小園、畔柳、達以外にも「超高校級」の逸材! 大学などにも“目玉候補”の投手ずらり

2

2021年04月14日 17:00  AERA dot.

  • 限定公開( 2 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真ノースアジア大明桜・風間球打 (c)朝日新聞社
ノースアジア大明桜・風間球打 (c)朝日新聞社
 投高打低。今年の選抜高校野球ではそんな声が多く聞こえた。開幕してから4日間はホームランが出ず、決勝戦にも象徴されるようにロースコアの接戦が多かったことがその原因だが、ドラフト候補のプレーについても同様だったと言えるだろう。大会前から評判だった投手が軒並み見事なピッチングを見せ、特に小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、畔柳亨丞(中京大中京)の3人は上位候補という評価を固めた印象が強い。それ以外にも木村大成(北海)、石田隼都(東海大相模)、花田侑樹(広島新庄)、伊藤樹(仙台育英)なども軒並み評価を上げたと言えそうだ。

【写真】ファンが選んだ「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 そして今年は選抜高校野球に出場していない高校生や、他のカテゴリーにも好投手が多い。高校生で昨年から上位候補に名を連ねているのが風間球打(ノースアジア大明桜)と森木大智(高知)の2人だ。風間は昨年夏の秋田県代替大会で150キロをマークした大型右腕。秋は少し調子を落として早々に敗退したものの、この春はコンスタントに150キロを超えるまでスピードアップしてきているという。真上から投げ下ろすストレートの角度は抜群で、投げる以外のプレーのレベルも高い。この春のでき次第では、高校生の目玉となる可能性もあるだろう。

 森木は中学時代に軟式で150キロを計測。高校では小さな故障が重なってなかなか本領を発揮することができずにいるが、この春の県大会では152キロをマークして成長ぶりを見せた。同世代の中で最も早くその名が知れ渡った選手だけに、最終学年での巻き返しに期待したい。

 この春に一気に浮上してきた感があるのが大型サウスポーの羽田慎之介(八王子)だ。190cmを超える長身で、サイドに近いスリークォーターから最速149キロのストレートを投げ込む姿はかつてメジャーで大活躍したランディ・ジョンソン(元マリナーズなど)を彷彿とさせるものがある。この春は故障明けということで短いイニングの登板に限定しているとのことだが、スケールは抜群なだけに夏の活躍次第では上位候補に浮上することも十分に考えられるだろう。他では昨年秋の北海道大会で木村と投手戦を演じた道内を代表する本格派右腕の田中楓基(旭川実)、この春の成長著しい寺嶋大希(愛工大名電)なども面白い存在となりそうだ。

 大学生で目玉と見られているのが佐藤隼輔(筑波大)だ。仙台高時代から宮城県内では屈指のサウスポーと評判の投手で、大学でも順調にステップアップしてきた印象を受ける。4月10日に行われた春季リーグの初戦では全12球団のスカウトが集結する前で3安打完封。翌日もタイブレークとなった10回からマウンドに上がって3イニングを自責点0に抑えて、2日連続で勝ち投手となっている。リーグ戦通算防御率は0点台と安定感は抜群で、フォームの雰囲気は昨年の目玉だった早川隆久(楽天)に重なる部分もある。順調にいけば複数球団の1位指名が濃厚だろう。

 大学生では他にも佐藤と同じサウスポーに注目選手が多いが、中でも1位候補になってきそうなのが鈴木勇斗(創価大)と山下輝(法政大)の2人だ。鈴木は173cmと上背はないものの、たくましい体格から投げ込むストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、その勢いは大学球界でも指折りだ。春季リーグの初戦では爪を痛めていた影響からか自慢のストレートが少し走らなかったものの、それでも1安打、13奪三振完封と圧巻の投球を見せている。昨年と比べて変化球の精度が上がったのは大きな成長である。

 山下は190cm近い長身から投げ下ろす角度十分のボールが武器の大型左腕。今季初登板となった4月11日の慶応大戦では4回3失点で負け投手となったものの、立ち上がりの2回は完璧な投球を見せて居並ぶスカウト陣を唸らせた。完成度は佐藤、鈴木には劣る印象だがスケールの大きさがあるだけに、将来性を重視する球団は高く評価する可能性が高いだろう。他のサウスポーでは隅田知一郎(西日本工大)、桐敷拓馬(新潟医療福祉大)、黒原拓未(関西学院大)、伊藤稜(中京大)なども有力候補となりそうだ。

 右投手では徳山壮磨(早稲田大)、三浦銀二(法政大)など高校時代から評判の投手を抑えて最も注目を集めそうなのが椋木蓮(東北福祉大)だ。昨年秋のリーグ戦ではリリーフでの登板ながらほぼ完璧なピッチングを見せてMVPを受賞。最速153キロのストレートだけでなくコントロールも高レベルで、短いイニングであれば崩れそうな気配が全く感じられない。リリーフ陣が手薄な球団にとっては極めて魅力的な投手と言える。宮城県内の新型コロナウイルス感染状況の悪化から、仙台六大学野球のリーグ戦開幕は5月にずれ込むこととなったが、スカウト陣が大挙して視察に訪れることは間違いないだろう。

 社会人で圧倒的なナンバーワンと見られているのが広畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)だ。昨年の都市対抗では開幕戦で前年の優勝チームであるJFE東日本を相手に1失点完投。ストレートの最速は154キロをマークしている。今年3月に行われた東京スポニチ大会では抑えとして活躍し、チームを優勝に導くとともに自身もMVPを受賞している。

 先発、リリーフどちらでも力を発揮できるのが大きな長所で、150キロを超えるストレートをコーナーに投げ分けるコントロールも見事。即戦力の投手が欲しい球団が昨年の栗林良吏(広島)のように最初の入札で1位指名する可能性も高いだろう。その他では森翔平(NTT西日本)、吉村貢司郎(東芝)、鈴木大貴(TDK)、米倉貫太(Honda)なども注目の投手たちである。

 昨年はどのカテゴリーも公式戦が少なかったが、それでも今年候補に挙がっている投手たちのレベルはかなり高い印象を受ける。高校では春季大会、大学は春のリーグ戦、社会人は日本選手権出場をかけた大会が続々と行われているが、ここからまた新たな選手が浮上してくることにも期待したいところだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員












    ニュース設定