過熱する「ラン活」にモヤモヤ「ここまでやらなくても…」 色選びで「信頼関係崩れたら」と悩む親も

588

2021年04月13日 08:00  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真※写真はイメージ(gettyimages)
※写真はイメージ(gettyimages)
 ランドセルの購入は、年々時期が早まり、価格は10年で1.5倍に。過熱するラン活の波に乗れず、モヤモヤした思いや疎外感を抱く人も少なくない。AERA 2021年4月19日号で取材した。

【写真】17万超えの超高級ランドセルはこちら

*  *  *
 3月上旬のある平日の午前10時。いよいよ来年入学する娘が欲しがっているランドセルの展示会の予約が始まる。横浜市に住む女性(43)は予約開始時刻前にブランドのウェブサイトを開いて展示会の予約フォームのページを表示し、しばらく待った。10時になると同時にフォームをクリックし、素早く名前や電話番号などを入力して「予約完了」をクリックする。次のページで無事予約が取れたのを確認すると深いため息が漏れた。少しして、もう一度予約フォームのページを開くと、予約枠はすべて埋まっていた。

 展示会では娘の本命の茶系のランドセルを試着。店員から「人気色はゴールデンウィークまでは残らないかも」と聞き、その場で購入を決めた。価格は7万3千円。まだ3月半ばだった。

 2022年度入学の子どもたちのランドセル争奪戦は、入学まで1年以上もある3月に最初のピークを迎えた。希望のランドセルを購入するための活動は近年「ラン活」とも呼ばれ、ヒートアップ。年々平均価格は上がり、時期も早まっている。

■支払いは6割祖父母

 メーカーで構成するランドセル工業会によると、20年のランドセルの平均価格は5万3600円。10年の3万5千円からこの10年間で1.5倍以上になった。同会の調査だと、購入金額を払ったのは61%が祖父母だ。

 早期化は総務省の家計調査(二人以上世帯)を見ると明らかだ。1世帯当たりの通学用カバンの月別支出金額は07〜09年度は入学前の年明け以降の1〜3月が多かったが、12〜14年度は10月がピークに。17〜19年度は7月が最も多く、次に帰省シーズンの8月。5月にも小さなピークができていた。

■我慢ばかりの中の望み

 今年はそれが一段と早まった。新型コロナウイルスの影響で会場の混雑を避けるため、特に人気メーカーは試着する機会を「完全予約制」とし、一度に来場する人数も絞った。人気ランドセルを確実に手に入れるためには、子どもが年中の年末年始頃にはカタログを請求し、ほしい商品を見定め、各メーカーが販売を始める3月に購入した人も多かった。冒頭の女性は言う。

「気持ちばかり焦らされ、ここまで熱心にやらなくてもいいんじゃないかとも思いましたが、自粛自粛ばかりで我慢させることも多く、旅行や遊びにも連れて行ってあげられない中、娘の望みを最大限かなえてあげたいという気持ちでした」

 嬉々としてラン活に挑むというよりは、戸惑いながらも巻き込まれていったようだ。モヤモヤを抱く人はほかにもいる。

 都内に住む会社員の男性(36)は、来年度入学予定の長男にはランドセルを購入するつもりはなかったという。

「多くのビジネスマンは機能性を重視して革のカバンからナイロンのバックパックに移行しているのに、なぜ体力がない幼い子に重たいカバンを背負わせるのか意味がわかりません」

■男女の色分けに違和感

 アウトドアブランドの高機能リュックで代用するつもりだったが、長男は同じマンションに住む小学生の登下校姿を見て、ランドセルが欲しいと言い出した。ひと通りカタログを取り寄せると今度は色問題に直面。どの色が欲しいか本人に聞くたびに、違う色を答える。「男の子用」「女の子用」とカタログを分けているブランドがほとんどだったことにも違和感を抱いた。

「息子は青と言うことが多いですが、最近ピンクと言っていて。どんな色でも尊重してあげたいけど、からかわれて嫌になる可能性もありますし。小さい子に自分の発言に責任を持たせるのはどうかとも悩みます」

 最終的には、4月初めに緑のランドセルを購入した。

 色で悩んだのは、今春入学した娘を持つ都内の40代女性も。

 娘は、昨年の緊急事態宣言明けに近所のショッピングセンターでランドセルを初めて背負い、本人はエメラルドグリーンを希望。あまりにも奇抜な色みだったので出直し、その後も水色や赤、茶色などと意見がコロコロ変わるので、「欲しがっていた付録付き雑誌を買ってあげる」と誘導して、高学年になってもしっくりくる茶色を購入した。

「後々、娘に『あの時ママが言ったから』などと言われ、信頼関係も崩れてしまったらどうしようと悩み、ひたすらネットでランドセル選びのエピソードを読み漁り、鬱々とした時期もありました」

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2021年4月19日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 人は選択肢が増えるとそれを選ぶ決断をストレスに感じるんです。だから選択肢は少ない方がいい。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • お兄ちゃんのが1番カッコいい!とシンプル真っ黒なランドセルを引き継いだ次男。6才差で続けて背負い9年目。あと丸4年次男をよろしくね。
    • イイネ!327
    • コメント 21件

つぶやき一覧へ(380件)

ランキングライフスタイル

前日のランキングへ

ニュース設定