二階発言、自民党コロナワクチン対策事務局長も認める 「五輪開催が非常に困難なのは事実」

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2021年04月16日 19:20  AERA dot.

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写真今年3月、新型コロナウイルスワクチンを接種する菅義偉首相 (c)朝日新聞社
今年3月、新型コロナウイルスワクチンを接種する菅義偉首相 (c)朝日新聞社
 新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、政府は埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県に「まん延防止等重点措置」を適用することを決定した。二階俊博・自民党幹事長から「五輪中止も選択肢」発言も飛び出すなか、五輪開催に向けたカギともなる「ワクチン接種」は、遅々として進んでいない。この現状を自民党はどうとらえているのか。自民党の新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチーム事務局長の古川俊治参議院議員に聞いた。

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■「ワクチンより治療薬」という頭があった

――二階幹事長が東京五輪・パラリンピックについて「感染状況次第で中止もあり得る」と発言しました

 それは政治判断としてある。官邸と話して決めるのでしょう。我々もやりたい気持ちもあるが、実際にこういう状況になって、開催が非常に困難なのは事実です。世論からも「開催はどうなのか」というのはある。去年の段階では、「やるならこういう形でやる」という正確な判断は難しかったと思います。そこをあえて「やる」と言ってきたのだから、それならその体制を整えようということでやってきました。そこは大きな政治判断で、どちらになっても決めた方向に動くということ。新たな政治判断をするのであれば、その中でやるしかない。ベストを尽くすしかない。

――医療従事者などのワクチン接種率は20%強、今週始まった高齢者への接種も全国で1日1000人台にとどまるなど、ワクチン接種が進んでいません

 その実態はあります。イスラエルやイギリスは国民の半分がワクチンを接種しているという状況なので、「早くワクチンを打って8月に五輪をやろう」という話になるのでしょう。しかし残念ながら日本は少ない状況になっています。

 国としても早くワクチンを打ちたかったですよ。ただ、ワクチンがこんなに早くできるというのは、国としても考えていなかったところでしょう。まずは治療薬ができるという頭だった。だからアビガンに飛びついたところがある。ワクチンを作るのに今まで10年かかっていたので、こんなに早くできたことは驚きでした。「メッセンジャーRNAワクチン」と呼ばれる技術でワクチンを作ったのは歴史的に初めてですから。

 特に日本のワクチンの歴史は、残念ながら失敗を繰り返してきました。国民の性質としてゼロリスクを求めるというところがある。リスクを嫌う国民ですよね。そういう国民性もあって、すごく慎重にいかないといけないという意識が働いたのも大きいと思います。

■五輪前のワクチン接種は「希望的な観測」だった

――自治体によっては供給されるワクチンが足りず、高齢者用のワクチンを医療従事者に転用している現状があります。どう見ますか

 医療従事者に先に打たないと、高齢者には打てない。例えば、病院では一人の医療従事者が感染すると、濃厚接触者がたくさん出てしまう。現場はチームワークですから。そうすると、みんな休まないといけなくなり、その瞬間に医療が崩壊する。コロナ患者を受け入れている病院で働いている人は、とにかく早く打たないといけない。その人たちが感染すると働く人がいなくなってしまいます。

――それなのになぜ高齢者のワクチン接種が始まっているのですか

 国民に4月から打つと約束していたからでしょう。政治的なメッセージはある。東京五輪前に、「6月までに打つ」と言っていたから。東京五輪前にワクチンを打ってもらうはずだった。そこは希望的な観測ですよね。内閣の中には、悪いシナリオでの分析もあったとは思うが、国民にはそれは言えないですよね。

 昨年、東京五輪を1年延期したとき、客観的に見て、医者として見て、それでも難しいとは思いましたよ。21年にするか、22年にするかという選択はあったと思うが、あのときは安倍総理がいろんなことをお考えになって21年に決した。両方の可能性があり、どちらか悩んだときの決断はトップがやるしかない。それで結果がよければいいのだけれど、難しくなった場合はそのときにベストを尽くすしかない。結果は保証できないから。

――当初のシナリオがうまくいかなかったときに、国民に説明するべきだと思うが

 本当はそうあるべきですね。東京五輪をやるというなら徹底検査でやる、なるべく観客と選手を触れさせないようにやる、関係者は感染を起こさないように毎日検査をやる、とか。

 あと重要なのは、国民に対し、ワクチン接種によって感染者が減っているイギリスやイスラエルのようになれる、というメッセージを発信しないといけませんね。ここから第4波が来ますが、それを乗り切った先に、感染者を抑えた日本の姿があります。

