30歳、現実世界では恋人もできなかった。現役セクシー女優が抱える「こじれ」

8

2021年04月10日 16:10  HARBOR BUSINESS Online

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

HARBOR BUSINESS Online

写真菊池麻衣子さん(仮名)
菊池麻衣子さん(仮名)
 セクシー女優に対するイメージは、ここ数年で変わってきている。深田えいみさんがTwitterでバズるなど、主体性を持って活動する女優も増え、その姿に憧れる女性も少なくない。しかし華やかに見えるのは、ごく一部の売れっ子の話だ。「売れない女優」は何を思い、何に苦悩するのか。なぜセクシー女優になり、売れずとも女優を続けるのか……その一例を取材した。

◆堅実に目指した看護職、ブラック病院で揉まれて

 地方出身だという菊池麻衣子さん(仮名・30歳)が、セクシー女優としてデビューしたのは26歳の時だったという。
「地元を捨てて、東京に出てきたのは20歳の時。両親はいわゆる”毒親”で、物心ついたころからさまざまな束縛や言葉のDVがひどく、折り合いが悪かった。何もない田舎も、家族のことも大嫌いでした。『早く地元を離れて東京に出てやるんだ』。その思いで看護科のある高校を選択しました。手に職があれば、一人で生きていくにも楽だろうと考えたからです」
 高校生のうちから堅実に看護師を目指した菊池さん。どうしてセクシー女優という仕事に流れ着いたのだろうか。
「看護科を卒業してすぐ、地元を出て東京の病院に就職しました。何もかもを両親に縛られていた地元での生活と比べたら、東京での一人暮らしは夢のようだった。でも、病院での仕事は辛いものでした。就職したのはいわゆるブラック病院で、患者の急変や救急対応で就業時間が伸びても残業代が払われないような病院。
 看護師は常に疲れていましたし、ナースステーションはいつもピリピリしていて、いじめで辞めるナースもいるほどでした。なんとか5年続けましたが、最後は過労や人間関係のストレスでうつ病を患い、退職することに。職を失っても、実家には帰れなかった。退職直後はうつ病もあったので、普通の仕事はできなくて……夜の世界で生きていくしかなかったんです」
 こうして病院を退職した菊池さんは、キャバクラに流れついたのだった。

◆キャバクラでスカウトされて……セクシー女優に転身

 そんな彼女だが、セクシー女優として活動して数年経つ現在も、恋人がいたことがないという。キャバ嬢として働きはじめた時も、男性とのコミュニケーションが上手くいかなかった。
「学生時代からずっと、身の回りは女性ばかり。男性と交流する機会はありませんでした。東京での生活を守るために高時給のバイトを選んだけど……社交辞令の対応は苦手だったし、ボディタッチにも過剰に反応してしまう私は、他の女の子から笑いものにされていました。指名もつかず、辞めようかと悩んでいる時に、お客さんとして来ていた今の事務所の社長と出会いました。
 社長に対してもうまく接客できず、黙って烏龍茶を飲むばかりだった。社長はそんな私に『それならうちで働いてみたら』と声をかけてくれたんです。それがセクシー女優としてのデビューのきっかけです。自分でもキャバクラは向いてないと思っていたから、藁にもすがる気持ちだった。なんの取り柄もない私だったけど、外見が女優向きだったみたいです。童顔で年齢より若く見えて、身長と胸が大きかったから。すぐにキャバクラを辞め、デビューすることになりました」
 こうして、実年齢よりサバを読んでのデビューとなった。セクシー女優になってからは、生活もずいぶん楽になったという。
「キャバクラでは男性と上手に交流できなかったけど、セクシー女優としての仕事なら、男性との接触は演技でいいんだと思えた。台本さえあれば、カメラの前では女性らしく振る舞えました。両親に相談することもなく、独断で始めてしまったけど……現場は思ったよりも怖くなくて、仕事にはすぐ慣れました。
 社長は優しい人で、家賃を払っていくのも厳しかった私を見かねて、プライベートの別宅に家賃もなく住まわせてくれました。企画モノの女優なので、すごく稼げたというわけでもないけれど……家賃がかからないだけでも、ずいぶん楽に暮らせるようになりました」

◆女優生命が尽きたら、この世から消えてしまいたい

 それから数年、菊池さんは今年で30歳を迎えた。節目の年齢を迎え、今の自分に不安を覚えることは多いという。
「結局飛び抜けて売れることもないままに30歳になってしまいました。昔より仕事もどんどん減ってきた。このままではいつか、女優としての仕事はこなくなるでしょう。でも、セクシー女優としての生命以上に、今の環境が大切になってしまった。実は、社長のことが好きになってしまったんです。
 社長はもう歳だし、既婚者でお子さんもいます。私と一生、一緒にいてくれるわけじゃないのは分かってる。でも、売れない女優の私を別宅に住まわせ続けてくれて、週に数回は様子を見に来てくれる。身体の関係もあります。勘違いしちゃいけないって分かっているけど、特別な存在と思ってくれているんじゃないかって、期待しちゃうんです。女優として売れなくなっても、彼のそばを離れたくない」
 ふたまわり以上も歳の離れた男性に、恋心を抱えているという菊池さん。両親と折り合いが悪かったというが、特に父親との関係がよくなかったという。不在になっている理想の父親の面影を見ているのかもしれない。

◆転職するよりも社長と過ごしたい

「この仕事を始めてから知り合う男性は、私のことをセクシー女優としてしか見てくれません。私の中身に魅力を感じていなくても、セクシー女優だから付き合いたいんだという下心が見える人ばかり。結局、恋人はひとりもできたことがありません。
 でも社長だけは、私のことをひとりの女性として見てくれた。事務所の稼ぎ頭じゃなくても、優しくしてくれる。実の父親ですら、こんなに親切にしてくれたことはなかった。私はいつか、女優として働けなくなる時が来る。その時に、もし彼が私を愛人としてそばに置いてくれたらいいなって……そう思うしかないんです」
 仕事がなくなる前に転職をする、というつもりもないという。安定した将来よりも、好きな人といる今ができるだけ長く続いてほしい、と苦笑しながら語る菊池さん。
「看護師に戻ることも、もうできないんじゃないかな。現場から離れすぎているし、コンプラ的にどうなのかなって、自信がないです。今の仕事をやめて、彼と離れて暮らす自分も想像がつかないです。
 昔は結婚願望も強かったけど、もう無理なんじゃないかなって思っています。自分のことを受け入れてくれる人が、彼以外にいると思えない。あと何年こうしていられるかわからないけど、今の生活が終わるなら、その時に死んでしまいたい。40歳になったら、女優としても本当の私も、生きてないかもしれないですね」
 仕事として、何人もの男性と性体験や擬似的な愛を演じてきた菊池さん。誰よりも、愛に飢えているように見えた。
<取材・文/ミクニシオリ>

【ミクニシオリ】
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。

このニュースに関するつぶやき

  • その家賃はギャラから引かれてるのでは(´・ω・`)
    • イイネ!0
    • コメント 2件
  • 病院勤務したが,確かに夜間勤務看護師(ナース)の緊張感はただならぬものがあった。医師は“神様”で逆らえず,守衛や当直事務員に八つ当たりする人もいた。口論もあった。
    • イイネ!8
    • コメント 1件

つぶやき一覧へ(5件)

前日のランキングへ

ニュース設定