大阪府で初開催、小学生対象の野球教室に込めた想い

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2021年03月11日 17:02  ベースボールキング

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3月28日(日)、大阪府門真市の門真なみはや高校で、小学生を対象にした野球教室「Osaka Baseball in なみはや」が開催される。高校野球部が主体となった本格的な小学生への普及活動は大阪府では初めてだ。



主催者の大阪府立勝山高校野球部の川村大輔監督に話を聞いた。

「大阪府でも野球の競技人口は減少しています。特に子供たちは野球遊びができるあそび場が少なく、野球の楽しさを体験することができません。
そのことに危機感を持っていました。そこで、同志社香里中学準硬式野球部の石塚真也監督と相談をして、野球教室をすることにしました。
新型コロナウイルス禍で、開催期日は変わりましたが、3月28日(日)に、私の前任校だった門真なみはや高校で、第1回のイベントを行います。指導は、門真なみはや高校の野球部の選手たちが担当します。
このイベントには、大阪府下の高校野球部で実施しているリーグ戦、Liga Futura大阪に参加している高校の指導者の先生たちも参加しています。
できれば、第2回以降は、LigaFuturaに参加している高校でも開催したいと思っています」

2018年5月、日本高校野球連盟(高野連)などは「高校野球200年構想」として、「次の100年」に向けた行動計画と具体的な24事業を発表した。
その中には、
・子ども向けティーボール教室の開催
・小中学校との連携事業
※野球メソッド、野球手帳の作成、配布
※小中学生のための野球教室の開催
・高校生と小中学生の交流イベントの開催
などの事業が含まれていた。

これまでは高校の野球部が、中学生以下を指導することは原則として禁止になっていた。
有望な選手に声をかけて勧誘する「青田刈り」につながると考えられていたからだ。

しかし野球の競技人口が減少する中で、日本の野球界は大きな方針転換を余儀なくされている。全国にある高校野球部が、普及活動に乗り出すこととなったのだ。

以後、各地で高校による普及活動が始められた。
2018年12月の「野球科学研究会第6回大会(筑波大学)」では、青森県の弘前聖愛高校が、少年野球チームや未就学児童に対して行った「野球普及活動」の報告があった。この活動によって、弘前市内の少年野球志望者は増加したという。

またこの年、静岡県三島南高校野球部も、市内の幼稚園などで野球教室を行っている。三島南高校は「200年構想」が発表される以前の2014年から野球教室を行っていた。
2019年には東京都立新宿高校が、小学校低学年を対象に野球教室を行った。

こうした活動は、若年層の野球人口を増やすために有効だが、同時に高校球児が「子供に野球を教える」ことによって、高校生たちの意識が変化し、野球に対する理解が深まるなど、選手の心身の成長にも大いにメリットがあると言われている。

しかしながら「200年構想」から3年が経過したが、高校が主体となった普及活動は限定的だ。中には「やりたいと思うけど、時間がない。ノウハウもないので始めるきっかけがない」という指導者もいた。

大阪府は全国屈指の「野球王国」ではあるが、大阪府下の高校の硬式野球部員数は2014年は8636人だったのが、2020年6473人と25%も減少した。全国的に見ても深刻な「野球離れ」が起こっているのだ。

川村監督は、大阪府高野連に相談した。
「これまで、高校に中学野球部員を招いて小規模な野球指導をした例などはあるそうですが、小学生に本格的な野球教室を行った事例は大阪府ではないそうです。協力するので、ぜひ実施してほしいとのことでした」

前例がない取り組みのために、手探りでの準備が進んでいる。用具を集めて、プログラムを考えて、安全対策も考えた。
「準備体操の後、打つ、投げる、捕るなどの体験をしてもらって、最後は簡単なゲームをしたいと思います。対象は小学校1年生から6年生まで幅広いですが、小さな子から上級生まで、みんなに楽しんでもらえる内容にしたいです」

当日は13時30分受付開始、14時から2時間の予定だ。
野球に興味がある子供なら、経験の有無にかかわらず参加できる。保護者も見学できる。
参加費は無料だが、スポーツ安全保険の費用として1人300円が必要。

 



こうした取り組みは、1回だけでなく続けることで、野球人口の増加につながるし、選手たちの成長にもつながる。それだけに第1回はぜひ成功させたいところだ。

「普及活動を熱心に行っていた静岡県立三島南高校は、今年のセンバツ高校野球への出場が決まりました。甲子園に行くために普及活動をするわけではないですが、これも励みになるニュースです。
これからは普及活動も野球部の重要な活動の一つになると思います。これを契機に、大阪府での普及活動を広げていきたいですね」
(取材・文・写真:濱岡章文)

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