ターゲットは「メイクは義務」と思っている人 サポート型コスメブランドBeMe誕生のきっかけ

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2021年04月17日 14:11  ウートピ

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「メイクは身だしなみの一つとされているけれど、正直めんどくさい」「コスメは好きだけど使いこなせなくて、結局フリマアプリで売ってしまう」「オンライン会議で自分の顔を見続けていたらもっと自分に合うメイクを研究したくなった」

そんなメイクの悩みを持つ人に向けて、自分自身に似合うメイク方法を商品購入後に動画で学べるサポート型コスメブランド「BeMe(ビーミー)」が4月6日に誕生しました。

開発したのはSNS活用を支援する企業「テテマーチ」(東京都品川区)とヘアメイクアーティストの佐々木一憲(ささき・かずのり)さんです。

化粧品メーカーではないベンチャー企業がなぜコスメを? 開発担当者の齋藤香奈(さいとう・かな)さんと佐々木さんにお話を伺いました。

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身だしなみとされているのに…メイクを教えてくれる場がない

——「BeMe」開発のきっかけを教えてください。

佐々木一憲さん(以下、佐々木):雑誌やSNSで発信しているプロのメイクさんってメイクが好きな人に向けてさらにうまくなるためのテクニックを発信している人が多い印象でした。

個人的には「コスメは好きだけど、メイクはあまりうまくない」「そもそもメイク自体がそこまで好きじゃない」人も多いんじゃないかなとずっと思っていて、プロが伝える超簡単なメイクを「#ササメイク」としてSNSで発信しはじめました。その中で「1パレットで簡単にメイクできる商品を作りたい」という内容のことをつぶやいたら、テテマーチさんが反応してくださって一緒に開発することになりました。

齋藤香奈さん(以下、齋藤):私はクライアントから依頼を受けて、SNSの運用やコンサルティングを担当していたのですが、以前からブランドのコンセプト設計をプロダクト(商品)を作るところから関わってみたいと考えていました。そんなときに佐々木さんのつぶやきを見かけてお声がけしたことが開発のきっかけです。

——それはいつ頃だったのでしょうか?

齋藤:ちょうど去年の2月頃ですね。そもそも佐々木さんが感じているメイクの課題ってなんだろう? ユーザーのインサイトはどんなものだろう? というのを深掘りしていって、どんな人にどんな価値を提供していくのかを2、3カ月くらいすり合わせをしました。

——その中で見えてきた課題とは何ですか?

佐々木:誰も教えてくれないことをやらなきゃいけないのって、メイクくらいなんですよ。学生時代はメイク禁止なのに社会に出たとたん、「メイクは大人のたしなみ」とされて、自分に似合うメイクを教えてくれる人がいないことに疑問を持っていました。メイクしなければいけないわけではないですが、メイクすることがスタンダードの風潮の中で、誰も教えてくれないのは大変だなって。商品を買うときにちょっと教えてくれるけれど、買ったあとは教えてくれないですよね。

——確かに買った後の商品について教えてもらう機会はないですね。だからせっかくコスメを買っても結局使いこなせなくてしまい込んだり、フリマアプリに売ってしまう人も多いように思います。

佐々木:せっかくコスメが手元にあってもうまくできなかったり、本当はメイクが好きじゃなかったりすると毎朝ちょっと憂鬱(ゆううつ)な気持ちになってしまいますよね。「ああ、今日もちゃんとできなかった」って。だから、まずはメイクが楽しいと思えるきっかけになればいいねというところからスタートしました。

齋藤:私も含めて社内でも同じ悩みを持ってるメンバーが多かったんです。正しいメイク方法が分からないし、気軽に教えてもらえる場所もない。佐々木さんが抱いていた課題にすごく共感しましたし、周りにも同じようなニーズの人がいるのではないかと考え、市場調査をしてみたら、同じような悩みを抱えている方がいることが分かりました。

——市場調査はどんなことをやったのですか?

齋藤:リサーチ会社にお願いしてメイクの悩みを探ったり、弊社が持っているSNSの分析ツールで調査したりしました。商品紹介の投稿よりもメイクのやり方の投稿のほうが反応が良かったりして、市場的にも悩んでいる人が多いことがだんだん分かってきました。

佐々木:僕のSNSでもメイクを簡単にしてからフォロワーが増えましたね。

BeMeに込めた思い…ターゲットは25歳前後の社会人女性

——ターゲット層は定めたのでしょうか?

齋藤:25歳前後の社会人で仕事が落ち着き始めた女性かなと思って、仕事もある程度慣れてきて、自分の見え方や時間にもお金にも余白がある中で、自己投資に関心がある人をターゲットに考えました。

——私は30代後半なのですが、私でも使っていいのでしょうか?

齋藤:もちろんです! 自分に似合うメイクが分からないままという方は多いと思うので年齢にとらわれることなく、ぜひ試していただきたいです。

——「BeMe」というブランド名にしたのは?

齋藤:二つ理由があります。まずは自分自身を知って、自分らしいメイクを見つけようというのがコンセプトなんです。いろいろ考えたのですが「私になる」がシンプルで伝わりやすいのかなと。

もう一つは、インスタグラムの「#beme」というハッシュタグがきっかけです。海外の方が「#beme」をつけて笑顔の自分らしい写真をたくさんアップしているのをみて、輝いていてすてきだなと感じました。この商品を使った方がこのハッシュタグにあるような自信を持った状態になってほしいという願いも込めて「BeMe」というブランド名にしました。

——ほんとだ、インスタを見ると男性も女性もみんな自撮りしていますね。

「メイクは100点じゃないと」って思ってない?

