<福岡5歳児餓死事件>に見る「女友達」の関係性、“親友はたったひとり”がもたらす危険

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2021年03月10日 08:10  週刊女性PRIME

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写真碇利恵容疑者(左)と赤堀恵美子容疑者(右)
碇利恵容疑者(左)と赤堀恵美子容疑者(右)

 言葉巧みにママ友を“洗脳”し、子どもを虐待死させた「5歳児餓死事件」が世間に衝撃を与えている。そこで考えさせられた。「女友達」とは何なのかーー。(コラムニスト・吉田潮)

「たったひとりの親友」は危険

 ネットの見出し「胸腺萎縮」が目を奪った。昨年福岡で起きた5歳児餓死事件だ。5歳の男の子が母親である碇利恵容疑者とそのママ友・赤堀恵美子容疑者から虐待を受けて亡くなったという。事件の経緯が報道され、余計に目が離せなくなった。なぜなら女友達について考えさせる事件だったから。

「友達は数多ければいいというものではない。何でも話せる親しい友人がひとりいれば」なんて思っていたけれど、「たったひとりの親友」も危険だと考え直した。

 保護責任者遺棄致死容疑で逮捕されたのは男児の母親と、そのママ友。母親によれば、そのママ友の指示に逆らえなかったという。子どもの幼稚園で知り合ったふたりは仲よくなるが、ママ友はありもしないトラブルを吹き込んだ。

「ママ友があなたの悪口を言っている」

「あなたの夫が浮気をしている」

 信用しきった母親は、裁判費用や浮気調査費用をママ友に託した。その額は1000万以上。さらに夫とも離婚してしまう。その後、母親が受け取る生活保護費や児童手当、児童扶養手当など、毎月約25万円をママ友に搾取されていたという。男児に食事を与えず、餓死させた後も、母親に携帯電話を壊すよう指示したママ友。恐怖による支配のやり口は、尼崎事件(2012年に発覚した連続殺人死体遺棄事件。複数の家族が監禁、虐待され、多くの被害者を出した)の主犯格とされる角田美代子をほうふつとさせる。

 母親は調べに対し、「洗脳され、ほかに頼れる人がおらず、肉親のように思ってしまった」

 と供述。たったひとりのママ友に、人生とわが子を奪われた彼女を一概に責めることはできない。言葉巧みに洗脳されたというのもわからんでもない。「仕事がうまくいかない」「夫や恋人とうまくいかない」「子育てに疲れている」など、ちょっと心が弱っているときに、強い口調で周囲を圧倒する女が寄ってきたら「頼もしい人」と勘違いしてしまう。

 もともとこの母親は人の顔色をうかがい、空気を読んで自己主張をしないタイプだったようだ。一方、ママ友はクレーマーとして有名だったらしい。

 推測だが、他人に気を遣って同調することを心がけてきた女にとって、がさつで言葉は汚いが、強く自己主張をする女は頼もしく見えたのかもしれない。たとえそれが正しくなくても、自分には到底できないことを堂々とやってのける姿に憧れを抱くという構図もあったのではないか。

どんな女友達でも「真偽の検証」を

 この手の話を聞いて「私だけは大丈夫」と思った人がいたら大間違い。闇の深い人物は実に魅力的に見える。見えてしまう。危機感をもって女友達注意報を発令しておく。
 
 まず、「ほらふき」と「嘘つき」の違いを見極めることだ。ほらふきはその場を楽しませるためのリップサービスということもある。だいたい話がデカい。主語は自分。自分を大きく見せるためのネタだなと話半分に聞き流すこと。

 でも、嘘つきは主語が他の人になる。「〇〇さんがこう言ってたよ」「××さんから聞いた話」「みんなそう言ってる」と話す。そして、周囲への不信感を煽り、つながりを断とうとする。福岡の事件のママ友の言葉を改めて見ると、よくわかる。その人の言葉だけを信じていたら、周囲に人がいなくなる。それこそが狙いなのだから。

