橋本愛が「青天を衝け」ヒロインで見せる色気に男性陣がメロメロに

1

2021年04月11日 11:00  AERA dot.

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真橋本愛(C)朝日新聞社
橋本愛(C)朝日新聞社
 NHK大河ドラマ「青天を衝け」のヒロイン・千代を橋本愛(25)が演じている。4月4日放送の第8話終盤では、吉沢亮扮する渋沢栄一と祝言をあげ、花嫁衣装を着た。

【写真】橋本愛と竹内結子さんとのツーショット写真はこちら

 この回の序盤では、千代との結婚を賭けて栄一とその従兄の喜作(高良健吾)が剣道で対決。栄一を慕う彼女は黙って見守るが、ついに思い余って「栄一さん、気張って!」と叫ぶ。ここまでの「溜め」の演技がなかなかよかった。無口で不器用な役が似合う彼女の持ち味がよく生かされていたのだ。

 ダブル主人公的な構造を持つこのドラマは、草なぎ剛が演じる徳川慶喜のパートに比べ、真の主役であるはずの栄一パートが地味だともいわれているが、彼女はそこに貴重な華を添えている。若者たちのマドンナ的なポジションにもしっくりとハマっていた感じだ。

 ただ、これはちょっと意外でもある。彼女は同世代より、もっと上の世代に人気がある印象だったからだ。

 たとえば、今年3月にリリースされたトリビュートアルバム「筒美京平SONG BOOK」のなかで、彼女は「木綿のハンカチーフ」を歌った。オリジナル(太田裕美)のテンポを思い切り落とし、演奏も薄くしたバラードスタイルの新バージョンで、歌唱力より女優的な表現力で切々と歌い上げている。

 2月19日には「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)に登場。トリビュート企画を仕切ったプロデューサー・武部聡志のピアノ弾き語りでテレビ初披露を行った。歌う前に彼女は、カバーすることになった経緯について、

「私の歌がまさか収録されるなんて絶対ないだろうから、思い出作りとして一回歌ってみようと思ってやったら、そのデモテープを聴いてくださった武部さんがすごくいいと言ってくださって、まさかまさか、でした」

 と、コメント。それをうれしそうに見守る武部という構図もいかにもだったが、そのあと、司会のタモリに話題を振られたいきものがかり・水野良樹はこんな発言をした。

「ウェブで拝見して、ちょっと震えるほど感動してしまって。1時間くらい茫然自失としてしまって。自分、何やってるんだろうなって振り返るくらい素晴らしかったです」

 じつはこのカバー、最初にYouTubeで公開された。水野はそれにいたく感動したようだ。64歳の武部はもとより、水野も38歳。橋本にはそんなオジサンたちをときめかせる魅力があるのだ。

 その特別な魅力を何より感じさせたのが、2019年の主演ドラマ「長閑の庭」(NHKBSプレミアム)である。23歳の大学院生と64歳の大学教授の恋を描いたもので、彼女と田中泯が演じた。

 人づきあいが苦手で、敬語でしか話せず、根は女子っぽいのに黒い服ばかり着ているというヒロインはこれ以上ないハマり役。超のつく「年の差恋愛」に絶妙なリアリティーをもたらしていた。オジサンのはしくれとして言わせてもらえば、この子なら本当に自分のことを好きになってくれるかも、と妄想させるものがあり、それが彼女の「オヤジころがし」の魅力につながっているのだろう。

 具体的なポイントを挙げるなら、そのどこか放っておけない雰囲気だ。いや、雰囲気だけでなく、8年前のブレーク直後には「奇行」騒動でも注目された。コンタクトレンズのPRイベントで、

「最初、医者から『目にごみを入れるようなものだよ』と脅されたのでマイナスからのスタートでした」

 と、まさに「マイナス」なことを口にしてしまったり、深夜の歓楽街を変装もせずに歩いて、道端の看板をいきなりたたいたりしているところを目撃されたり。それが報じられたことで、メディアやファンに不信感を抱き、よけいに気持ちをこじらせたりもしたようだ。

 とはいえ、そういうところもあるからこそ、こじらせた役がハマる。

 出世作というべき2010年の映画「告白」もそうだった。彼女が演じたのは、クラス委員長でありながら、家族を毒殺した事件で有名になった少女を信奉している屈折した中学生。最終的には、こじらせた者同士、理解し合えているはずだった同級生男子に殺されてしまう。

 その3年後、ブレーク作となったNHK連続テレビ小説「あまちゃん」でも、面倒くさい美少女で途中グレたりもする役を演じ、ヒロインとの好対照をみせた。

 そんな「こじらせ」と密接した関係にあるのが、前出の「長閑の庭」でも発揮された一風変わった色気だろう。かつて、音楽評論家の平岡正明は昭和有数のスター・山口百恵の表情にある「沈む眼」に着目し、その色気を「開きかけてはしぼむ感覚」と形容した。橋本にもそこに通じるものがある。硬くてぎこちない、儚げな魅力だ。

 彼女にとって初の大河となった「西郷どん」(18年)でもそのあたりが存分に生かされた。西郷隆盛の最初の妻だが、無愛想で「不吉な嫁」と呼ばれ、夫を慕いながらも身を引くようにして離縁される役だ。

 また、彼女と似たタイプを過去の女優から探すと、洞口依子あたりが思い浮かぶ。さらにさかのぼると、饒舌ではない秋吉久美子、といったところだろうか。この人も何かと言動が驚かせる人で、24歳のときのできちゃった婚では「卵で産みたい」という発言が話題になった。

 もっとも、秋吉や洞口、百恵がそうだったように、橋本も「こじらせ」だけの女優ではない。2度目の大河となった「いだてん〜東京オリムピック噺〜」(19年)で、きっぷのいいアネゴ肌の遊女を演じたように、芸風も広がってきた。今回の「青天を衝け」でもすでに同世代のマドンナ的存在として輝きをみせたわけだ。

 そして、栄一と結婚してからの千代について、彼女は「エンタメOVO」のインタビューでこう語っている。

「夫婦になる前からそうだったんですけど、夫婦になった後は、より2人の関係性の少女漫画味が強くなっているんです。『これは女の子をキュンキュンさせるために書いたのかな?』と思うようなシーンがたくさんあって(笑)。でも、私はそういうシーンがすごく恥ずかしくて、苦手なんです」

 その恥ずかしさを取り除くようにしながらも、千代には派手な愛情表現を「はしたない」とする品性もあるので、そこについては抑えた芝居を心がけているとのこと。「抑えている分、千代からにじみ出る愛情が伝わったらいいな…」というのが、彼女の演技プランのようだ。

 そのあたりも、今回のヒロインの新鮮さにつながっているのではないか。じつは最近の大河では、感情を前に出すタイプの女性キャラが多く「青天を衝け」の慶喜パートでの、上白石萌音や川栄李奈の演じ方にもそういう印象を受けるからだ。

 なお、物語の後半は経済ドラマ的な要素も加わるだろうから、栄一と千代との夫婦愛が身近な親しみやすさを維持するうえでさらに重要になりそうだ。

 それにしても、4年で3本の大河、そのひとつがヒロインとは、期待の大きさがうかがえる。その期待に十分応えきったとき、女優・橋本愛は本格的にブレークするのだろう。

●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

    ニュース設定