皐月賞、ダービーの行方を占う3歳牡馬番付。アンカツはどう読んだ?

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2021年04月14日 06:21  webスポルティーバ

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 今年の3歳牡馬戦線は当初、昨年末のGIホープフルSを無傷の3連勝で制したダノンザキッドが2歳王者に君臨。そこまでの軌跡が、昨年の牡馬三冠を無敗で成し遂げたコントレイルに似ていることもあって、同馬が断然の存在と思われていた。

 ところが、皐月賞に直行したコントレイルと違って、ダノンザキッドは前哨戦の弥生賞に出走。そこで、あえなく3着に敗れたことによって、一気に混戦模様となった。

 しかも、年明けの重賞を制した馬の多くが皐月賞へ直行。ダノンザキッドを含め、それぞれ未対戦の馬ばかりで、一段と混戦状態に拍車がかかっている。




 こうなってくると、間近に迫った牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(4月18日/中山・芝2000m)、さらには競馬界最高峰のレースとなるGI日本ダービー(5月30日/東京・芝2400m)の行方がどうなるのか、まったく予想がつかない。

 ならば、ここは"プロの目"に頼るのが一番だろう。そこで今回も、競走馬の分析に長(た)けた元ジョッキーの安藤勝己氏に3歳牡馬の実力診断を依頼。牡馬クラシックにおいて、どの馬が有望か検証してもらい、独自の視点による「3歳牡馬番付」を選定してもらった――。


横綱:エフフォーリア(牡3歳)
(父エピファネイア/戦績:3戦3勝)

 今年の3歳クラシックは牝馬だけでなく、牡馬も混戦。それでも、牡馬ではこの馬が頭ひとつ抜けている印象がある。

 何より、ここまで無傷の3連勝。前走の共同通信杯も強かった。スローの瞬発力勝負が向いているのかもしれないけど、だとしても、同レースで見せた切れ味は半端なかった。

 直線だけで2着に2馬身半差の快勝。レース前、ある程度はいい競馬をするとは思っていたけれど、あそこまで強いとは思わなかった。

 父エピファネイアも走る馬を次々に出して、種付け料がグングン上がっている。そんな勢いのある血統であることも好材料。競馬は荒削りだけど、その分、奥がありそう。この馬、まだまだ強くなると思うよ。

 その伸びしろの大きさや、追って伸びる競馬っぷりからすると、皐月賞よりもダービー向き。広い府中のコースでこそ、あの豪快な末脚が生きる。そういう意味では、仮に皐月賞を取りこぼしたとしても、ダービーはこの馬で決まり、ではないだろうか。

大関:ダノンザキッド(牡3歳)
(父ジャスタウェイ/戦績:4戦3勝、3着1回)

 ホープフルSを勝った2歳チャンピオンが、同じコース、同じ距離の皐月賞トライアル・弥生賞で3着。これをどう見るか?

 自分は、トライアルらしいレースをしていたので、悲観することは少しもないと思っている。

 弥生賞では、いいスタートを切ったにもかかわらず、そこから下げた。あれが"トライアルらしい"という、いい例。なぜ下げたのかと言えば、その下げた位置で競馬をして、どんな脚を使えるのか、見たかったからだと思う。

 その結果、あの位置からでは、皐月賞を勝ち切るだけの瞬発力はない――つまり、そこまでの脚は使えない、ということがわかった。陣営としては、負けたけれども、収穫があったレースで、本番で同じようなレースはしないだろう。

 先行して早め早めに動いて、最後にまたグッとひと伸びするのが、この馬のよさ。勝ってきたレースでは、そういった形で結果を出してきた。トライアルを経て、クラシックでやるべき競馬も定まったのではないだろうか。

 瞬発力というより、長くいい脚を使うというタイプゆえ、どちらかと言えば、この馬もダービー向き。ただ"スケール"という点で、横綱には一歩譲るような気がする。


関脇:タイトルホルダー(牡3歳)
(父ドゥラメンテ/戦績:4戦2勝、2着1回、着外1回)

 強敵相手に弥生賞を勝った。それなのに、同馬に対する評価や人気は、なかなか上がってこない。やはり、弥生賞の勝利はフロックに見られているのだろう。

 確かに先手を奪って、展開に恵まれたところはあった。さらに、他の馬が思ったほど力を出せなかった、ということもある。

 でも、皐月賞の"王道トライアル"を勝った馬。しかも、2歳王者のダノンザキッドら相手もそろっていたレースで、2着に1馬身以上の差をつけて勝ったわけだから、そこはもう少し評価してもいいのではないか。個人的には、人気ほど弱い馬ではないと思っている。

 この馬のいいところは、前で競馬ができて、競馬っぷりが安定しているところ。また、よくなるのはもっと先かと思っていたけれど、前走を見て、自分が思っていた以上に力をつけている、ということも感じた。

 皐月賞でも逃げて自分のペースで運べたら、弥生賞の再現があってもおかしくない。

小結:ラーゴム(牡3歳)
(父オルフェーヴル/戦績:4戦2勝、2着2回)

 きさらぎ賞の前は「どの程度の馬かな?」と思って見ていたけど、レースではかなり強い競馬を見せて勝った。あのレースぶりと、4戦2勝、2着2回というここまでの安定した成績を評価して、小結に。

 もうひとつパッとしない印象があって、比較的地味な存在ではあるけど、それがこの馬の個性かもしれない。きさらぎ賞でも、最後にすごい脚を見せた2着のヨーホーレイクのほうが目立っていたからね。

 ともあれ、ホープフルS3着という実績のある、そのヨーホーレイクに際どく迫られながらも、最後まで抜かせなかった。あの勝負根性は見どころがある。皐月賞でも、その勝負根性が生きるようなレース展開になれば、この馬にも出番があるかも。


前頭筆頭:ヨーホーレイク(牡3歳)
(父ディープインパクト/戦績:4戦2勝、2着1回、3着1回)

 きさらぎ賞でラーゴムにクビ差負け。その結果を受けて、この馬を前頭筆頭とした。

 この馬はずっと強いところと戦ってきて崩れていない。そこは評価したい。ただ、勝ち切れない。今のところ、勝利という結果を出すためには、展開の助けが必要になるだろうね。

 要するに、いい脚は持っているけど、まだ自分から動いて、前の馬を捕まえ切るほどの力がついていない、ということ。そのため、いつも仕掛けが一歩遅れて、その分、"届かない"といったレースばかり繰り返している。

 とはいえ、一発ありそうな雰囲気は常に秘めている。今年はかなりの混戦模様ゆえ、この馬にも浮上のチャンスは大いにあると思う。

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 この他にも、注目していた馬はいる。例えば、ボーデン(牡3歳/父ハービンジャー)。芝1800m戦を速い時計で勝っていることもあって、スプリングSでは相当期待していた。ところが、結果は3着。馬場が悪かったとはいえ、ちょっと残念だった(※右後肢にフレグモーネ発症のため、登録していた皐月賞は回避)。

 あと、すみれSを勝ったディープモンスター(牡3歳/父ディープインパクト)とか、京都2歳Sでラーゴムを下したワンダフルタウン(牡3歳/父ルーラーシップ)とかも面白い存在だと思う。

 とにかく、今年は稀に見る混戦。皐月賞も、ダービーも、多くの馬にチャンスがあると思う。とりわけダービーは、別路線から突然有力候補が登場して、その馬が戴冠を遂げる――そんなことも起こり得るんじゃないだろうか。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

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