自立できない子と子離れできない親…「いつまでも親がいる」超長寿社会の幸福な親子関係とは

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2021年04月12日 06:41  ダ・ヴィンチニュース

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写真『いつまでも親がいる 超長寿時代の新・親子論(光文社新書)』(島田裕巳/光文社)
『いつまでも親がいる 超長寿時代の新・親子論(光文社新書)』(島田裕巳/光文社)

 かつて人の寿命が短かったとき、人々の最上の願いは「長生き」だった。しかし、実際に長寿を実現した社会は、弊害も併せ持つ。親子関係についても、それが言えそうなのだ。

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『いつまでも親がいる 超長寿時代の新・親子論(光文社新書)』(島田裕巳/光文社)は、日本の超長寿社会をめでたいとしながらも、かたや子どもにとっての制約が課題になっていると指摘する。制約とは「自立」のことだ。本書が述べるに、子どもは「親殺し」をして成長、自立する。実際に親を殺すわけではないが、子どもは成長の過程で親の呪縛を打ち破り、離れることで自立を獲得する、という。

 実際の親の死は、確定的な自立を促す。しかし、長寿社会になればなるほど、その機会が子の若いうちに訪れない。

 かまいたがる親と、離れたがる子。いつの世も、親子関係がこじれる原因はこの願いの相違が多い。そもそも、親子とはどのような関係なのだろうか。本書は、「親子合一」をキーワードとし、次のように説明する。

 自分が断崖を登ったり、演奏を披露しているとき、目の前の行為に集中する。同様に、ゲームをプレイしている、映画やテレビドラマを観ているといったときも、キャラクターと一体化し、感情を共有している。このように主観と客観が区別されず、完全に一致していることを「主客合一」、そのような経験を「純粋経験」と呼ぶ。純粋経験は人に強い幸福感を与える。

 親にとって、親子関係は主客合一であり、これを「親子合一」と本書は名付ける。また、子育ては純粋経験だと述べる。しかし、時に親子合一は破れる。子どもがリレーで走っている最中や、受験で結果が出るまでは親子合一であり、親にとって純粋経験だ。一緒に練習し、勉強をサポートし、全力で応援する。リレーで1位になったり、受験に合格したりしたときも、純粋経験として親は共に喜ぶ。しかし、リレーでバトンを落としたり、受験で不合格になったりすれば、親はその原因を考えたり、後悔したりする。その瞬間、子どもの気持ちとの一致が破れ、純粋経験ではなくなる。ところが、子どもの努力やチャレンジ精神を評価するなど子どもの気持ちに寄り添えば、また親子合一がなされる。しかも、より強化されて。このように、親は子どもとの親子合一の形成、解消、再形成を繰り返し、純粋経験を通して幸福を得る。ちなみに、この考え方の背景には禅がある。

 親は、子どもを育てることに集中するだけで、人生が満たされる。しかし、子どもは、成長と共に自我が芽生え、親の意向とは外れていく。また、幼い頃のことを忘れていく。これが拡大していけば、親子合一は形成されにくくなり、親は純粋経験がめったに得られず、毎日が希薄になる。だが、これが「子どもが自立する」ということだと、本書は説明する。

 こういった論理で時に関係がこじれがちな親子なのだが、親はいつか死ぬ。しかし、超長寿時代においては、親がずっといる。先述のとおり、子どもは自立を得にくい。では、超長寿時代の親子関係は、どのように考えればよいのだろうか。

 本書によれば、まず、現代は親にとって幸せな時代である。少ない数の子どもと長時間、密接に親子合一が叶う。かつて、多産で寿命が短い時代では得られなかった幸福を得られやすい。人生が長くなっても、充実した親子合一を結ぶことができる期間は限られている。子育てを精一杯、楽しむべきであることを知っておきたい。

 そして、もうひとつ。子どもが年齢を重ねて悩んだり失敗したりしても、まだ親がいる。本書は、子どもには自らが状況を打破し、それを乗り越え成長していく力が備わっており、親はその本能に期待して、長い目で見守るくらいの姿勢でよいと、読者にメッセージを送っている。それでも子どもが苦しそうであれば、手を差し伸べる、と考えるのが、超長寿時代における晩年の幸福な親子関係といえそうだ。

文=ルートつつみ

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  • 先程、我が家の最後の赤ちゃんだった末娘が幼稚園に泣かずに初登園した。離し難く切なかったがこれで良い。親を踏み台に、親が無くとも生きてゆける様に育てなくてはならないから。
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