皐月賞での逆襲を誓うダノンザキッドの取捨。弥生賞3着は想定内か否か

0

2021年04月12日 06:21  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

 今年のGI皐月賞(4月18日/中山・芝2000m)は混戦だ。もちろん、有力視されている馬はいるが、"絶対視"されるほどの存在はいない。

 いい例が、ダノンザキッド(牡3歳)だ。




 デビューから無傷の3連勝を飾ってGIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)を制し、最優秀2歳牡馬に輝いた。順調であれば、この馬こそ、皐月賞では最有力候補に挙げられるはずだった。

 ところが、前走の皐月賞トライアル・GII弥生賞(3月7日/中山・芝2000m)でつまずいた。単勝1.3倍と圧倒的1番人気に推されながら、勝ち馬から1馬身以上も離されての3着に敗れたのだ。

 無論、重要なレースといっても、弥生賞は所詮、トライアル。大事なことは本番の皐月賞にどうつなげるかであって、その意味では、どうしても勝たなければいけないレースというわけではない。

 ダノンザキッド側の立場からすれば、そういう言い訳は成り立つ。

 実際、ダノンザキッドは弥生賞で、いろいろと試したフシがうかがえる。例えば、いいスタートを切ったにもかかわらず、その位置をキープせずにやや後方へ下げたこと。この点については、関西の競馬専門紙記者はこう語る。

「ダノンザキッドの課題は、レースの前半に行きたがるところ。どのレースでも、ずっとそうです。それでも、3戦3勝という結果を残すわけですから、それだけポテンシャルが高いのは確か。

 ただ、世代の最強メンバーが集まる皐月賞では、それが致命傷になりかねない。それで、陣営は弥生賞で、スタート後に馬がどれだけ我慢できるのか、試そうとしたようです」

 過去の弥生賞でも、有力馬が本番に向けて何かを試すことはよくあった。

 よく言う「脚を測る」というのも、そのひとつ。位置取りであったり、仕掛けのタイミングであったり、それまでのレースとは違うことを試して、それでどれだけの脚が使えるのかを見る、というものだ。これはまさしく、結果を度外視したトライアルだからこそできるチャレンジと言える。

 ダノンザキッドも過去の有力馬のように、弥生賞では"あえて下げる"というチャレンジをした。その結果だと見れば、3着という結果もそこまで悲観する必要はないように思える。

 だが、先の専門紙記者はそうは見ていない。

「もしダノンザキッドが本当に強い馬なら、あの競馬をしても勝っていたはず。それが、1馬身以上の差をつけられての3着。こうしてあえなく負けてしまうところが、今ひとつ、この馬への信頼が置けない理由です」

 ダノンザキッドの「レースの前半に行きたがる」という欠点は、ホープフルSの時も見せていた。弥生賞の時と同様、スタート後に行きたがって、顔を横にそむけるようにして、しきりにイヤイヤをしていた。当時はそれでも、道中前目につけて早め先頭から押し切った。

「まだキャリアの浅い2歳戦であれば、それでもごまかしがきいた。でも、3歳の、それもクラシック本番ともなれば、多くの馬が力をつけてくるし、状態面も上げてきます。

 ではそこで、ホープフルSの時のような競馬で結果を出せるのか? そんな不安があって、陣営は弥生賞で位置取りを下げる、という試みをしたわけです。しかし、後方から仕掛けても、大した脚が使えないことがわかった。

 そうなると、皐月賞ではホープフルSの時と同じようなレースをせざるを得ない。その場合、精神面も含めて状態面での急激な上昇でもない限り、ダノンザキッドにとって、皐月賞は厳しい競馬になると見ています」(専門紙記者)

「レースの前半に行きたがる」悪いクセは、レース後半の"勝負所"で、確実に脚を鈍らせることになる。まだ成長途上の2歳の段階では、その時点での能力の差で押し切ることができたが、もはやクラシックの大舞台ではそう簡単にはいかない。

 さらにダノンザキッドは、いまだ馬体が緩いことや、「ゴール前で、左手前で走りたがるため、(右回りだと)外へ、外へ逃げようとしてロスの多い競馬をしている」(専門紙記者)といった欠点も抱えている。

 父ジャスタウェイは古馬になってから大成した。同じくダノンザキッドも本来は、3歳時にはまだ成長過程にある"オクテ"の血統なのかもしれない。

 ともあれ、ダノンザキッドはそんな状況にあっても、競走馬としてのポテンシャルの高さによって早くから結果を出してきた。

 皐月賞で期待するなら、そこだ。弥生賞の3着が、いわゆる"ガス抜き"になっていれば、皐月賞では世代随一のポテンシャルが再びモノを言うのではないだろうか。

 はたして、ダノンザキッドは皐月賞でどんなレースを見せるのか。その走りが、最も注目される存在であることは間違いない。

    ニュース設定