虫から芸人の心得を抽出する。オンリーワンの道を歩む昆虫芸人・堀川ランプ 中西正男の「そら、この芸人さん、売れるにきまってる!」【22】

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2021年04月11日 18:31  TVerプラス

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フリップなどを使ったピン芸に加え、YouTubeやWebメディアでの連載など昆虫に特化した活動をしているのが堀川ランプさん(29)。幼少時から昆虫に興味を持ち、日本大学大学院生物資源科学研究科に進み、さらに専門的な知識を深めました。現在も研究用に4種類のゴキブリ約200匹を自宅で飼育するなど筋金入りのホンモノですが、芸人としての来し方も昆虫から学んでいると言います。―今、活動の軸となっているのは昆虫ネタですか?いわゆるフリップネタなどもしっかりとやっていて、自分としてはそちらが軸だとは思っているんですが(笑)、お仕事として呼んでもらうのは昆虫が中心ですね。通常のピンネタと昆虫ネタ、その二本柱で活動している感じです。昆虫ネタでいうと、Webメディア「るるぶKids」で連載をしているのと、自分のYouTubeチャンネル「堀川ランプの昆虫列伝」発信しているのがメインですね。―もともとお笑いの世界に興味があったのですか?中学くらいの時に、お笑いブームがありまして。「笑いの金メダル」ですとか「爆笑オンエアバトル」「エンタの神様」を見ていて、芸人へのあこがれはあったんです。ただ、地元が新潟だったんで、お笑いをやるためにはまず東京に出ることだと思って、そのためには大学に進学しようと。どこの大学に進学しようかと考えた時に、お笑いと並んでもう一つ好きだったのが生き物だったんです。特に昆虫系が好きだったので、農学系の大学に進もうとなって日本大学に入って、大学院にも進んだんです。在学中から演芸サークルに入って、活動はしていました。大学院を出てから、昆虫や生物の専門知識を生かして自然学習を展開するような企業に就職したんですけど、やっぱりお笑いがやりたいという気持ちが強くて、半年で会社を辞めたんです。そこからフリーで活動を始めて、2019年から今のラフィーネプロモーションに所属することになりました。―大学・大学院では具体的にどんな勉強を?変形菌というのを研究していたんですけど、それがクワガタが住んでいるところの土に多くいたりもするので、そういう部分で昆虫とも密接に関わる内容でして。あと、農学系なので、白アリに紫外線をあてる研究だとか、カミキリムシの腸内細菌の研究だとか、周りの先輩や先生は、子どもの頃の昆虫の世界を遥かに超えた専門的な領域を研究されてまして。それを間近で見る中で、昆虫への思いが一気に進化していったんです。―特に、強い興味を持っている昆虫は?最近だと、ゴキブリは興味深いですね。3億年前に昆虫が生まれたと言われる段階で、既に生き物として完成している。そして、そのまま現代まで通用している。それがすごいなと。シロアリもゴキブリに近い仲間なんですけど、単独行動もするけど、家族を作って暮らすということもする。いろいろな生き方を僕らに見せてくれているのかなとも思います。実際、家では外国のゴキブリを飼っています。マダガスカルゴキブリをはじめ4種類くらいで合計200匹くらい。2年ほど前から飼い始めて、どんどん増えてます(笑)。―飼っていて楽しいことはあるのでしょうか?のっそり動くカブトムシとかと違って“反応”がいいんですよね。エサを上げるとすぐに集まってきますし、ガンガン食べてくれますし、瞬時に反応があるという意味で「ライブでウケている感覚」に近いような気もしています。―ゴキブリの飼育とライブを同列に並べるのは、なんとも斬新ですね(笑)。虫って「どこでそのやり方を思いついたの?」というようなものがすごく多いんです。例えば、芋虫に寄生する虫に寄生する虫とか。アリと同じニオイに擬態して、アリの巣に入ってエサを奪う虫とか。逆に言うと、そういう脱線したような生き方をしても、きちんとそのやり方で子どもを作って生き続けているんだから、それはそれで正解だろうと。正統派だけが正解じゃない。他から見たら「なんというやり方だ」と思うような生き様でも生きていたら正当化される。これって、お笑いでもそうだなと思うんです。いわゆる正統派漫才みたいな芸もありますし、そこからは思いっきり逸脱した変化球みたいなお笑いもたくさんある。でも、ウケていたら、お客さんが喜んでくださっていたら正解でもある。そして、いろいろな虫がいるからこそ虫の世界も栄えていくし、正統派しか生き残れない世界はつまらないのかなという思いにもなります。虫を見ていると。―虫に関するエンターテインメントで、トップと言うと誰になるんでしょうね?トップは香川照之さんだと思います。子どもも大人も楽しいし、虫好きからしても知識がしっかりとおありになるので楽しめますし。僕としては、動物に詳しい「アンタッチャブル」柴田さんみたいに、お笑いも、虫も両方極めていきたいと思っています。柴田さんは漫才で頂点を極められた方ですし、動物のことも突き詰めてらっしゃる。そのように、お笑いを極めた上での昆虫。昆虫を極めた上でのお笑い。そうなれればなと。なので、まず僕が目指すべきは「R-1グランプリ」で優勝すること。そうやって、しっかりとお笑いで結果を出してから、虫の領域でも例えば、博物館の昆虫展の監修なんかも依頼が来る。そういう存在に慣れたら一番うれしいですね。そのためにはたくさんライブに出て場数を踏むことも大切なんですけど、有り難い話ではあるんですけど、ファンの方から差入れとしてゴキブリをもらうこともありまして…。ほとんどの場合、海外の希少ゴキブリが繁殖したので差し上げますという感じのことなので、僕にとっては感謝しかないんです。ただ、周りの芸人さんからは、これでもかとすごく嫌がられます…。ま、そういう部分もうまく精査しながら(笑)、嫌がられないようにあらゆる場に足を運んで、なんとかまずはお笑いで結果を出したいと思っています。■取材後記好きこそものの上手なれ。まさにそれを体現するような芸人さんです。昆虫への興味、知識は「これをやったら特色になって売れるかもしれない」といった打算からではなく、心の底からの関心から生まれるもの。それが証拠に、昆虫に関する質問をすると、目に見えて、顔色に赤みがさし、口調もヒートアップします。まだ大きな賞レースなどでの実績は残してはいませんが、自分の得意分野に入ると無類の力を発揮する。それが素晴らしい。自分の売る武器がハッキリいている人は、商品として呼ばれやすい。何かきっかけがあれば、一気に世に出ることも十分ありえる人だと感じました。執筆者プロフィール中西 正男(なかにし まさお)1974年生まれ。大阪府枚方市出身。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚などを大阪を拠点に取材。桂米朝師匠に、スポーツ新聞の記者として異例のインタビューを行い、話題に。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、テレビ・ラジオなどにも活動の幅を広げる。現在、朝日放送テレビ「おはよう朝日です」、読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」などにレギュラー出演。また、Yahoo!、朝日新聞、AERA.dotなどで連載中。

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  • 改行無しの長文で3行で読むのをやめた。みにくい読みにくいも芸の内という事だろうか。この筆者、売れないに決まってる。
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