なぜ中学硬式野球に「リーグ戦」なのか?参加4チームの代表に聞きました

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2021年03月30日 19:20  ベースボールキング

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前回、この春から開幕する中学硬式野球の新しいリーグ戦「PFF League(Players‘ future-first 〜すべては子供たちの未来のために)」を紹介しました。大きな反響がありましたたがヤフー!のコメントの中には一部否定的な意見も見られました。そこで、今回はこのリーグのことをより詳しくお伝えするために、設立に至った経緯やリーグ戦に込めた想いなどを参加4チームの代表に伺ってみました。



「試合に出場してこそ選手は成長する」
東京インディペンデンツ事務局長 杉山剛太

Q:このリーグを立ち上げたいきさつを教えてください。

東京インディペンデンツは、シニアやポニー、ボーイズに所属せず、子ども達の新たな受け皿としてスタートした独立したチームです。
そのような経緯から、既存のリーグ戦やトーナメントとは違った価値観のリーグ戦があっていいのでは?と考えたのがきっかけです。
その後、堺ビッグボーイズさんが実施しているフューチャーリーグの存在を知り、このような取り組みをやりたいと考えていました。

また、高校でも同様のリーグがスタートし各地で広がっているということを伺い、関東の中学硬式でも出来ないかと堺ビッグボーイズの阪長さんに相談し、(このリーグの参加チームとなる)3人をご紹介いただきました。

Q:リーグ戦の理念、規定で一番こだわったことは?

二つあります。
一つは、参加した選手がこれからも野球を続けたい、と思ってもらうことです。試合に出場してこそ選手は成長すると思います。そのため、少しでも多くの選手が試合に出場できること、そしてチーム成績だけでなく個人成績を通し、自分の成長を数字で確認してもらうことを意識しました。
もう一つは、スポーツマンシップです。スポーツを通し、「尊重」「勇気」「覚悟」を身に着け、真のスポーツマンになってもらうこと。そして、そのような姿をきちっと評価し、野球の価値を浸透させることにこだわりました。

Q:このリーグ戦を行うことの一番の意義はどこにあると思いますか?

勝ち負けにこだわり過ぎることなく、選手個々の成長を促すことにあると思います。そして、数多くの選手が自分の成長を通して「野球を楽しい!」と感じ、長く野球に携わってもらえるようになることが、このリーグの存在価値だと考えています。

Q:初めてのリーグ戦が終了したとき、チーム、選手がどうなっていたら嬉しいですか?

すべての選手に「これからも野球を続けたい!」と感じてもらい、そして続けてくれることです。
また、リーグとしては同じ志を持ったチームが毎年増え、各都道府県に1リーグずつできたら嬉しいです。

Q:中学の硬式野球(シニア、ボーイズ、ポニーなど全て)で、何か一つだけルールを変えられるとしたら何をどう変えたいですか?

バットの規制です。「飛び過ぎないバット」にするだけで、投手、打者共に技術が各段に伸びると思っています。


「子ども達のためのリーグ戦」
一般社団法人つくばベースボールクラブ代表(つくば中央シニア代表) 堀田哲也

Q:このリーグを立ち上げたいきさつを教えてください。

世界のスタンダードとしてのリーグ戦を推奨していただいている堺ビッグボーイズさんのセミナーなどに参加させていただき、その考えを元に、リーグ戦を行うことを模索していました。トーナメントではどうしても子どもたちのための成長機会が得られないですから。子どもの将来の芽を摘んでしまったり、野球嫌いを生み出してしまったりする要因の1つにトーナメント形式の大会という問題があると思います。
そんな中で、東京インディペンデンツの杉山さんらからお誘いいただき、このリーグを立ち上げることになりました。

Q:リーグ戦の理念、規定で一番こだわったことは?

子どもたちには「いつまでも野球を好きでいてほしい」ということです。
野球を続けてほしい気持ちは当然ありますが、そうでなくても野球が好きなままでいてほしいです。
そして、「誰のためのリーグ戦なのか?」ということにもこだわりを持っています。子どもたちのことを第一に考えることで、子どもたちが失敗を恐れずにチャレンジできる機会を準備しなければならない、子どもたちを傷害から守らなければならない、という考えています。

Q:このリーグ戦を行うことの一番の意義はどこにあると思いますか?

まず、野球の未来のために新しい概念を世の中に提示すること。
そして、すべての子どもたちに成長の機会があること。言い換えれば、成長のための失敗を思い切ってできることですね。
また、試合を通じてスポーツマンシップを理解することにも繋がる、ということです。

Q:初めてのリーグ戦が終了したとき、チーム、選手がどうなっていたら嬉しいですか?

「野球がやりたい!早く試合がやりたい!」「今度は〇〇にチャレンジしよう!」という気持ちになっていたら嬉しいです。
また、チームに関わる全ての指導者、子どもたち、保護者も含めて「スポーツ」を正しく理解し、少しでもスポーツマンシップを意識して実践しているようになっていれば嬉しいです。

Q:中学の硬式野球(シニア、ボーイズ、ポニーなど全て)、何か一つだけルールを変えられるとしたら何をどう変えたいですか?

