次の監督候補となっている。また、ソフトバンクは秋山、工藤、井口といったところが他球団でカウントされているのが響いた格好だが、こちらも今後は小久保裕紀、松中信彦などが控えており、今後増えていく可能性は高いだろう。

 改めて見てみると、過去20年は西武黄金時代を支えた選手と野村、星野との関わりをもった選手が多く監督に就任しているという印象を受ける。野村は生前「金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流」と語っていたが、野村と星野の2人はそういう意味でも間違いなく一流の指導者だったと言えるだろう。また彼らのように多大な影響力を発揮する名監督が登場することを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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  • 久信がヤクルトにいたの普通に忘れてたわ!
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