「赤い緋鯉(ヒゴイ)」って、お母さん? 童謡「こいのぼり」を歌ってわかる意外な事実

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2021年04月14日 16:00  AERA dot.

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写真(c)朝日新聞社
(c)朝日新聞社
 車窓から、青空をバックに気持ちよく泳ぐ鯉のぼりの姿を遠くに眺められる季節になりました。

【イラスト】筆者が描いたかわいいこいのぼりはこちら

 筆者の実家は、倉敷でもやや田舎の方でした。庭には先端に金色の風車がついた、立派な鯉のぼり用の木の柱が立っていて、4月の半ば頃から、黒と赤2匹の鯉と五色の吹き流しが気持ちよさそうに風に吹かれていたのを覚えています。

 ただ、筆者としては、2階の物置部屋にしまってある鯉のぼりを引っ張り出して、その中に入って遊んだ時の、ホコリっぽさと染料が混じった、なんとなく心地いい香りが一番の思い出ですが・・・。

 鯉のぼりは、もともと、江戸時代に武家や裕福な町民の家で、後継ぎとなる男の子の誕生を知らせ、その子が立派に成長し、立身出世することを願って、布に鯉の絵を描いて、幟(のぼり)として掲げたのが始まりとされています。

 黄河の上流にある「登竜門」の激流を登り切った鯉が竜になって天に上るという言い伝えから、どんな困難も乗り越えられるようにとの願いを込めたものと言われています。その後、布に描かれた絵から、鯉の姿をしたものへと変わっていきました。

 元々は、黒い真鯉だけだったものが、明治時代に赤い緋鯉が加えられ、昭和に入って、青や緑、黄色などの小さい鯉も加えられるようになりました。江戸時代に活躍した、歌川広重の浮世絵にも、立派な黒い真鯉の鯉のぼりを描いたものもあります。

 ところで、皆さんは一番大きい真鯉がお父さん、その下の赤い緋鯉がお母さん、と思っていませんか? 筆者もそう思っていました。

 でも、昭和初期に作られた、皆さんもよく知っている童謡「こいのぼり」の歌詞を見てみると、このようになっているんです。

やねより たかい こいのぼり
おおきい まごいは おとうさん
ちいさい ひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

 そう、お母さんが登場しないんです。

 本当の理由はわかりませんが、そもそも端午の節句が、男の子のお祝いということで、お父さんと子供(男の子)だけだったのでしょうか?

 でも実はその後、昭和57年に付け加えられたとされている二番の歌詞には、ちゃんとお母さんも登場します。

やねより たかい こいのぼり
おおきい ひごいは おかあさん
ちいさい まごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

 ですので、今では、大きい真鯉がお父さん、その下の赤い緋鯉がお母さん、色とりどりの小さな鯉が子供たちということのようです。時代の流れと意識の変化に合わせて修正されていったということでしょうね。

 余談になりますが、端午の節句と言えばもうひとつ、鎧兜や武者人形も飾ることも多いですよね。鯉のぼりを「外飾り」、鎧兜や武者人形を「内飾り」と呼んで区別することもあるそうです。

 先ほども書いた通り、鯉のぼりは、男の子が生まれたことを天の神様に示し、その子の立身出世を願うのに対して、鎧兜や武者人形は、その子が健康で健やかに育つことを願うと言われています。

 最近は住宅事情から、大きな鯉のぼりを見かけることは少なくなりましたが、やはり、青空を悠々と泳ぐ鯉のぼりを見ると、日頃の小さな悩みも吹き飛んでしまうような、清々しい気持になるのは筆者だけでしょうか?

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

※AERAオンライン限定記事

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