L’Arc〜en〜Ciel「Caress of Venus」カバーも lynch. 葉月が追求する“歌”での表現

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2021年04月11日 12:01  リアルサウンド

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写真葉月『葬艶-FUNERAL』(通常盤)
葉月『葬艶-FUNERAL』(通常盤)

 昨年の緊急事態宣言から一年が経とうとしている。このステイホーム期間に自身のYouTubeチャンネルを開設する著名人は多く、ヴィジュアル系バンドマンも同様だ。しかし、いわゆる“YouTuberっぽい”動画を撮影するのではなく、ゲーム実況をするバンドマンが多かったのは興味深かったが、その中でもゲーム実況にとどまらずYouTube Liveでファンと雑談をしたり、対談動画やカバー動画をアップしたりと、ひと際目を引くのがlynch.のボーカリストである葉月だ。


(関連:lynch. 葉月は、なぜいまソロ活動に取り組むのか ホール公演への意識の変化や配信ライブへの赤裸々な思いも明かす


 葉月ももともとはゲーム実況(当初はInstagram TVでの配信)をメインにしており、『あつまれ どうぶつの森』や『Dead by Daylight』、『FINAL FANTASY X』、『Apex Legends』などのゲーム実況をアップロードしていた。さらに、先日『龍が如く』スタジオのゲームクリエイターである堀井亮佑との出会いをきっかけに『龍が如く』シリーズの本編配信を認められ、SEGA公認のゲーム実況者になったというニュースもあった。


 その葉月が先日『HAZUKI COVER SELECTION』なる企画を立ち上げた。この企画はその名の通り葉月がlynch.以外のアーティストの楽曲をカバーするというもの。その第一弾としてL’Arc〜en〜Cielの「Caress of Venus」を3月28日にアップロードした。「Caress of Venus」といえば1996年にL’Arc〜en〜Ciel初のミリオンを達成したアルバム『True』に収録されている楽曲であり、今でもなおライブの定番としてファンからの支持も高い曲でもある。


 歌やベース、ドラムの打ち込みはすべて葉月自身が担当し、ギターはlynch.と同郷であり以前ツーマンをしたこともあるUnveil RazeのTsuyoshi、ピアノは葉月のソロ作品『葬艶 -FUNERAL-』にも参加している丸木美花、そしてミックスとマスタリングは盟友であるЯyo Trackmaker(ex.girugamesh)という葉月が信頼をおく面々との制作となった。原曲に比べると軽やかでさわやかな印象があるが、hydeとはまた違った艶と色気のある葉月の声の魅力もしっかりと感じることができるし、アコースティックギターによるソロに若干のアレンジが加えられている点も見逃せない。さらに、葉月がこの動画をアップロードした翌日には面識がないhyde本人が「素敵なアプローチ☆かっこいい!」とリアクションし、さらにkenも「エロい」と反応したことも話題となった。


 葉月というと凶暴なシャウトのイメージが強いと思うが、前述したような艶と色気のあるクリーンの歌声もまた彼の魅力だ。事実、葉月自身2016年に『Member Produce 5days』で取り組んでから『奏艶』という自身の歌とピアノのみで構成するソロコンサートを継続しており、近年では歌とピアノに加えヴァイオリンをはじめとするストリングス、ティンパニ、和楽器や二胡、胡弓なども加え、カバーやlynch.のセルフカバーを通じて歌での表現を追求している。


 しかし、なぜ数あるL’Arc〜en〜Cielの楽曲のなかで「Caress of Venus」なのか。その答えは至ってシンプルだ。ファンから同様の質問を受けると葉月は「個人的に好きだから、です。このコンテンツはただそれだけでやっていこうと思っています。混じり気なし100%。いいでしょ」と答えた。これはソロ作品においても共通しており、『葬艶 -FUNERAL-』での選曲理由に関しても“好きだから”と“アレンジが良くて自分のことを知らない人にも届くもの”の二択という発言している(※1)。


 そういった意味では今回の「Caress of Venus」は“好きだから”に分類され、昨年末に自身が好きと公言する『鬼滅の刃』への愛と敬意を込めてカバーしたLiSAの「炎」は“アレンジが良くて自分のことを知らない人にも届く”に分類されると思うが、葉月のカバーに総じて言えることはしっかりと葉月の歌になっているということだ。原曲へ敬意を払いながらも自分の歌にすることによって、葉月というボーカリストに興味を持ってもらい、ひいてはlynch.に興味を持ってもらう。しかし、それだけではなく、同時にしっかりと原曲の良さも広めることのできる歌声だと筆者は考える。実際、筆者がそうであったように葉月のカバーを聴いたあとに原曲を聴いて双方の歌を楽しむ人も少なくないのではないだろうか。


 美しく艶やかな歌声と凶暴なシャウト、相反する二つの武器を持ち合わせるボーカリストが、葉月その人である。歌を際立たせるためにシャウトがあり、シャウトを際立たせるために歌がある。そして、その二つが高次元で絡み合うことでそのギャップはさらに大きくなり、リスナーに与える衝撃はより大きくなるのだ。かねてから音楽活動に限らず様々な自分の“好き”や“夢”を公言して形にしてきた葉月。すでに『HAZUKI COVER SELECTION』の第二弾にも着手しているとのことで、次はどんな“好き”が形になるのか続報を待ちたい。


※1:https://realsound.jp/2020/10/post-629521.html(オザキケイト)


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