羽生結弦「4回転半を誰よりも早く公式できれいに決める人間になりたい」 世界選手権後の言葉

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2021年04月12日 16:00  AERA dot.

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写真世界選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦(写真/朝日新聞社)
世界選手権の男子フリーで演技をする羽生結弦(写真/朝日新聞社)
 フィギュア世界選手権で、銅メダルとなった羽生結弦。ショート、そしてフリーの演技を終えた後に、ミックスゾーンなどで語った言葉を漏れなく届ける。

*  *  *
【ショート後】

――昨年の世界選手権がキャンセルされて、今回、ストックホルムで、やっと世界選手権の場に立ったことを、どう思っていらっしゃいますか。

 昨年、キャンセルが決まったのが、本当に突然のことだったので、ある程度覚悟はしていたのですけれども、何か、急に目標を失ったような感覚がありました。
 ただ、こういう状況の中でも、選手、スタッフ、いろんな方々が尽力をしてくださって、こうやって試合ができて、僕たちの努力を発揮させていただける場所を設置してくれたことを、とてもうれしく思っています。

――ショートのプログラムについて。

 今シーズンも、実はピアノの曲にしようかなっていうふうに思っていたんですけれども、こういう時代になっているからこそ、何か皆さんに楽しんでいただけるものをというふうに思って、振付師のジェフリー・バトルさんと相談して、こういうものになりました。

 実際に、本当は会場で、一体となって、手拍子だったり、歓声だったり、そういったものが聞こえると、もっともっとよいプログラムになるかもしれないんですけれども、ただ、インターネットだったりテレビだったり、どんなところからでも、見ている方々の歓声だったり、気持ちを受け取りながら、滑っているつもりです。

 僕はすごいピアノの表現をすることは、すごく好きだし、そのメロディを体で表現するっていうことは、すごく得意でもあるとは思うんですけれども、ただ、こういうロックな曲っていうのは、本当に心の底から、自分の鼓動だったり、呼吸だったり、そういったものを表現できるので、これはこれですごく楽しいなっていうふうに思ってやっています。

――一人で練習することについて。

 やっぱり一人で練習することは大変だったんですけれども、逆に、一人で練習しているからこそ、曲かけの自由がきいていたり、または自分自身でいろんなことを考えて、本来フィギュアスケートでは考えられてなかったトレーニングの理論だったり、そうですね、あとは器械体操の理論だったり、陸上の理論だったり、いろんなものを取り入れて、自分のスケートだったり、ジャンプだったり、またはスタミナのトレーニングだったり、そういったものにつなげられたので、ある意味よかったかなというふうにも思っています。

――緊張は。

 もちろん全日本よりも、リラックスしているところもあり、逆に全日本よりも緊張しているところ、ありました。というのも、やはり世界選手権だからこそ、本当にたくさんのスケーターが、ベストな演技をしてくると思って、緊張してやりましたし、また、隣に座っているネイサン(・チェン)選手も(鍵山)優真選手も、本当にいい演技をされていたので、まあ自分のベストをしっかりぶつけようというふうに思って、今回、ショートを滑りました。

 ただ、このショートプログラムの一番大きな意味は、僕にとっての一番大きな意味は、やっぱり皆さんが楽しんでいただけることだと思っているので、ぜひ、記者の皆さんも楽しんでいただけたらなっていうふうに思っています。

――今回は納得する演技でしたか。

 まあ演技内容自体には満足しています。ただ、もっとよくできたところは多々あると思うんですけれども、非常に、この曲自体が持っているエナジーだとか、振り付けだとか、そういったものを出し切れたかなというふうには思っています。

――フィギュアスケートと自分との関係は、このコロナ禍で変わりましたか。男女のスケートの違いは?

