「夫婦別姓は子供がかわいそう」の根拠は何?別姓にしてよかったママの胸中

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2021年04月10日 09:21  女子SPA!

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「夫婦別姓選択制はもはやトレンドになりつつある。世界的に見ても同姓を強制する国は主要先進国では日本だけだ」。

 これは、1989年に発行された心理学の雑誌『現代のエスプリ 夫婦別姓時代を生きる』(至文堂)の一節。当時から32年経った現在も、「選択的夫婦別姓」の議論は“トレンド”であり続けています。

 現在、日本では、国際結婚などのケースを除き「夫婦で同じ姓になる」か「夫婦が別々の姓のままでいる」のかを選択することはできず、多くのケースでは妻が夫の姓となっています。
 夫婦で同じ姓を名乗るのを「幸せなこと」だと感じる人も多くいる一方で、さまざまな理由から結婚後も別々の姓でいることを望むカップルもいます。

 夫婦が希望すれば別の姓でいられる「選択的夫婦別姓」に関する議論は、もう何十年も繰り返されていますが、その背景には一部の保守層による根強い反対があります。

◆根拠がわからない「夫婦別姓は子どもに悪影響」の言葉

 このような状況を見て「なんだか自分たちが透明な存在になっているような気がする」と語るのは、水松ゆりさん(仮名)。

 水松さんは、10年前の結婚を機に夫の姓となりました。結婚後も「水松」の姓で仕事を続けていましたが、4年前の転職後、職場で旧姓を使うことができなくなったことでいくつかの不都合が生じます。悩んだ末に書類上の離婚を選択し、以来「事実婚」という形で夫と小学生の子どもと3人で暮らしています。

 そんな水松さんが最近強い違和感を覚えているのが、選択的夫婦別姓に反対する保守層の人たちの主張です。反対意見の中で頻繁に登場する、“夫婦の一体感”や“子どもの福祉”が意味するところは一体……?(以下、「」内コメントすべて水松さん)

「ニュースを見ていると『夫婦が別々の姓になると家族の一体感が失われる』『父母が別姓では子どもの福祉に悪影響』という言葉をよく耳にします。

 私たちは事実婚という形をとっているので夫婦の姓は別々ですが、育児も家事も夫婦でバランスよく分担できていますし、子どものことだって本当にかわいくて仕方がない。家族になって10年以上経ちますが、今はうまくいっているほうだと思います。なのに、同じ姓だと一体感が生まれて、別々の姓だと一体感が失われるという根拠がよくわかりません。

 今の日本には、国際結婚で別々の姓のままの夫婦、離婚後も一緒に育児をしている父母、入籍をせずに子育てしているカップルなど、いろんな人たちがいますよね。こういう人たちが確かに存在するのに、同姓じゃないと一体感がないと言われることに違和感があります。別々の姓を名乗り、それなりにうまくやっている人たちのことは、見えていないのでしょうか? 私たちが政府にとって、透明な存在になっているような気がします」

◆“子どもの福祉”は、父母の苗字に左右されるのか?

 家族の在り方が多様化しているのなら、法律もそれに合わせていく必要があるという水松さん。さらに「子供の福祉に悪影響」という反対派の主張についても、以下のように語ります。

「『子どもにとっては、お父さんとお母さんの姓が同じであることが一番』ということなのかもしれませんが、どれを見ても抽象的な表現なので、具体的な理由が見えません。

 私たちの場合は、書類上の離婚をした以外は住まいも暮らしも変わりなし。子どもはそのまま夫姓を名乗っています。当時子どもが通っていた保育園への申請も書類1枚だけで済み、その後の不都合は生じていません。もちろん大切な子ども本人の意見や気持ちも、注意深く確認してきました。
『子どもの福祉』という点では、転職後に私が自分の姓を名乗れなくなって不都合が生じ、夫とわかり合えずにけんかが絶えなかった頃のほうがよほど“子どもの福祉に悪影響”だったような気がします。

 だから、別々の姓を名乗り始めたことで関係が良くなった私たちのような家族がいることも、政府には認識してほしい。選択的夫婦別姓に反対する議員には、せめてもっと具体的な言葉で説明して欲しいと思います。私たちの主張は『戸籍制度に反対』という大きな話では全くなくて、『望んだら、別々の姓を名乗りたい』。それだけです」。

◆岡山県の「選択的夫婦別姓制度の反対」に思うこと

 ちなみに、現在首都圏に暮らしている水松さんは、岡山県出身。

 3月、岡山県議会では選択的夫婦別姓制度の導入に反対する意見書が自民党などの賛成多数で可決されたことについて「失望した」と語ります。

「ゆくゆくは岡山県でやりたいことがあったのですが、もしかしたら自分たちのような家族は異質な存在になってしまうのかもしれない、という不安が生じました。

 なんだか故郷に拒否されたような複雑な気持ちです。私の姓って、岡山発祥の希少な苗字なんですけどね……。

 選択的夫婦別姓については、『慎重に、時間をかけて』という言葉が聞かれますが、何十年も議論していて、あとどれだけ慎重になったらいいのでしょう。伝統が大切? この議論をしている数十年の間に、世の中は大きく変わりましたよね。たとえばスマホもパソコンもこれだけ社会に浸透しましたが、“伝統”を理由に反対している人はいますか? 私はまだ、会ったことがありません」

◆「日本ではまだ夫婦別姓を選べない」ことを知らない人も

 水松さんは、周囲の未婚の人たちに事実婚の理由を話すと「えっ、日本ってまだ夫婦別姓選べなかったの?」というリアクションもあるそうです。

 ちなみに、法務省が平成8年から継続的に行っている調査によれば、「夫婦は必ず、同じ名字(姓)を名乗るべきであり、法律を改める必要はない」の回答割合は平成8年の39.8%から平成29年では29.3%に減少し、「法律を改めてもかまわない」は同期間で32.5%から42.5%に増加しています。

 識者の中には、「夫婦同姓は、明治以降のことであり、決して古くからの伝統ではない」という見解を示す人もいます。

 何十年もの間「慎重に」議論を重ねた今、選択的夫婦別姓制度が「時期尚早」という理由で再び先送りされることがないよう、注視していく必要がありそうです。

【参考】
『現代のエスプリ 夫婦別姓時代を生きる』(1989年・至文堂)
法務省「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」>選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)

<取材・文/北川和子>

【北川和子】
ライター/コラムニスト。商社の営業職、専業主婦を経てライターに。男女の働き方、家族問題、地域社会などをテーマに執筆活動を行う。

このニュースに関するつぶやき

  • 選択的なんだから同姓がいい人は今までのままそうすればいいのに、なぜ赤の他人しかも現在は少数の選択に口出しするかね。結婚して改姓したら両親と違くなるのは可哀そうでないの?
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  • 父も母も子どもも同じ姓を名乗る事を嫌うのは理解できませんね。家族は社会の中の小さな共同体ですよ。
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