難関国立大に強い「現役合格率」ランキング! 卒業生の2人に1人“東大合格”トップ校が抱く「挫折」

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2021年04月15日 08:00  AERA dot.

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写真大学通信協力。国=国立、公=公立、私=私立で、白地に緑色文字のマークは中高一貫校を示す。国立大の合格者数は、合格実績のある高校に週刊朝日、サンデー毎日、大学通信が合同で調査した3月末日現在判明分。現役合格者のうち、主な理系学部の内訳も表記した。非公表や未集計などの場合もあり、掲載した人数よりも合格者が多いことがある。東京大の科類別合格者数には、推薦合格者を入学許可科類で集計し加算した。現役合格率(%)は、現役合格者数÷卒業生数×100で算出した。定時制や通信制を併設する学校は全日制の卒業生数を使用。同率で順位が異なるのは、小数点第2位以下の差による
大学通信協力。国=国立、公=公立、私=私立で、白地に緑色文字のマークは中高一貫校を示す。国立大の合格者数は、合格実績のある高校に週刊朝日、サンデー毎日、大学通信が合同で調査した3月末日現在判明分。現役合格者のうち、主な理系学部の内訳も表記した。非公表や未集計などの場合もあり、掲載した人数よりも合格者が多いことがある。東京大の科類別合格者数には、推薦合格者を入学許可科類で集計し加算した。現役合格率(%)は、現役合格者数÷卒業生数×100で算出した。定時制や通信制を併設する学校は全日制の卒業生数を使用。同率で順位が異なるのは、小数点第2位以下の差による
 センター試験から大学入学共通テストに切り替わった今年の受験に向けて、現役志向や理系志向が高まっているといわれてきた。実態はどうだったのか。「現役合格率」を特集したAERA 2021年4月19日号では、東京大学におよそ2人に1人が現役合格するトップ校を取材した。

【難関大に強い高校の合格実績の続き、「全国版121校」はこちら!】

*  *  *
 教室の端から端まで広がる巨大な黒板に、生徒が文字を次々に書き込んでいく。

「そんな数式ありえる?」
「いや、この解き方めっちゃかっこいい」

 誰かが解法をひらめけば、また別の誰かが掛け合いのように黒板に書き始める。筑波大学附属駒場(東京都)の授業はとにかくにぎやかだ。

「筑駒にはおしゃべりな生徒が多いんですよ」

 そう微笑むのは、同校中学副校長の町田多加志教諭だ。

「授業中は教室の至るところで“沸騰”が起きるんです。質問を投げかければ、想定外の反応が次々と返ってくる。私たち教員は、生徒の学びたいことを邪魔しないように気を付けています」(町田教諭)

 校舎は、東京大学駒場キャンパスから歩いて10分もかからない場所にある。今春卒業した160人のうち、70人が東大に合格。名実ともに「東大に最も近い」学校といえる。

■医・薬・看護学部が躍進

 大学入試改革とコロナ禍に翻弄された2021年度の大学入試。前年の20年度が“最後のセンター試験”で現役合格を目指す安全志向が高まったこともあり、既卒者が減少。最終的に21年度の出願者数は53万5245人で、前年度より2万2454人減った。

 だが、すべての学部で志願者数が減少しているわけではない。

 代々木ゼミナールの調査によると、21年度入試での国公立大出願状況は法学系が89.6%、国際・外語系が90.1%と減っているのに対し、薬学系107.3%、看護系102.7%と出願が増加している学部があることがわかる。Y‐SAPIX教育情報センターの堅田一郎さんはこう分析する。

「数年前から医学部は志願者減の傾向にありました。ただ、不景気時には医療系に人気が集まる。今年はそれに加えて、新型コロナウイルスのワクチンへの関心が高まったこともあり医・薬・看護学部が躍進しました」

 受験生が選んだのは医療系学部だけではない。

「私大の志願者数は前年比86.3%でマイナス約46万人と大きく減少していますが、理学系の情報関連学科は97.1%とあまり減っていません」(堅田さん)

 高校でのプログラミングの必修化や、24年度(25年春)大学入学共通テストでの「情報」新設が検討されるなど、受験生を取り巻く環境は激変している。

 アエラでは、大学通信の協力を得て、難関国立大学への現役合格率を算出。旧帝大(東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州)、東京工業の8大学への合格者数の多い上位校を調査し、現役合格率で一覧にした。現役合格率は、各大学への現役合格者数を卒業生数で割った数値。うち、3月末時点で判明している理工医系学部の合格者数も参考までに掲載した。

