SHINeeカムバック、ONFの躍進、TREASURE日本進出……K-POPボーイズグループの熱き闘い

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2021年04月13日 06:01  リアルサウンド

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SHINee『Don't Call Me』

 K-POPといえば、昨年からずっとBTSのトピックが目立っていた。「Dynamite」と「Life Goes On」が米ビルボード・ホット100で1位に輝き、第63回グラミー賞の最優秀ポップデュオ/グループパフォーマンス部門に「Dynamite」がノミネートされるなど、ワールドワイドな活躍ぶりからすれば当然ではある。とはいえ、2021年はBTS以外のボーイズグループも気になる動きがあり、より広くチェックする必要がありそうだ。


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 今年初めの韓国のヒットチャートをながめると、たくさんのソロシンガーが活躍していることに気付く。アコースティックポップ系のキョンソや、ベテランの域に入ったIU(アイユー)などの曲が上位にランクインされる中、BTS「Dynamite」もロングランでヒットしている状況がしばらく続いていたが、その構図を壊すかのように食い込んできたのが、SHINee(シャイニー)とONF(オンエンオフ)である。


 SHINeeは、約2年6カ月ぶりのアルバムのリードトラック「Don’t Call Me」が大ヒット。キレのいいパフォーマンスと高品質なサウンドメイクは以前よりもパワーアップしており、想像以上の仕上がりだ。かつての恋人に対して「ほっといてくれないか」「消えてくれ、あっちに」と冷たく言い放つクールなダンスポップで、歌詞の中に「既存の枠の中に入れられたくない」というメンバーたちの願いも込めているようにも見える。


 もう1組のONFは、古き良き時代のディスコミュージックを取り入れた「Beautiful Beautiful」がリリース直後にiTunesチャートなどでベスト10内にランクインを果たした。ジャンルとしてはファンキーハウスに入るサウンドで、キャッチーなスキャットとコーラスが耳を引く。彼らの主な曲を手掛けているのは、音楽制作チーム・MonoTree(モノトゥリー)に所属するファンヒョン。何よりもメロディとアレンジを大切にすることで知られるプロデューサーだが、今回はBTSの「Dynamite」と似たサウンドコンセプトにした点が興味深い。


 チャートを揺るがすほどではないが、ベテランの4人組・SECHSKIES(ジェクスキス)のシングル「振り向かないで」が同時期にスマッシュヒットしたことも楽曲派のK-POPファンなら押さえておくべきだろう。バラエティ番組がきっかけで生まれた企画モノではあるが、デビューして四半世紀近く経つアイドルがあえてシンプルなバラードで勝負するのは自信があるからこそ。数々の偉業を成し遂げた先輩の堂々とした姿に刺激を受ける後進は多いはずだ。


 SECHSKIESと同じくK-POP史に大きな足跡を残すEXO(エクソ)は、完全体での活動は望めなくとも、レコーディングした音源などを通じて2021年も話題を振りまきそうだ。4月上旬にニューアルバムに関連したスポイラー映像をアップ。まもなく入隊するメンバーのベクヒョンが先日リリースしたソロ作『Bambi』のハイクオリティな仕上がりに感動した者としては、EXOの新作にも期待せざるを得ない。


 2017年から活動を休止していた2PMは、韓国人メンバー全員が兵役を終えた。そのうちのひとり、テギョンは雑誌の取材に対して「今年カムバックできるかどうかは未定ですが、計画はしています」と語っており、完全体での復活が待ち望まれる(※1)。


 新人の動きも気になるところだ。2020年8月に韓国でデビューした12人組・TREASURE(トレジャー)が今年3月末に日本進出。BIGBANG、BLACKPINKといった先輩たちとは違うテイストのサウンドが武器の彼らが、日本デビューアルバム『THE FIRST STEP : TREASURE EFFECT』ではさらに独自性を発揮。メイントラックのひとつとなる「BEAUTIFUL」はスイートなユーロポップで、所属事務所・YGエンターテインメントの長い歴史の中でもかなりめずらしい曲調であるにもかかわらず、チャートのランキングを筆頭に各方面の反応はすこぶる良い。


 BTSの弟分として知られるニューフェイス・ENHYPEN(エンハイプン)も独自の道を歩んでいて頼もしい。グループが放つジェンダーレスな輝きはSHINeeに通じるものがあるとデビュー当初は思ったものの、活動を重ねるたびに自分たちなりのカラーが見えてきたようだ。オリジナルのスタイルが早くも完成したのだろうか。その答えは4月下旬にリリースする新作を聴いて確かめたい。


 浮き沈みの激しいK-POPシーンを予測するのは容易ではない。ましてや注目株が次々と登場するボーイズグループではなおさらだ。しかしながら、2021年に限っては動向を占うヒントがこのようにちらほらと出ている。加えて、世界へ羽ばたこうとする日本発の男性11人組・JO1(ジェイオーワン)の新曲「Born To Be Wild」もK-POP的な輝きがあり、彼らがシーンに与える影響も見逃せない。


 個人的にはBTSの「Dynamite」が提示した“わかりやすさ”と“親しみやすさ”を前面に出したサウンドが主流になると見ているが、そんな予測に関係なく、K-POPシーンはしばらくの間ボーイズグループを中心に盛り上がりそうな気配だ。今後も熱き闘いをしっかりと追い続けたいと思う。


※1:https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2164620(まつもとたくお)


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