「補聴器を通販や眼鏡店で買ってはダメ」 耳鼻科医が警告する理由

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2021年04月15日 11:00  AERA dot.

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写真安易に購入しないようご注意を(写真/Getty Images)
安易に購入しないようご注意を(写真/Getty Images)
 10人に1人が難聴といわれる時代。耳の聞こえを補う手段の一つ・補聴器は、じつは高度な医療機器であることをご存じでしょうか。現在発売中の『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』(朝日新聞出版)では、耳に関するよくある疑問について、耳鼻咽喉科の専門家に聞きました。

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疑問1 難聴と診断される人は日本にどのぐらいいるの?

 現在、日本で難聴とされる人の割合は、統計的には人口の約1割強とされています。これは軽度難聴以上と診断された難聴者の割合であり、聞こえの悪さが気になっている人や聞こえで困っている人も含めると、さらに割合は増えると予想されます。今後のさらなる高齢化で、人口における高齢者の割合がさらに増加していくと、難聴者の割合も今よりも増えていくでしょう。

 近年は携帯音楽プレーヤーやスマートフォンで長時間、大音量で日常的に音楽聴取をする若者が増加しており、難聴のリスクとして世界的に問題になっています。今後は、騒音性難聴の増加も懸念されています。

疑問2 「めまい」と耳は何か関係がある?

 内耳には、蝸牛(かぎゅう)、半規管(はんきかん)、前庭(ぜんてい)という器官がありますが、聴覚に関係しているのが蝸牛で、半規管や前庭は平衡感覚に関係しています。よって、内耳に異常をきたすと難聴症状のほか、半規管や前庭の平衡感覚機能も損なわれて、めまいが生じることがあります。

 急な難聴を引き起こすメニエール病は内耳全体の病気です。そのため、蝸牛の機能が損なわれて難聴症状が引き起こされるほか、前庭や半規管の機能も損なわれて、めまいやふらつきが生じます。

 片耳の難聴の症状に加えてめまいの症状があるときには、メニエール病や突発性難聴である可能性があります。急な難聴やめまいの症状があるときには、できるだけ早急に耳鼻咽喉科を受診しましょう。

疑問3 加齢性難聴は治療することができない?

 老化を止めることができないように、加齢による難聴の場合は、悪化のスピードを緩めることはできても、一度悪くなった聴力をもとに戻すことはできません。将来、再生医療の分野で研究が進めば聴力を改善できる可能性もありますが、現在の医療では不可能です。

 ただし、ことばの聞き取りについては、補聴器による脳のトレーニングによって改善できる可能性はあります。ことばは脳が耳から入った音を処理して聞き取るため、補聴器を装用してリハビリを受けることでまた聞き取りのできる脳に変えていくことができます。

疑問4 補聴器はどんなお店で買っても同じ?

 補聴器は装用したらすぐに聞こえるものではなく、言語聴覚士の調整と必要なリハビリを経て、徐々に聞こえるようになっていくものです。購入する前には必ず医療機関を受診し、補聴器を装用すべきかどうか、事前に医師の診察を受ける必要があります。

 診察後に、補聴器相談医のいる補聴器外来や、医療機関の薦める認定補聴器技能者のいる販売店に行きましょう。そこで補聴器の「3カ月間の貸し出し」と「補聴器を装用して聴力検査」を受けます。

 これら両方を実施するお店であれば優良店といえます。医師の受診なく、通販や眼鏡店で安易に補聴器を購入しないよう注意しましょう。

疑問5 難聴になると、聞き取りにくい言葉がある?

「聞き取りにくいことば」は、難聴のタイプにもよりますが、加齢性難聴では一般に、高音域から聞こえにくくなります。ことばの中でもとくに高音域に位置する「サ行」は、早い段階で聞き取りにくさを感じるでしょう。

 日本語は母音を主体とした言語であるため、他言語に比べて聞き取れることばも比較的多く、万が一聞き取れなかった場合でもことばを推測しやすいと言われています。

 それに対して、子音が言語に多用される英語圏では、ことばの聞き取りにくさを感じ始める年齢が日本よりも早いとされています。そのため、補聴器の装用率も日本では約1割にとどまるのに対し、欧米では3〜4割にものぼるとされています。

 中国語もまた、高音域が聞こえにくくなると抑揚がとりにくくなり、ことばとして聞き取りにくくなるとされています。そのため、中国語圏の人たちもまた、ことばの聞き取りにくさを感じ始める年齢は日本人より早いとされています。

【監修】
新田清一(しんでん・せいいち)医師
済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科主任診療科長/聴覚センター長
鈴木大介(すずき・だいすけ)さん
済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科言語聴覚士

(文/石川美香子)
※『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』から

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