 さらに、早稲田・慶應義塾・東京理科・MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の難関8私立大の主な理工系学部における合格者数を調査し、その合計数でランキングにした。ただし、現役だけでなく浪人生を含み、かつ、優秀な生徒が複数の学部や学科に合格する「のべ合格者数」で掲載されているので、比較には注意が必要だ。

■約2人に1人が東大へ

「東大の合格者数上位は中高一貫の男子校が目立ちますが、その中でも栄枯盛衰があります。今年は奈良県の西大和学園が大きく増やしています。14年度から男女共学になり、昨年初めて女子の一貫生が卒業。51人が東大に現役合格しています」

 そう指摘するのは、大学通信の安田賢治常務だ。21年卒の大学入試では、共学と公立の飛躍が目立ったという。

「ここ数年、東大がふるわなかった日比谷も48人が現役合格しました。浪人生も含めると前年比23人増の63人で、1970年の99人合格以来、51年ぶりの60人超です。今年は東大の文系数学が易化したため、入りやすかったこともあり、公立が躍進しました」(安田さん)

 そんな中、東大への合格率が43.8%と抜きんでているのが、冒頭の筑駒だ。卒業生数160人に対し、東大現役合格者数はなんと70人。合格者数だけを見れば王者・開成の106人が際立つが、卒業生数の数から割り出すと筑駒の東大への圧倒的な強さが見て取れる。

 興味深いのは、東大に受かった70人のうち、約7割にあたる47人が理系という点だ。理科I類に32人、II類に3人、そして東大の中でも難関とされる理科III類には12人の生徒が合格した。

 21年卒生の学年主任で数学科の三井田裕樹(みいだゆうき)教諭は説明する。

「ふたを開けてみると医学部が多い学年でした。理IIIに12人、東京医科歯科大に6人が受かっています。高2の頃に医科歯科大や筑波大の医学部を見学するプログラムを受けた代なので、その影響もあるかもしれません」

■超進学校ならではの挫折

 何年かに一度、医学部志望が目立つ代があるという。医師を親に持つ生徒が多いなど理由はさまざまだが、学校側が生徒たちの志望を誘導するようなことはしない。また、文部科学省が02年に設置した「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受けてから理系進学が増えた時期もあったが、今は落ち着いてきたという。

 何でもできる生徒ばかりが集まっているようにも思えるが、

「筑駒生はみんな、強い挫折感を味わっているんです」

 と、三井田教諭は言う。

「中学受験を終えて自信満々で入ってくるのに、周りには自分よりも何かが秀でた生徒がいるんです。英語やプログラミング、折り紙までジャンルは様々ですが、いつまで経っても自分よりすごいと思える仲間がいるので、6年を通して伸び続けることができます」

 挫折と聞けばネガティブに受け止めやすいが、決してそんなことはない。それぞれが個を伸ばす要素となっているのだ。

■「教えない」という考え方

 さらにその感覚は生徒だけではない。三井田教諭は言う。

「今は授業もすごく楽しいけれど、最初は私も教室に行くのが嫌でした」

 数学を教えようと意気込むも、想定通りに進まない。どうすれば生徒が授業に参加してくれるのか試行錯誤する日々が続いた。わかりやすく教えることが教師の仕事だと思っていたが、筑駒ではわかってしまうから聞いてもらえないときもある。そんな時に先輩教師からこう言われた。

「生徒に教えているうちは通用しない。生徒から教わるくらいでいい、と。最初は理解できませんでしたが『教えない』って考えも生徒との関係性を良いほうに傾けられるので、とても奥深いんです」(三井田教諭)

(編集部・福井しほ)

※AERA 2021年4月19日号「難関大学に現役合格できる高校」特集から抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • 個人的には、どこの大学に現役で入ったかよりも、大学での過ごし方が重要だと思う。受かったからって遊んでるようじゃダメ。
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  • いくらできる子ばっかり集めても…女子校だと「強い挫折感」って表現は出てこない。そのへん女子校と男子校は空気が違うんだろうなと思う
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