乗るなら今? 外車デビューに最適な5台を徹底比較 第2回 ルパン好きなら1択? 今、フィアット「500」を選ぶ意味

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2021年04月12日 11:32  マイナビニュース

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外車デビューに最適な1台を選ぶという本特集の第2弾は、『ルパン三世』の愛車としておなじみのイタリア産コンパクトモデル「500」(チンクエチェント)だ。もちろん、ルパンが駆った2世代目ではなく現行モデルを取り上げるのだが、初めての外車に選んで間違いない魅力あふれるクルマである。

○唯一無二のキャラクターが最大の魅力

1936年にデビューした初代500は、「トッポリーノ」の愛称で親しまれた2人乗りのクルマだった。ルパン三世を乗せて映画やテレビの画面を駆け回ったクリームイエローの500は、1957年にデビューした2世代目だ。20年後の1977年までに累計400万台が生産された人気モデルである。今回紹介するのは500の3代目で、2代目の生産終了から30年が経過した2007年にデビューした現行モデルだ。

先代は全長3m以内という超コンパクトなボディで、リアに空冷500cc2気筒エンジンを搭載する後輪駆動モデルだった。現行モデルは全長3,570mm、全幅1,625mm、全高1,515mmとボディサイズが少し大きくなり、フロントにエンジンを搭載して前輪を駆動するFFモデルとなった。

内外装は先代のイメージをきちんと踏襲した愛らしいデザインを採用。これこそ、フィアット500の最大の魅力だといえる。その魅力を伝えるには言葉で説明するよりも、掲載の写真を見ていただいたり、実車をご覧になっていただいたりした方が早い。とにかく小さくて丸いその姿には、ひとめでほれ込んでしまう人が多いはずである。

500のラインアップは「1.2 ポップ」(200万円)、「ツインエア ポップ」(241万円)、「ツインエア ラウンジ」(276万円)の3グレード構成だ。

エントリーグレードである1.2 Popが搭載するのは、500のスタンダードエンジンとして長く使用されてきたファイヤシリーズの1,240cc直列4気筒8Vエンジン。発売から14年が経過した500ではあるが、エンジンは圧縮比を上げるなどのリファインを重ねてきており、ゼロヒャク加速(停止状態から時速100キロへの加速に要する時間)12.9秒、最高時速160キロ、燃料消費率19.4km/Lと十分なパフォーマンスを発揮する。最高出力は69PS/5,500rpm、最大トルクは102Nm/3,000rpmだ。

一方のツインエアは、875ccの直列2気筒インタークーラー付ターボエンジンを搭載。最高出力85PS/5,500rpm、最大トルク145Nm/1,900rpmを発生し、ゼロヒャク加速11.0秒の加速や低回転域でのトルク感、24km/Lという低燃費が楽しめるモデルになっている。

FCAジャパンによれば、とにかく手が出しやすい価格で500に乗りたいというユーザーは1.2 Popを選んでくれるし、2気筒エンジンを楽しみたいならツインエア、ルパンのようにルーフを開けて乗りたいなら500Cというように、顧客はそれぞれの好みに応じてグレードを選んでいるとのこと。また、頻繁に特別仕様車が登場するので、お眼鏡にかなう仕様が出た時に購入するこだわり派も多いそうだ。
○イタリアで鍛えた走りに驚き

さて今回は、広報車がこれしかないということで、電動ソフトトップを搭載した「500C ツインエア ラウンジ」(295万円)という豪華版に試乗した。エクステリアは、丸い2ドアボディに丸目のヘッドライトとポジションライト、ベージュのソフトトップが絶妙の組み合わせで、本当にカワイイ。

インテリアも同様で、ボディ同色のダッシュパネルやチェック柄のシート、丸いヘッドレストなど、どこをとってもいうことなしだ。フロントシートの座面が長いので座り心地が良く、最適なドライビングポジションが取りやすい。一方でリアシートはそれなりのサイズになるものの、つま先は前席下に入れられるし、500Cならソフトトップを開ければ頭上空間も確保できる。ラゲッジルームは4人乗車時にはミニマムとなるものの、リアシートが分割可倒式なので、全部倒せば550L近い空間が現れる。

軽自動車よりわずかに大きい0.9リッターの2気筒エンジンによる走りはどうか。実は、これが意外と楽しいのだ。低回転では「ポロロロ」という軽快な音と振動が伝わってくるものの、嫌な感じはしない。むしろ、クルマのキャラクターに合った特性だと感じてしまうから不思議だ。

トランスミッションは「デュアルロジック」と呼ばれるシングルクラッチ式の2ペダル5速ATで、電子制御の油圧作動機構がクラッチとシフトを自動で制御するというもの。特に1速から2速に変速する際には、「どっこらしょ」という感じで空走を伴うような変速のタイムラグが感じられて、ちょっと昔のクルマに乗っているような感覚があるといえばある。でも、チンクエチェント乗りにとっては、そうした部分までもが逆に愛らしく感じるのではないだろうか。

ボディ剛性は高く、足回りがしっかりしている点は見逃せない。多分それは、石畳の道路が多いイタリアで鍛えられたものであろうし、日本の軽自動車から乗り換えたユーザーなどは、びっくりするに違いない。首都高での走りもどっしりとして頼もしさすら感じる。のんびり走りたいというときには、ダッシュボードにある「ECO」スイッチを押せば、出力が7PS、トルクが45Nm低いモードに切り替えることもできる。燃料タンクが35Lと小さいので、燃費を稼ぎたいときには効果がありそうだ。

ドライバーの眼前にあるまん丸のメーターパネルは、中央に車速がデジタル表示される単眼式。ダッシュボード中央には、「Apple CarPlay」や「Android Auto」に対応するメディアプレイヤー機能付きの7インチタッチパネルモニターが収まる。ステアリングは、右スポークがハンズフリーフォン用、左スポークがオーディオ用の音量ボタンとなっていて、最新モデルに多い運転支援システム(追従運転や車線維持機能など)関連のボタンは付いていない。このあたりのシステムについては、次のモデルから搭載することになるようだ。

今回の試乗中、たまたま後ろから真っ赤なフェラーリ「ディーノ 246」が追い付いてくるタイミングがあったのだが、そんな場面でも、デザイン力で全く引けを取らないチンクエチェントに乗っていることが嬉しくなる。このスタイルを愛するユーザーがまだまだ存在し続けていることは、フルモデルチェンジでありながら、エクステリアデザインをほぼ踏襲した形で新型EV(電気自動車)モデルの「500e」が登場したことからもうかがえる。日本にも早晩導入が予定されているというけれども、EVモデルは当然、高価になるはず。廉価でベーシックなエンジンモデルを購入し、今のうちに楽しんでおくというのも悪くない選択だ。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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  • アニメハナヤマタとコラボして1台限定販売されたのはもう7年も前でしたか。あの花柄はきれいでした。
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