4月3日、4日の2日間、山口県山口市にある山口きらら博記念公園スポーツ広場において『JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN中国』が開催された。広島県、岡山県、鳥取県、島根県の予選を勝ち抜いた各2チーム、そして開催県である山口県予選を突破した4チーム、合計12チームが2日間にわたって熱戦を繰り広げた。
初日は3チームずつ4組に分かれてのグループステージが行われ、AグループからSSS FC(山口)、Bグループからオオタフットボールクラブ(岡山)、Cグループからレノファ山口FC U−12(山口)、Dグループからシーガル広島(広島)が勝ち上がった。
2日目は午前中が雨、午後は雨が上がったものの冷たい風が吹く厳しいコンディション下での試合となり、オオタフットボールクラブとレノファ山口FC U−12が決勝に勝ち進んだ。
オオタフットボールクラブはグループステージを1勝1分けで勝ち抜いた。初戦に勝利し、引き分け以上で突破となる2戦目のサンフレッチェ広島F.C.ジュニア戦は第2ピリオドに先制される苦しいゲームとなる中、第3ピリオド終了間際に10番を背負う武谷快地キャプテンが同点ゴールを奪って勝ち上がりを決めた。
準決勝は大田修平監督が「昨日のヤマ場を乗り越えて、普段どおりの実力を見せてくれたと思います」と振り返ったとおり、SSS FCを攻守で圧倒。5−0の勝利を飾り、決勝へと勝ち進んだ。
一方のレノファ山口FC U−12は、2連勝でグループステージを突破した。2試合とも無失点という守備の堅さと、GKを中心とした丁寧なビルドアップから一気にテンポアップして前線のスペースを突く攻撃が持ち味のチームだ。
準決勝の広島シーガル戦では第1ピリオド終了間際に先制を許したものの、メンバーを入れ替えた第2ピリオド、最前線に入った岡崎将倫の豪快な一撃で同点に追いつくと、第3ピリオドにはCKの流れから平田旬が押し込み、2−1と逆転勝利を飾っている。
決勝はそんな両者がそれぞれの持ち味を発揮し、引き締まった好ゲームが展開された。第1ピリオドは球際での激しい競り合いが各エリアで見られ、両チームとも大きなチャンスは作れなかったものの、12分間があっという間に感じられるほど見応え十分だった。
メンバーを入れ替えて臨んだ第2ピリオドも、選手たちは集中を切らすことなくプレーし続け、やはりスコアは動かない。
迎えた第3ピリオド、立ち上がりからペースをつかんだのはオオタフットボールクラブだった。「子どもたちから得点の雰囲気が出ていた」と大田監督が振り返ったように、山田舜の突破や岡崎葵のドリブルシュートなどでゴールに迫っていく。レノファ山口FC U−12は武島杏菜、鍋田隼成らの体を張った守備で相手の猛攻をしのぎつつ、時に素早い攻撃を仕掛けたが、オオタフットボールクラブの選手たちも気迫の守備で失点を防ぐ。
勝負が決したのは、延長戦突入の色が濃くなってきたアディショナルタイムだった。味方のシュートのこぼれ球を拾った武谷が渾身のシュートを放つと、鋭いボールがゴールネットに突き刺さった。
その十数秒後に試合終了のホイッスルが吹かれると、オオタフットボールクラブの選手たちは武谷を中心に歓喜の輪を作った。「サンフレッチェ戦でも彼が決めてくれた。今大会は彼が“持って”いましたね」と大田監督もキャプテンの活躍に脱帽した。
オオタフットボールクラブは2019年度の大会でも優勝しており、これで2大会連続優勝となる(2020年度の大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)。大田監督は「コロナの影響で活動が制限される中、昨年の大会に出場するはずだった選手の分まで戦ってくれたと思います」とチームを称えた。
殊勲のゴールを決めた武谷は「自分が決めてチームを勝たせるんだ、という気持ちでずっと戦っていました。ゴールの瞬間は信じられないぐらいうれしかった。みんなで一つになって優勝できたのでうれしかったです」と笑顔を見せた。
優勝したオオタフットボールクラブ、そして準優勝のレノファ山口FC U−12は、5月3日から5日にかけて神奈川県横浜市で開催される『JA全農チビリンピック2021JA全農杯全国小学生選抜サッカー決勝大会』に中国代表として出場する。
「日本一を目指してやってきた」という大田監督は「普段どおり、しっかり実力を出して、何より楽しんで臨みたいです」と語り、武谷も「みんな一丸となって日本一を目指します」と力強く宣言した。
文=池田敏明
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