 このコロナにおいて、まず考えていたのは、このショートプログラムで曲のテーマを変えたように、やっぱり何か、会場じゃなくても、見ている方々に何かが感じられるようなものにしたいっていうことを、とても強く思ったことです。

 また、僕にとって、今回、コーチがいますけれども、コーチがいない状況での練習がすごく続いたので、それもまた、僕とスケートのつながりを、より強くしたように思います。
 
 女子と男子のスケートの違いについては、もちろんその繊細さだったり、パワフルさだったり、いろんなものが違うとは思います。ただ、それぞれのスケーターが素晴らしい個性を持っていて、その個性を出すことがフィギュアスケートのすごく魅力的なところだと思うので、全スケーターがみんな違うと、僕は思っています。

【フリー後】

――大会が終わって、このあとは何をしたいですか。

 ここに来るまでに、4回転半の練習をたくさんしてきて、体もかなり酷使してきたと思っているので、まあ、まずはしっかり休むっていうことも考えてはいますが、早く4回転半の練習をして、誰よりも早く4回転半を公式できれいに決める人間になりたいです。

――今回も日本をテーマにしたフリーのプログラムでしたが、今回、日本に長く滞在していることや、東日本大震災10周年であることで、ルーツをより強く感じているという背景があるでしょうか。

 東日本大震災から10年ということは、かなり自分にとっても大きく思っていて、まあ自分自身、被災したときは、かなりつらい思いをしましたし、ただ、僕以上につらい思いをしている方々、または、本当に本当に今も大変な思いをされていたり、今も苦しみながら前に進んでいる方々がたくさんいます。

 これは、もちろん自分にとって大切なことですし、これからも胸に刻んで、もし自分が何かできるのであればいろいろできることをやっていきたいなというふうに思っています。

 ただ、今回のプログラムに関しては、それとは全く関係なく、日本で練習していたからとかっていうものでもなく、ただ、僕が僕らしくスケートをできるものというものを目指して選びました。

――五輪シーズンに向けて、何種類の4回転を何回飛べば、自分が優位に立てると思われるか、4回転について、教えてください。

 僕はネイサン選手が言ってることに、全て同意しています。まあ僕たちがこれから何本必要かなんて、今言うことは、とても難しいと思いますし、まあ、僕はやっぱり4回転半を飛びたいなっていうふうには思っていますけれども、うん。

 これから、まあ8本は絶対無理だと思う、7本とか、絶対無理だと思うんですけど、ただ、これから、そうですね、いろんな技術だったりとか、トレーニングの方法だったりとか、いろんなことが進むにつれて、どんどん難しいことにチャレンジしていくことは大切だと思いますし、僕たちの中では、やっぱりアスリートなんで、チャレンジしていくことが、とても楽しいっていう気持ちもたぶんあると思うので。そうですね、まあそれ自体を楽しみながら、逆に、そのコンペティションで、どうやって競技していくのか、勝っていくのかっていうことも、またバランスを見ながら、いろんなことを考えていくんじゃないかなって、僕は思ってます。

――五輪シーズンに向けて、いつ、どのような形で練習をするのか、イメージしていることを教えてください。

 もちろん、今シーズンよりは、よくなってることを祈ってますし、またこのコロナについても、いろいろわかってきていることが増えているので、みんなでいろいろ対策しながら過ごしていけるようにっていうことを、まずは大切に思っていきたいなというふうに思います。

 ただ、僕たちアスリートは練習しなくてはいけないですし、もちろんフィギュアスケーターは、リンクの上で、氷上で練習をしなきゃいけないので、それも大切にしながら、ただ、やっぱり氷の上に乗れていること、または家族だったり、いろんな方が健康でいられることの大切さ、それの幸せさを感じながら、来シーズンに向けて過ごしていきたいなと思います。

――このオリンピック前の世界選手権について、特別な感想があったら教えてください。

 僕はソチオリンピックのときは、その前のシーズンの世界選手権で4位で、平昌オリンピックのときは、その前の世界選手権で優勝して、平昌に行きました。なので、まあ今シーズンの世界選手権で優勝した彼(ネイサン・チェン選手)に、彼に幸運があることを、とてもとても祈っています。

 まあ僕自身もオリンピックに関しては、いろいろ考えることはありますけれども、ただ、そうですね、まあいい思い出も悪い思い出も、よかったところも悪かったところもたくさんあります。

 でも、それがあったからこそ、今、成長してきたと思ってますし、また、これからどういう経験があるかわからないですし、これからどういうふうに世界の情勢が変わっていくかわからないですけれども、またベストを尽くして、オリンピックが来ることを心待ちにしたいなと思います。

※AERAオンライン限定記事

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