「めまいで転倒」という死亡リスク 高齢者の「不慮の事故」の本当の意味

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2021年04月14日 11:00  AERA dot.

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写真「ただの転倒」と甘く見てはいけない(写真/Getty Images)
「ただの転倒」と甘く見てはいけない(写真/Getty Images)
 つまずき、転んで骨折……実は高齢者にとってこれほど危険なことはありません。そしてその一因が「難聴」であることをご存じでしょうか。現在発売中の『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』では、なぜ転倒が危険なのか、なぜそれが耳と関係しているのかを医師が解説しています。

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「めまい」があると、転倒リスクが2倍以上になる――医学研究でこのような結果が明らかになっています。しかし、ただ「転ぶ」ことにいったいなんの問題があるのでしょうか。聖マリアンナ医科大学病院の肥塚泉医師は、認知機能の低下を懸念します。

「高齢者の転倒は、大腿(だいたい)骨近位部(大腿骨の骨盤につながる部分)の骨折の原因になります。ここは体重の支持にかかわる重要な部分で、骨折してしまうと寝たきりになってしまうことも。入院して自由に動けず筋肉量が減ると、人とのかかわりが低下してしまい、認知機能がダウンしてしまいます。そして、そんな大腿骨近位部骨折の原因の74%は転倒なのです」 

 転倒の危険性はそれだけではありません。厚生労働省の「人口動態統計」(2019年)で、65歳以上の「不慮の事故」による死亡の内訳をみると、「スリップ、つまずき及びよろめきによる同一平面上での転倒」が22%を占めています。これは交通事故(8%)よりも大きい割合です。

 また、同じ調査では「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死(できし)及び溺水」も16%と多いですが、これも「浴室での転倒が一因」と肥塚医師は話します。

「意外にも、転倒は高齢者の死亡リスクになっているのです」

 また、転倒を引き起こすめまいは、難聴とも関係があるというのです。どういうことでしょうか。

「めまいと耳は密接に関係していて、めまいの7割は耳の不調が原因です。聴覚をつかさどる蝸牛と、からだの平衡感覚をつかさどる三半規管などがつながっているからです。加齢で内耳の機能が弱くなる、つまり耳が悪くなると、からだのバランスのとり方も悪くなる人が多いのです」

 また、難聴で音の指向性が分かりにくくなることも一因だといいます。音の発する位置が分からないと、バランスを崩して転倒するリスクにもなるそうです。

「音の方向が分からなければ視覚で補うということも考えられますが、高齢者では難しい場合も多い。補聴器(両耳装用)で音の方向が分かるようにすると安全です」

 難聴の治療以外に、いますぐできる予防策はないでしょうか。

「転倒防止には、足元の情報が大事です。マットレスの上に立つとふわふわして不安定ですよね。足元の感覚が分かるように靴底の薄い靴を履くことをおすすめします。また、歩く際に杖やパラソルをつくこともおすすめです。地面の感覚を手のひらに入れるだけで、安定しますよ」

「めまい」の一因である難聴を防ぐにはどうすればいいでしょうか。イラスト・写真が増えてより読みやすくなった『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』では、難聴が引き起こす健康リスク、近年変わりつつある補聴器の最新トレンドなど、医師、言語聴覚士など総勢21人の医療関係者の監修&補聴器販売店への取材をもとに紹介しています。

(文/白石圭)

※『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』から

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