 以前、私にも嘘つきの女友達がいた。「〇〇さんがこう言ってたよ」というので、〇〇さん本人に直接確かめたところ、大嘘だった。むしろ逆の発言をしたと言う。もうその時点で縁を切ろうと思った。悪しき人ではなかったが、縁を切って正解だった。

 その後の報道によると、このママ友が名前や年齢を偽っていたことや、前の夫名義で借金をしてトンズラしていたことがわかった。周囲には「DV夫から逃げてきた」と嘘をついていたともいわれている。彼女の闇が深すぎて恐ろしいのだが、「嘘つきは泥棒の始まり」であり、嘘に嘘を重ねると犯罪はエスカレートするのだと証明したようなものだ。

 私の身近でも、さらっと学歴や経歴を詐称する人がいたので、なんとなく腑に落ちた。特に海外留学とか外資企業勤務って、簡単には確認できないからよく使われるよね。うしろめたさは人を情熱的な冗舌にする。そして嘘が通用していくと、罪悪感はどんどん薄れていく。人の人権や生活、命を奪っても罪の意識がないモンスターが誕生するのだ。
 
 どんな女友達でも「真偽の検証」は必要だと思う。このママ友は「裁判」だの「浮気調査」だのと、手続きが面倒で専門家を必要とする案件を代理で行ったとうそぶいたようだ。「ヤクザに頼む」などの稚拙な作り話も鵜呑みにせず、疑うべきだった。金が絡むのならなおさら、書類を確認して事実関係を把握すべきだった。

 また、話の中に人名なり会社なりの固有名詞が出てきたら、ネットで検索して、電話をかけて確かめるくらいの慎重さが必要。なんだか詐欺対策みたいになってきたけれど、「女友達」「ママ友」だからといって油断しちゃならねーってことよ。

 そもそも、まず大前提として「友達で金のやりとり」がおかしい。いくら頼りになる、信用できると思っても、女友達が金と生活を支配する関係はどう考えても異常だ。
 
 そこでやはり「複数の女友達」が有効である。男でもいいのだが、ええかっこしいの男性よりも、しょっぱいことを平気で言ってくれる女友達が複数いたほうがいいと思った。たとえ絶大な信頼を寄せる女友達ができても、オンリーワンは危険だ。

 複数の女友達とほどよい距離感を保ちながら、近況を報告したり相談しあえていれば、真偽の検証もできたのではないか。トラブルがあったにせよ、いろいろな意見や考え方、解決方法があるとわかれば、洗脳されて思考停止状態まではいかなかったはず。

 母親にはほかに女友達がいなかった。だから悪しきママ友ひとりにたかられ、生活も人生も支配され、正気もわが子も失った。そこが悔やまれる。

 ちょうど女友達をテーマにしたドラマ『ナイルパーチの女子会』(土曜21時〜、BSテレ東)にドハマりしていたところで、この事件を知った。束縛と支配欲が強くて女友達ができないエリート女性が、ずぼら主婦ブロガーの人生を食い荒らしていく物語で、もう少しライトでベクトルの違う話ではあるが、根底には何か通じるモノがある。

 女友達の関係に「支配」「束縛」「依存」はない。何かの「代行」も頼むべきではない。そして「金のやりとり」もない。もしこれらが発生したら、もう友達ではないと思え。

 私の周りにも、闇が深い魅力的な女友達に翻弄された友人が数人いるし、自分も案外弱い。すぐ信用しちゃう。友達の境界線は自分なりにきっちり引いておくべし。この事件を特異な洗脳事件と片付けず、他人事と思わないことだ。友達が少ない人は、特に。

吉田 潮(よしだ・うしお)
 1972年生まれ、千葉県船橋市出身。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。また、雑誌や新聞など連載を担当し、著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『くさらないイケメン図鑑』(河出書房新社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』『親の介護をしないとダメですか』(KKベストセラーズ)などがある。

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  • 福岡5歳児餓死事件、母親とママ友は「創価学会員」だったhttps://twitter.com/liyonyon/status/1369569876092743682
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  • 友達なんて作らなくても困りませんよ。いた方が面倒ですよ。
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