中日、巨人の左腕も!“万年エース候補”から抜け出しそうな投手は?

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2021年04月12日 16:00  AERA dot.

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写真中日・小笠原慎之介 (c)朝日新聞社
中日・小笠原慎之介 (c)朝日新聞社
 セ・リーグでは昨年新人王に輝いた森下暢仁(広島)、パ・リーグでは高校卒2年目の宮城大弥(オリックス)が早くもチームのエース格となっているが、その一方で期待されながらなかなか結果を残せていない投手も少なくない。そんな“万年エース候補”の中から、今シーズンこそはブレークを期待したい投手をピックアップして紹介したいと思う(成績は4月11日終了時点)。

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 まず真っ先に挙げたいのが小笠原慎之介(中日)と今井達也(西武)の夏の甲子園優勝投手の2人だ。小笠原は2年目から2年連続で5勝をマークしたものの、過去2年間は3勝、1勝と勝ち星が減少し、昨年は防御率7点台と自己ワーストの数字となっている。冒頭で紹介した森下とは高校3年時にU18侍ジャパンでチームメイトとなり、小笠原のボールを見た森下が高校からのプロ入りを断念するきっかけになったとも言われているが、現在では立場が完全に入れ替わっている状況だ。

 今年はまさに崖っぷちとも言える状況だったが、オープン戦で結果を残して開幕ローテーション入りを果たすと、シーズン初登板となった3月28日の広島戦では6回を無失点と好投。続く4月4日の阪神戦では負け投手にこそなったものの6回途中を2失点、7奪三振と結果を残し、4月11日のヤクルト戦では7回を1失点、6奪三振の内容で今季初勝利をマークした。これまで防御率1.45と安定した投球を見せている。

 ストレートに力強さが戻ってきたというのが大きなプラス要因で、決め球のチェンジアップが生きるようになってきた。エースの大野雄大が開幕から調子が上がっていないだけに、貴重な左の先発としてローテーションを支える活躍が期待される。

 今井も2年目に5勝、3年目に7勝と順調にエースへの階段を上っているように見えたが、昨年は3勝、防御率6点台と大きく成績を落とした。今シーズンはここまで2試合に登板して0勝1敗、防御率2.70と数字的には悪くないが、いずれの試合も5回まで投げてイニングを上回る四死球を与えて降板しており、課題の制球難は相変わらずという印象が否めない。

 ただそれでもストレートは常に150キロ以上をマークしており、スピードに関しては全12球団の中でもトップクラスであることは間違いない。カウントを整える変化球さえマスターできればガラッとピッチングが変わることも期待できる。チームにとっても命運を握る存在だけに、今シーズンこそ何とか一本立ちさせたいところだ。

 小笠原と今井よりも先にブレークの兆しが見られるのが3年目の高橋優貴(巨人)だ。ルーキーイヤーにいきなり5勝をマークしたが、昨年はわずか1勝と低迷。今年も二軍スタートが濃厚だったが、ギリギリで開幕ローテーションの6人目に滑り込むと、2試合連続で7回を自責点「0」の見事な投球を見せて連勝スタートを飾った。

 ストレートのスピードは140キロ台中盤程度で好調時と比べると少し物足りないものの、内角を思い切って突くコントロールが安定してきたことで投球の幅が広がった印象を受ける。スライダー、スクリューという対になる変化球も昨年と比べてしっかり低めに集めることができている。チームは主力選手の新型コロナウイルス感染などもあって開幕から苦しい戦いが続いているが、その中でも高橋の台頭というのは数少ない明るい材料と言えるだろう。

 ここまで紹介した3人は全員がドラフト1位でプロ入りした選手だが、下位指名からのブレーク候補も存在している。それが2014年ドラフト4位で入団し、今年7年目となる笠谷俊介(ソフトバンク)だ。分厚い選手層のソフトバンクの中で3年目には早くも一軍初登板を果たしたものの、なかなか結果を残せずに低迷。昨年ようやくリリーフでプロ初勝利をマークすると、シーズン終盤は先発も任されて4勝を挙げる活躍を見せた。

 今年は初めて開幕ローテーション入りを果たし、シーズン初登板となった3月30日のオリックス戦では6回1失点の好投で見事に勝利投手となっている。高校時代はまとまりのあるサウスポーという印象だったが、ストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークするまでにスピードアップしており、好調時の投球はチームの先輩である杉内俊哉を彷彿とさせるものがある。豊富な投手陣を誇るチームでも左の先発投手は多くないだけに、7年目の大ブレークも期待できそうだ。

 最多勝5回、沢村賞3回に輝き、“平成の大エース”と言われた斎藤雅樹(元巨人)も大ブレークしたのはプロ入り7年目であり、それ以前は殻を破れない期待の若手だった。今回紹介した4人も能力の高さは間違いないだけに、上手くきっかけをつかんで一気にチームのエース格へと成長してくれることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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