デロイトトーマツとトムスが包括的な協業契約を締結。SFLのアレジ車のサポート等取り組みを開始へ

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2021年03月30日 18:41  AUTOSPORT web

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トムスとデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが協業をスタートし、2021年はジュリアーノ・アレジを擁しスーパーフォーミュラ・ライツに挑戦する。
3月30日、スーパーGTやスーパーフォーミュラ、そして全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権で活躍するトムスと、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社は共同で記者会見を行い、モビリティ領域における包括的な協業に関する契約を締結したと発表した。2021年は、スーパーフォーミュラ・ライツに参戦するジュリアーノ・アレジのスポンサードからスタートし、人材育成やレースデータ分析、さらに新たなモビリティ社会におけるサービスを協業しながら実現していく。

 日本のみならず、世界で活躍するレーシングチームとしてその名を知られるトムスと、国内最大級のビジネスプロフェッショナルグループであるデロイト トーマツ グループにおいて、ファイナンシャルアドバイザリーサービスを担い、M&A、クライシスマネジメントという分野を主要な事業領域としているデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)による、非常に興味深い協業がスタートすることになった。

 カーボンニュートラルなど、モビリティの世界に大きな変革期が訪れているなか、両社は「価値観が多様化し、あらゆる分野・領域でパラダイムシフトが進むなか、モビリティ領域においても、日本企業は脱炭素社会を実践する取り組みやデジタルトランスフォームの一層の加速、加えてインフラ機能としての社会的責務を全うする必要があります」と現状を指摘した。

「このため、新たな産業モデルへの転換をいかに進めるかが問われており、率先して独自の価値創造とESG経営を含む新たな持続的成長を志向する経営を行っていくことが求められています。このような課題認識の下で、DTFAとトムスは双方の強みを融合し、新しいモビリティ社会ひいては新しい日本社会の実現に向けたさまざまな業界変革を構想し、その実現に向けた取り組みやサービスを順次開始していきます」とするのが今回の協業の狙いだ。

 まず第一弾として実現するのが、スーパーフォーミュラ・ライツに参戦するアレジへのスポンサードにおける、グローバル人材の育成ならびにレースデータ分析に関する協業だ。アレジは2020年までFIA-F2を戦ってきたが、新たなキャリアを築くべく、2021年から日本に活動の場を移すことになる。そこでこれまで多くのトップドライバーを輩出してきたトムスが人材育成を担い、レースにおける車両や天候のデータ、ドライバー自身のデータなど、レーシングカーから得られるさまざまなデータを高度化・深化することを目指して、DTFAが属するデロイト トーマツ グループのアナリティクスチームが支援を提供する。

 今回、DTFAとトムスが進める協業は、レースのスポンサードだけに留まらない。両社は、今後のモビリティサービス領域における事業構築および関連サービスとして、下記の7点を挙げた。

1.グローバル人材の育成
2.レースデータ分析(アナリティクス)
3.オートパーツメーカーへの事業承継支援戦略
4.EV技術等の開発、EVレース場の運営
5.E-Sportsの展開とDigital Twinsの実現
6.スーパーシティ・スマートシティとの連携
7.オートメーカー全般を含むESG戦略の策定

 トムスの谷本勲社長によれば、「我々がもつドライバーの育成力にあわせ、今回の協業のなかで、データ分析をより進めていきたい」という。データを使うことで育成を支援したり、データの活用で異なる分野への進出なども検討していくとしている。また、レーシングカーから得られるデータは非常に多いものの、「現在はまだ活用し切れていない」と、今後さらなる活用、そしてモータースポーツのみならず、さまざまな分野での活用が期待できるという。上記の7点など非常にユニークな試みを、両社の強みを活かしながら取り組んでいくとしている。

 そんな協業の第一弾として参戦するアレジは、「僕のビジョンはスーパーフォーミュラに参戦することだったけれど、今の目標は日本でレースキャリアを築くことだ。トムスは僕にキャリアを作るきっかけを作ってくれた」と語った。

 SFではなく、SFLからのスタートとなることに、当初アレジは不機嫌そうな表情をみせたとトムスの舘信秀会長は語る。しかし、SFLで好結果を残せば、トヨタのみならず他メーカーでもチャンスが広がると舘会長。

「今までとはすべてが異なると思ったし、両親ともこのアプローチについてたくさん相談したんだ。『時間をかけてゆっくり学び、自分の道をいくこと』というアドバイスをもらった」とアレジ。

「これまでの鈴鹿、富士でのテストで、たくさんの距離を稼ぐことができたけど、初めてのスーパーフォーミュラ・ライツの車両やチームを知る良い機会になったよ。この機会を得られてすごく楽しみだし、挑戦を楽しみにしている。ぜひ応援して欲しいね!」

 DTFAとしても「いちファンでもあり、やるからにはビジネスとしてしっかりと」モータースポーツに取り組み、そしてトムスとしても「世界一の企業と」と実現したDTFAとの提携。「チームにとっても大きな一歩ですし、業界全体にとってもデータ活用の潮流を作りたい」とトムス谷本社長。今後、非常に興味深い取り組みとなっていきそうだ。

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