■ワクチン開発にもっと研究開発費を出すべきだった

――ワクチンを確保するためには、国内でワクチンを生産できる環境をつくることが必要なのでは

 国内でワクチンを生産できる体制があるのが、本当はいい。いろいろ反省点はあります。今回ワクチンを作ったモデルナ、ビオンテック、オックスフォードは、全部産学連携から出てきたものです。いわゆるベンチャーです。こうしたところから出てくる取り組みが、日本では弱い。アメリカではアップルやグーグルなどのベンチャー企業が出てきて、世界を席巻している。新陳代謝もものすごく激しい。ところが、日本は大企業がずっと残っている。そういう文化では、世界のイノベーションにはついていけない。アメリカでは投資額の桁が違いますよ。モデルナの「メッセンジャーRNAワクチン」は、10年も前から多額の投資を受けており、それが今回のワクチンにつながった。

 それから、日本では産学連携がすごく弱かったというのもありますね。大学がすごく閉鎖的にやってきたというのは事実です。また、バブルが崩壊してから、研究開発投資が進まなかったというのもある。

 国際的な連携ができていないというのも課題です。ワクチンの臨床試験は、国際的な連携から出てくるものです。島国の宿命ですが、やはり英語教育も見直さないといけない。いろいろと反省点があり、言い出すときりがない。

――政治・政府の責任や課題はどこにありますか

 もっと研究開発費を出すべきだった。日本の研究力が弱くなっているというのは有名な話です。そこをどう考えていくか。人材投資をしなければいけなかったし、理系教育もしなければいけなかった。国家百年の計で、小学校教育から変えないと良い人材は育たない。最終的には人材なんですよ。そこを育てていくことはできなかったですね。

 それから大学のオープン化も十分ではない。アジアの人材を取り込めるだけの大学にしないといけない。そこも遅れてきましたね。海外の大学の何が優れているかというと、世界各国の優秀な人材が集まってくるから。日本人がノーベル賞を受賞したといっても、多くがアメリカで研究をしている。それではアメリカの研究ですよ。我々も、優秀な研究者が欧米から来てくれて、活躍できるような場をつくればいい。沖縄科学技術大学院大学には海外から申し込みもあり、一つの例だと見ています。

 民間は比較的頑張っているが、政府はなかなかそこに取り組めなかった。バブル崩壊や少子高齢化もあり、研究の問題については後まわしにされてきた。目の前の問題ばかりやってきて、長期的な視点がなかったと思います。

■小池都知事の「県境を越えないで」はパフォーマンスが入っている

――世界的なワクチン獲得競争が激しくなる中で、日本は確保できるのか

 アストラゼネカの安全性に不安が出てきたのはつらいですね。我々としても戦略が狂ってきている。高齢者などリスクのある人たちはファイザー、モデルナを打ってもらい、リスクの低い人たちにアストラゼネカを打ってもらうということを考えていた。それが、ヨーロッパでは、「アストラゼネカはリスクの低い人たちが打つべきワクチンではない」と言っていますから。戦略が違ってくる。だから、ファイザーにもっとお願いする必要がある。今日、菅首相がファイザー首脳と会談するようだが、とにかくもらえるだけほしいと言うしかないですね。

――率直に語りますね。

 サイエンティフィック(科学的)なことを積みかさねてコメントしていますからね。例えば、小池百合子都知事が「県境を越えないで」と言っていることは気になっています。東京に閉じ込めるともっと危なくなる。そういう科学的なシミュレーションがあるんです。移動制限すればするほど、東京や大阪では感染者が増える。危険な環境に閉じ込めるわけだから。そうではなく、接触をなるべく断つという条件で、感染率の低い地方に行く方が安全なわけです。車で移動して、なるべく人に会わずのんびりしてくださいと。小池都知事の発言はパフォーマンスも入っているのでしょうね。逆に、変異株を持ち込むリスクがあるので、「大阪に行くな」というのはわかります。

 マスク会食も推奨されていますが、実はこれにエビデンス(科学的な証拠)はない。誰も実験したことがない。兵庫県知事が「うちわ会食」を計画して批判を浴びましたが、飛沫を止めるならうちわにも意味がある。要するに、飛沫を止めるなら、マスクもうちわも一緒。優劣も決めていないのに、うちわがダメで、マスク会食がいいというのは、何のエビデンスがあっているのか、私は聞きたいですね。

 私は、内閣に入っていないから、ここまで言える。参議院議員で、医者上がりで、偉くなろうということもないですから。ただ、党内でも国会議員でも、コロナについては一番知っていると思いますよ。世界の論文を毎日のように読んでいます。良いものを選んで、翻訳してネットで紹介しています。今は500ページ以上になっている。京大の山中伸弥教授にも評価されていますよ。

 特に新型コロナは科学的なコントロールが必要です。そこで科学的ではない取り組みや発言が独り歩きするのがとても気になっています。そうしたことを一つ一つ質していくのが私の役割だと思っています。

(構成/AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

このニュースに関するつぶやき

  • 五輪は去年から諦めてる人が多かったし、今の日本人らしさじゃないかな。政治もSNSやニュースがパフォーマーに焦点を当てるから「勝手に言ってろ」となる。
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  • 二階大先生のポンコツ化が進行中と確認しちゃった人が多数exclamation(*^_^*)やっっちゃたね!
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