あたらしいとうきょう/オズワルド伊藤の『一旦書かせて頂きます』

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2021年04月14日 19:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真オズワルド伊藤
オズワルド伊藤

 2021年4月9日、1年越し2年振り3度目の単独ライブを終えた。
 ちょうどその前日が、このエッセイの締め切りだった。

オズワルドのおふたりへのインタビューはこちら:「M-1優勝に向けた、2年間の集大成を見せます」オズワルドに「ルミネtheよしもと」での初単独ライブについて聞く!

 全然無理。全然無理だった。
 単独なめてた。久しぶりだからなめてた。
 単独えぐい。単独まじ時間足りない。

 ただそれは、合間がなく隙間もなく、全身全霊を注ぎ込んだから。
 お笑い芸人にとっての単独ライブとは、売れてようが売れてなかろうが、その時にやりたいことやるべきことを全て、もう本当に全部全部実現させる為に、皮膚裏返るくらい本気オブ本気で取り組むべきものなのである。

 さてさてようやく単独ライブが終わったので、先日の単独について少し書かせて頂きたいと思う。

 今回の単独を行わせて頂くことが決まった時、今までの単独とは置かれている状況や、出来る範囲が異なる点がいくつかあった。

 まずはM-1に出させて頂いてからは初めての単独だということ。

 1回目2回目と最も異なる点である。
 集客力ひとつとっても、M-1の影響力の凄まじさを改めて実感させて頂いた。

 逆に言えば、以前のように、いや別に以前も手を抜いていたわけではないのだが、なにからなにまで今までとは違うんだというところを見せなければならないという勝手なプレッシャーも半端ではなかった。
 漫才はもちろんのこと、VTRやコント、全体の構成やら、圧倒的に今回が一番時間と労力を費やしたと言って間違いない。

 次に、初めてのルミネ単独。

 東京の芸人として、吉本はもちろん吉本以外の様々な劇場にも立たせて頂いたが、お笑いをやるに当たって、思い出だとか諸々を差し引いても、これ以上の劇場は関東に他にはない。西はもちろんNGK(なんばグランド花月)。

 吉本に入ってからずっと、ルミネに立つことは目標のひとつであったし、ここで単独ライブが出来たらどんなに気持ちがいいんだろうかと、近場の先輩や同期後輩の絶好調組が、あれよあれよとルミネ単独の経験を経ていくのを、奥歯無くなるくらいの歯ぎしりで見つめることしか出来なかった日々はそう昔の話ではない。

 だからこんな時代に、パラデル漫画家であり、最も古くからオズワルドを知る先輩、魂の巾着本多修先生の、胸焼けするほど愛のこもったOPV(オープニングVTR)から、幕が開き、割れんばかりの拍手の中に飛び込ませて頂いたあの瞬間は、すいません一番はじめに浮かんでしまった言葉を使わせて頂きますが、“テックツ”よりも気持ちよかった。

 あの光景は賞レースとはまた別物であり、なにかこう、改めてまたひとつ報われたなあと、不思議と若手の青田買いライブで深夜2時頃18人のお客さんの前で初めてルミネに立たせて頂いた時のことを思い出した。
 涙ってのは多分体の仕組みとは別の理由で流れたがるもんだから、開幕そうそうにちょこっとだけしゃくれさせて引っ込めた。

 そしてもうひとつは、絶対に妹・伊藤沙莉に出て欲しいと思ったということ。

 もちろん自分達の単独であるから、自分達がやりたいことを存分にやるべきではあるのだが、僕の中ではもうそれ自体がやりたいことの中に組み込まれていた。

 兄妹で、大きく分けたら同じ世界ではあるが、そこはやっぱり芸人と俳優。

 この先死ぬほど売れていけば、いつかどこかで交わるタイミングがあったのかも知れないが、僕はやっぱり、自分達が一番面白くなれる空間でうちの天才と仕事をすることを実現させたいと思った。誰かの作ったなにかではなく、僕達の作った最高の場所で一緒に仕事がしたかったのである。

 そうなってくると、もう最後はお祭りになる。

 だったら折角だしということで、コンビ揃って愛してやまないカナメストーンさんという先輩も交えての長編コントが誕生した。このカナメストーンさんについては、書き出したら止まらないのでまたいつか書かせて頂く。

 最後のユニットコントについては卒論くらい書けることがあるのだが、ひとつだけ思ったことを書いていいとするのなら、本当にもういいわと思う方のオンパレードだとは思うが、やはりうちの妹は天才だということ。ユニットコントのラスト、暗転する直前の表情に、本当に兄バカでもなんでもなく、僕は身動き取れないくらいに引き込まれてしまっていた。改めて、今のタイミングで一緒に仕事が出来てよかったと思った。

 内容について諸々触れていきたかったのだが、それに至るまでの心情や経験が全くそこまでいかせてくれなかった為、とにかく感慨深く漫才もコントもVも劇団も歌も、最高の単独であったと自負しているということだけでも伝わってくれていたら幸いである。

 M-1はもちろん、芸人として、コンビとして、確実に向かうべき指針がわかったような気がした、そんな単独ライブであった。

 最後に。オンライン配信まだ売ってるから買ってね。

 一旦辞めさせて頂きます。

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