受験の風物詩「握手」なかったコロナ禍の中学入試 対応に苦慮も「無事終えてほっとした」

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2021年03月22日 11:35  AERA dot.

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写真「コロナで受験できない生徒を出さず、無事終えてほっとしています」という声も(c)朝日新聞社
「コロナで受験できない生徒を出さず、無事終えてほっとしています」という声も(c)朝日新聞社
 東京など1都3県に出されていた緊急事態宣言が解除された。受験シーズンと重なった今年1月からの緊急事態宣言は、入試にもさまざまな影響を与えた。新型コロナの対応は生徒や学校だけでなく、塾も苦慮した。

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 受験生を応援するため大勢の塾講師が学校に駆けつける姿は、今や中学入試の風物詩。

 しかし今年は密を避けるため、各塾が自粛。首都圏では子どもたちと握手する姿などはほとんどなく、例年に較べて、少しさみしい受験風景だった。早稲田アカデミーの竹中孝二教務本部長は言う。

「受験生の感染リスクを減らすため、激励会は他塾と足並みをそろえて中止しました。その変わり何かできないかという講師の思いは強く、校舎ごとに応援メッセージを配信したり、前日に講師が電話したりしました。先生が応援してくれたからがんばれた、という生徒も多かったですね」

 受験会場に向かう電車のなかで応援の画像を見て、気持ちを奮い立たせる受験生も多かったという。

 同塾は休校要請が出てからすぐオンライン授業の準備を進め、昨年4月当初のタイミングで双方向授業を開始した。オンライン英語の導入が決まっており、Wi−Fi環境を整備しiPadを2000台購入済みだったことが奏功した。

「とはいえ、オンライン授業は講師にとって初めての経験です。各校舎でいろいろと試行錯誤しました」(竹中教務本部長)

■教室にカメラ持ち込んで

 カメラやホワイトボードの位置、蛍光灯による反射の防止、板書の字の大きさや色などを検討し、映像を見やすくする工夫を全校舎に共有した。さらに話す速度や、通信が途切れることを想定し大事なポイントは2〜3回繰り返すなど、細かなところにも気を配ったという。昨年6月からは対面とオンラインを選べるようにしている。

「教室にカメラを持ち込み、同じ内容の授業をライブ配信しています。小6、中3と受験間近の生徒の方が対面比率が高いですね。講師は、対面の生徒に当てたら次はオンラインの生徒と、一体感を持てるように配慮しています」(竹中教務本部長)
 
 SAPIX教育情報センター・広野雅明本部長は、昨年の3月に休校要請が出されてからの動きを次のように話す。

「小学校に合わせて本塾もお休みにしようと、わりとすんなり決まりました。本塾は授業ごとにテキストを分冊で配っているのでまとめて郵送し、それぞれの授業のポイント動画を作って配信しました」(広野本部長)

 電話やメールで質問を受けながら、双方向のオンライン授業を模索。グループの高校受験部や大学受験部はオンラインの経験があるものの、小学部は初の試みだった。

「当時はWi−Fiやタブレット、PCなどの入手が困難で、ツテを頼りにかき集めました。『これをやりたい』というよりも、その時の環境でできることは何か、走りながら試行しました」(広野本部長)

■昨年の「解除」後は…

 準備が整い、数クラス合同で時間を短縮して開始。しかし画面越しとはいえ、先生や友だちに会えたと、生徒に授業の活気が戻ってきたという。

 昨年6月の緊急事態宣言の解除を受け、クラスを半分に分け時間を短縮して対面授業を再開。2週間後から通常の授業に戻った。もうひとつの気がかりが、入試当日の講師による応援だった。

「夏にはいったん落ち着きましたが、いつ第2波、第3波が来るかわかりません。本校からの入学生が多い学校に応援の自粛を持ちかけたところ、賛同していただきました」(広野本部長)

 他塾にも声を掛け、すべての塾が応援を自粛した。当日応援に行けない代わりに各校舎で応援動画を作って配信し、受験生を励ましたという。

「コロナで受験できない生徒を出さず、無事終えてほっとしています」(広野本部長)

(文/教育ジャーナリスト・柿崎明子)

※AERAオンライン限定記事

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