◆ 開幕2戦目の初勝利!
オリックスは27日、敵地・メットライフドームで行われた西武との開幕ラウンド・第2戦に3−2で勝利。高卒2年目の左腕・宮城大弥が、誕生日の中嶋聡監督に今季初勝利のプレゼントを贈った。
昨季途中から代行監督としてチームを率い、今季は正式に監督として戦うことになった中嶋監督。当初の目標に挙げていたのが、「開幕戦の連敗を9で止める」ことと、そのまま「開幕ダッシュで勢いをつけてシーズンに入っていく」ことだった。
26日の開幕戦こそ追い上げ及ばず惜敗したが、27日は期待の若き左腕が西武打線を7回まで5安打・2失点に抑える8奪三振の力投を見せれば、終盤はメジャーから復帰した平野佳寿、そして大卒3年目右腕・漆原大晟へとつなぐリレーで逃げ切り成功。1点差の勝利を収めた。
◆ 19歳と思えぬ投球
先発した宮城は高卒2年目の19歳。プロ2年目の春、いきなり開幕カードの先発を任された左腕は、立ち上がりこそ1点を失ったものの、逆転してもらった4回に圧巻の投球を見せる。
先頭は西武の主砲・山川穂高。143キロの速球でファウル、100キロのカーブで空振りを奪って2球で追い込むも、そこからスライダーやチェンジアップを内外角に散らしていくが、ファウルで粘られて6球を費やす。迎えた9球目、サインはスライダーだったのだが、なんと投げる瞬間にカーブに変更。空振り三振に仕留めた。
「1回に山川さんにスライダーを打たれて先制点を与えていたので、打たれるか、ファウルにされると思って勝手に変えた。“打たれそう”という気づきがあって。自信になりました」
まさに感性で瞬時に球種を切り替え、投じた内角低め・114キロのカーブ。これには山川も裏をかかれたか、バットは空を切り、そして右ひざをついて崩れ落ちた。
◆ 実は緊張していた…?
ポーカーフェイスで、ピンチにもマウンドでは表情を変えない男だが、登板前は「緊張しまくる」のだとか。
座ると緊張に襲われるため、この日もロッカーを歩き回ったり、ベンチ内をうろうろしてみたり…。しまいには先輩たちから「落ち着け」と声をかけられたそう。自軍の攻撃中にキャッチボールの相手をした頓宮裕真は、4回と5回の得点時に「嬉しいだろ」と声をかけ、緊張を和らげようとする場面もあった。
宮城の後の8回から登板して1イニングを3人斬り、NPB復帰戦を日米通算700試合登板というメモリアルで飾った平野も、「オープン戦から見ているがすごく良い投手。ポテンシャルが高く、真面目にきちんと取り組んでいる」と19歳の左腕を高く評価。
また、52歳の誕生日を白星で祝ってもらった中嶋監督も、「オレの誕生日なんかどうでもよくない?」とかわしながら、「力むかなと思ったが、緩急をつけて7回までしっかり投げてくれた」と、そのピッチングを絶賛。つづけて、「昨日負けて、ズルズルいかないかと考えていたので、その点は良かった」と語り、連敗阻止に胸をなでおろす。
敵地での開幕カードはこれで1勝1敗のタイ。日本一4連覇王者・ソフトバンクを迎える本拠地開幕に向けて勢いに乗っていくためにも、開幕黒星の嫌な流れを絶った宮城はまさに大仕事。連勝、カード勝ち越しで地元に帰ることができるか。あすの第3戦も見逃せない。
取材・文=北野正樹(きたの・まさき)