補聴器で100万円無駄にした人の後悔 「安易にお店で買わないでまずは病院へ」

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2021年04月17日 11:00  AERA dot.

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写真“高い授業料”を払って得たものとは(写真/Getty Images)
“高い授業料”を払って得たものとは(写真/Getty Images)
 聴力を補うための医療機器・補聴器。正しい方法で購入しないと、後悔することになるかもしれません。現在発売中の『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』(朝日新聞出版)では、約10年間で3台の補聴器と格闘してきた女性の話を聞きました。

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「再びこんなによく聞こえるようになるとは思いませんでした。何台も補聴器を買い替えて、“高い授業料”を払いましたが、補聴器をあきらめなくてよかったです」

 そう話すのは、一度はあきらめかけた補聴器で2020年、聞こえを取り戻した川島好美さん(仮名・60歳)。30代の半ばごろから、後ろから声をかけられても気づけないなど、聞こえにくさを自覚しはじめました。50歳で聞こえが悪化し、家族のすすめで最初の補聴器を購入しました。

「まず病院に行けばよかったのですが、待ち時間が面倒に思えて、手軽に買える眼鏡店で買ってしまったのが失敗の始まりでした」

 眼鏡店で購入した1台目の補聴器は着けていると耳たぶが痛くなり、受話器を近づけると反響音がするため2台目を購入。2台目は電話中の反響音はなくなったものの、話し言葉は聞こえず。違う眼鏡店の勧めで「音域に合った」補聴器を購入。その3台目も言葉は聞こえず、金属音も響いてほとんど使えなかったといいます。

 結局、50歳からの10年間で計3台、総額100万円近くの補聴器を眼鏡店で購入するも、聞こえの改善には至りませんでした。

「有名メーカーの高額な補聴器であれば、間違いないだろうと思っていました。眼鏡店でも検査をして調整してくれていたので、きっと大丈夫だろう、と。けれど、どの補聴器も音は聞こえても“言葉としての音”は聞き取れませんでした。結局もう、素人じゃダメだ、と。病院に行けば言葉が聞き取れるように補聴器を調整してもらえるかな、と。それでもダメならもうあきらめようと思いました」

 補聴器を調整してもらうために近隣の病院を受診すると、済生会宇都宮病院を紹介されて同病院を受診。耳鼻咽喉科の言語聴覚士、鈴木大介さんに3台目の補聴器を見せると、「これは中等度難聴用なので今のあなたの聴力に合っていないですね」と言われたそうです。

「そもそも補聴器の種類選びが間違っていたようです。適正な補聴器で調整してもらい、現在トレーニング中ですが、今回は最初から音が入ってきて、これまでの補聴器とは全く違いました」

 朝起きてから夜寝るまで、一日じゅう補聴器を装用してはや1カ月。1週間ごとに不快な音が気にならなくなり、「脳が順応しているな」と実感できているそうです。

「初めて装用した日の病院からの帰りの車中では、風の音やタイヤの摩擦音が耳に響きましたが、2週間後は気にならなくなり、話し声がしっかり聞こえました。いらない音を遮断して必要な音を拾うように脳が順応し始めたようです」

 難聴状態が続いたことによって、10年近く使われずに休んでいた脳も補聴器を装着するトレーニングで再び活性化。言葉を明瞭に聞き取れるようになってきました。

 誰かの付き添いなしに行けなかったという買い物にも最近は1人で行けるようになったそうです。

「難聴は痛みもなく、自覚症状も耳鳴りだけ。自覚のないまま難聴は進んでいきます。とにかく、『安易に補聴器をお店で買わないで』と言いたい。難聴が重度になる前に、そして、無駄なお金も時間も費やしたくなければ、ぜひ最初に病院を受診してほしいですね」

<川島さんが現在の聞こえを手に入れるまで>

●30代半ばごろ…耳の聞こえが悪くなり始めた
聞こえにくさを自覚し始めたが、病院でCTを撮っても原因はわからず放置。セミやカエルの鳴き声が頭の中で響いているような耳鳴りに悩まされる。

●50歳ごろ…1台目の補聴器を購入
後ろから話しかけられても気づけず、無視しているかのように思われるように。家族のすすめもあって補聴器を検討。眼鏡店で2万円台の1台目を購入。

●51歳ごろ…2台目の補聴器を購入
1台目の補聴器は耳たぶがじんじん痛くなり2時間もつけていられず、電話もできなかったため、有名メーカーの30万円台の補聴器を同じ眼鏡店で購入。

●55歳ごろ…3台目の補聴器を購入
2台目も話し言葉は聞こえず、別の眼鏡店で聴力検査をしたところ、「この補聴器ではもう音域を合わせる幅がない」と言われ、60万円台の補聴器を購入。

●60歳のいま…現在の補聴器で聞こえを取り戻す
3台目も高音域で金属音が響くなどで使えず、病院を受診。言語聴覚士に4台目の補聴器を調整してもらい、トレーニングしながら徐々に聞こえを取り戻している。

(文/石川美香子)
※『「よく聞こえない」ときの耳の本 2021年版』から

このニュースに関するつぶやき

  • 「難聴状態が続いたことにより10年近く使われずに休んでいた脳も補聴器を装着するトレーニングで再び活性化。言葉を明瞭に聞き取れるように」 耳が衰えると認知症リスクが上がる。
    • イイネ!2
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  • 最初から耳鼻科に行くべきでしたね。
    • イイネ!21
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