それぞれの団体が一生懸命活動されている中で、なかなか難しいとは思いますが(中学の硬式野球が)1つの団体になればと思います。
また、子どもたちのために、リーグ戦を導入できればと思いますし、子どもたち全員に公式戦の出場機会を準備できるように、複数チームが出場可能になればと思います。


「子どもたちが野球をする機会を創出する」
NPO法人 前橋中央硬式野球倶楽部理事長 春原太一

Q:このリーグを立ち上げたいきさつを教えてください。

堺ビッグボーイズの阪長さんに、筑波中央シニアの堀田さんを紹介していただきました。ここ2年ほど交流を図らせていただいていますが、練習試合の時などに特別ルールを設けたり、低反発金属を使用するなどしているうちに「独自に何かやっていけないか?」と話をするようになりました。
今年に入り杉山さん(東京インディペンデンツ)、宇野さん(市川シニア)とも繋げていただき、同じような思いでいる方が集まるに、今回のリーグ戦立ち上げに至りました。
先月から杉山さんが中心となって、ここまで急ピッチで準備を進めてまいりましたが、示したルールに関しては既に筑波中央シニアや前橋中央ボーイズで実証済みです。

Q:リーグ戦の理念、規定で一番こだわったことは?

指導者が学ぶ機会を設けることです。同じ理念で子どもたちに接する、運営を行うことが大切であると思います。
運営に関しては1審制の採用です。お茶当番がお母さんの負担だとすると、審判はお父さんの負担であることが多いのです。経験の無いお父さんがルールを覚えさせられたり、上からものを言われたりとそこまで厳格に行う必要はないと考えます。防具の費用負担も各チームで大きなものとなると思います。かねてより1審制の普及を願い、練習試合先ではお願いして自分で1審対応してきました。

Q:このリーグ戦を行うことの一番の意義はどこにあると思いますか?

子どもたちが野球をする機会を創出することができることだと思います。小中学期などは成長過程における影響が強くある中で、試合に出場する選手が偏ったりしているケースが多くなる中で、出場機会を理念とルールで保証することには意義があると考えます。結局、野球は試合経験以上に上達させる道はないと思います。

Q:初めてのリーグ戦が終了したとき、チーム、選手がどうなっていたら嬉しいですか?

技術が向上していることが一番嬉しいことになります。緊張感のコントロール、良いプレーや、良い試合運びなども技術と捉えて、野球の技術向上が図られれば嬉しいですね。

Q:中学の硬式野球(シニア、ボーイズ、ポニーなど全て)、何か一つだけルールを変えられるとしたら何をどう変えたいですか?

理念を共通させること!


「子ども達の成長機会を最大化させたい」
市川シニア監督 宇野誠一

Q:このリーグを立ち上げたいきさつを教えてください。

参加を決めたきっかけは理念への共感もありますが、中学野球を5年間教えてきて思うことがあったからです。それは中3になったら日本一を決めるトーナメントに向けてチームワークを高め、全員で一丸になる経験もあって良いと思うのですが、身体も心もまだ発達していない子も多い下級生の期間は、このリーグ戦の様な形での試合が望ましいと思っていたからです。
育成期間に野球の楽しさを学び、最上級生になったらチームの代表としてトーナメントに挑んでいく。そういう形で子ども達の成長機会を最大化させたいと思っています。

Q:リーグ戦の理念、規定で一番こだわったことは?

二つあります。
一つは全員が出場することです。これは実は指導者にとっても有難いルールなんです。日頃の練習試合でも、制約のある中で全員を試合に出すにはどうしようかと、いつも四苦八苦していましたから。
もう一つはスポーツマンシップを柱に据えている事です。野球を通じて何を学んでもらいたいのかが明確になると思います。

Q:このリーグ戦を行うことの一番の意義はどこにあると思いますか?

子ども達が「野球は楽しい!」と思える様な機会を作った事だと思います。
勝たなければ次の機会がなくなるという、トーナメント中心の既存の枠組みの中では、どうしても上手な子に出場機会が偏ってしまいます。しかし、リーグ戦という新しい形であれば、多くの子ども達に成長の機会が与えられると思います。

Q:初めてのリーグ戦が終了したとき、チーム、選手がどうなっていたら嬉しいですか?

野球が楽しい、試合での成果に喜んだり、悔しがったり、次の成長へのエネルギーが溢れていたら嬉しいですね。

Q:中学の硬式野球(シニア、ボーイズ、ポニーなど全て)、何か一つだけルールを変えられるとしたら何をどう変えたいですか?

最終学年の全国大会トーナメントはそのまま、合間のシーズンにこの様なリーグ戦を育成期間(下級生時期)において実施するといいと思います。
今回の様に団体、リーグを越えてでも良いと思いますし、地域で行ったり、新型コロナが終息したら遠方にホームステイしてリーグ戦をする等、子ども達の良い思い出にもなり、仲間も増える。そんなことを考えるとワクワクしてきます。

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