4人の看護師が夫を殺害…福岡5歳児餓死事件と「手法が近い」過去の事件とは

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2021年03月15日 11:20  AERA dot.

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写真餓死に追い込まれた碇翔士郎ちゃんが見つかった福岡県篠栗町のマンション (c)朝日新聞社
餓死に追い込まれた碇翔士郎ちゃんが見つかった福岡県篠栗町のマンション (c)朝日新聞社
 福岡県で5歳の男児が餓死した事件は、ママ友による「洗脳」が原因とみられる。後を絶たない同様の事件。誰もが目を付けられ、食い物にされかねない。過去の類似事件などを取り上げた、AERA 2021年3月22日号の記事を紹介する。

【あなたの友人は大丈夫?マインドコントロールを仕掛ける危険人物の特徴はこちら】

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 友達だったはずの女に生活を丸ごと乗っ取られ、我が子を餓死させるまで洗脳される──。福岡県篠栗町で起きた5歳児虐待死事件は、にわかに信じがたいほどの苛烈なマインドコントロールが背景にあったとみられている。

■ママ友が豹変し「支配」

 同種の事件はこれまでにも度々起こってきたし、今この瞬間も水面下で進行していないとは誰も言い切れない。悲惨な末路をたどるこうした事件は対岸の火事ではなく、誰にでも起こりうる危険性をはらんでいる。

 昨年4月、5歳だった碇翔士郎ちゃんは満足な食事を与えられず餓死した。捜査を続けていた福岡県警は今月に入り、母親の碇利恵容疑者(39)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕。さらに翔士郎ちゃんに食事を与えないように指示したとして、知人の赤堀恵美子容疑者(48)を同容疑で逮捕した。

 両容疑者は同じ幼稚園に子供を通わせる保護者同士として5年ほど前に知り合った。

 地元紙などの報道によると、当初は碇容疑者が赤堀容疑者をママ友グループに誘ったが、次第に赤堀容疑者は碇容疑者に「みんながあんたの悪口を言っている」とグループと疎遠にさせるように仕向け、自分を頼らせることに成功。続いて「あんたの息子から砂を投げつけられた子の親が裁判を起こすと怒っている」などと架空のトラブルをでっち上げては、示談に持ち込むとして金を巻き上げたとされる。

 さらに碇容疑者の夫が「浮気をしている」と嘘を信じ込ませて離婚するように仕向け、浮気調査や裁判費用などの名目でも約200万円を詐取するなど、合計で1千万円以上を碇容疑者からだまし取ったとみられ、詐欺罪で起訴されている。

 赤堀容疑者は、事件とは無関係のママ友の一人を暴力団関係者に顔が利く「ボス」に仕立て上げ、「お前の夫の浮気調査費用をボスが立て替えている」「ちゃんと食事制限しているかどうかボスが監視カメラで見張っている」といった言葉で恐怖を植え付けながら、碇容疑者への支配を強めていった。

 離婚させられ、支給された生活保護費まで巻き上げられ、愛する我が子が餓死に至るまで、人は精神を支配されてしまうものなのか。

 今回の事件について、同様の事件を扱う『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』『連続殺人犯』などの著書があり、北九州監禁殺人事件を起こした松永太死刑囚との対話も重ねてきたノンフィクションライターの小野一光さんはこう語る。

「手法としては、2002年4月に福岡県久留米市の看護師4人が逮捕された連続保険金殺人事件に近いと思います」

■過去の事件との類似点

 この事件では主犯の吉田純子元死刑囚(16年に死刑執行)が看護学校時代の同級生たちを支配し、医療知識を悪用して睡眠剤や空気の静脈注射で夫らを殺害。殺人罪2件と強盗殺人未遂罪、詐欺罪などに問われた。政界や警察関係者にも顔が利くという「先生」という架空の存在を仕立て上げ、自分がそのパイプ役として他の3人に降りかかったトラブルを解決したように見せかけて支配を強めていった。

 吉田元死刑囚は詐取した多額の保険金で久留米市内の高級マンションにペントハウスを所有、階下の部屋を3人にも買わせ、「吉田様」と呼ばせて女王のように振る舞った。(編集部・大平誠)

※【あなたの友人は大丈夫? 福岡5歳児餓死事件や過去の類似事件にみる“モンスター”の共通点】へ続く

※AERA 2021年3月22日号より抜粋

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