——自信というお話がありましたが、佐々木さんはヘアメイクアーティストとして活動されている中で、自信がない人が多いと感じることはありますか?

佐々木:仕事ではモデルさんにメイクをすることが多いので、そう感じることは少ないのですが、オンラインサロンやSNSでコミュニケーションをとっているとやっぱり多い気はします。

無意識だと思うのですが、「メイクは100点じゃないといけない」という感覚があるように感じます。おうちでできる簡単な料理は100点じゃなくてもおいしく食べるのに、メイクだけ100点でなければいけないと思っている人は多い。70点や80点くらいできたら合格でいいと思うし、もっと気楽に考えてもいいのにと思いますね。でも、それはもしかしたら100点の発信しかしないこちら側の責任もあるのかもしれません。雑誌で「80点メイク」なんて企画を見かけることはほぼないですよね。

——確かにないですね。ウートピでも「手抜き料理上等!」とか「仕事と家事の両立なんて無理ゲーだよ」など、「完璧じゃなくていい」という発信をしているのですが、美容やメイクのHowToに関してはあまりそういう発信をしてこなかった気がします。

佐々木:そうですよね。メイクももっと楽に考えたほうが楽しくメイクできるし、100点を取らなければいけない状況が毎朝やってくるって考えたら結構つらいですよね。もっと気を抜いていいんだよというのは毎回伝えていますね。

——それでちょっとでも失敗すると落ち込んでしまって、そのコスメから手が遠ざかってしまうんですよね……。

佐々木:世の中に正解の発信が多過ぎるのかもしれないですね。イエベがどうとかブルベがどうとか。自分に合ったものが分かるけど分からないという状況に陥っちゃっているのかな。

——まさにそうです! 例えば私はくすみ色が好きなのですが、診断で「イエベ春はくすみ色は似合わない」と出てしまうと落ち込むし、似合う色は確かに失敗がないのかもしれないですが、ちょっとつまらないと思うこともあります。

齋藤:今回、1商品しか出していなくてあえて1カラーなんです。世の中に情報があふれすぎていて何を使ったらいいのか分からない人が多いと思ったので、まずは王道の使用頻度が高くて誰でも似合う色味で作りました。

モデルも一般の女性を起用…パレットのこだわり

——それがこのブラウン系のパレットなのですね。商品について詳しく教えてください。

佐々木:もともとブラウンで作るのは決まっていたのですが、色味をオレンジっぽくするとか何かに寄せることはしませんでした。オレンジっぽいブラウンとか黄味っぽい色ってトレンドですが、あくまでメイクのファーストステップで使いやすいように、まずは王道のブラウンを作りました。

一見4色のパレットですが、質感がそれぞれ違います。眉毛とノーズシャドウ、アイシャドウとマルチに使えるようにしたかったので、最初に決まったのは右下のマットです。次に決まったのが左下のシアーマットでノーズシャドウにもアイシャドウにも使えるちょっと透け感がある色になっています。あとはグラデーションが苦手とかアイシャドウがムラになるのをカバーするためのクリームベースで、最後にラメを入れました。個人的にラメはあまり得意ではないのですが、あったほうがグラデーションをごまかせたり失敗しにくいんです。

齋藤:筆にもこだわっています。眉毛の粉と筆が合うものが全然なくて、アイシャドウをお願いした会社とは違う会社さんを探してきて別々に発注をしました。

——そんな苦労が隠されているのですね。アイタイプに合わせたメイク方法を動画で確認できるのは最大の特徴ですね。

齋藤:一重、奥二重、二重の目の形と、求心か遠心かの目の場所によってアイタイプを6パターンに分けています。動画の配信期限などはないので、LINEとメールで配信するメイク動画でいつでも自分のアイタイプに合ったメイク方法を確認できます。

——アプリではなくラインで配信するんですね。

齋藤:なるべくアプリをダウンロードする手間をかけてほしくないのと、日常で使うアプリにお届けできたほうが楽かなと。あと商品と一緒にお届けする冊子に顔のイラストもつけました。いきなり動画と鏡を見比べながらメイクするのは難しいと思うので、まずはイラストで練習してメイクのコツをつかんでいただければと思います。

——メイク動画のモデルさんはプロの方ですか?

齋藤:実は一般の方に登場していただいています。モデルさんだと慣れていらっしゃるので、あえて佐々木さんに教えてもらいながら自分でメイクする動画を作りました。

佐々木:僕がやっちゃうと、「プロだからできるんでしょ」ってなる可能性もあるので、自分でやってもらっています。

——5280円(税込)という価格設定は?

齋藤:品質を担保しつつ、アフターサポートを充実させるためのコストを考えこの価格設定にしています。

提供するのはメイクのきっかけ…いつかは卒業してほしい

——4月6日に発売されたばかりですが、今後の展望を教えてください。

齋藤:まずは商品について知ってもらうのが第一で、今後はコミュニティを作っていければと。今回のサービスで全部を補うことは難しいと考えているので、リアルとオンラインの両方で個人個人にアプローチしていきたいです。皆さんの悩みを聞いてアウトプットという形で新しい商品も作っていければいいですね。でも、いつかは卒業してほしいという気持ちで商品を送り出しています。

佐々木:自分の発信もそうなんですけど、最初のメイクを好きになるきっかけになればいいだけで、卒業していってもらって構わないんです。きっとメイクのことをもっと知っていけばだんだん高度なことをやりたくなると思うから。

自分で決めていることは「もうトレンドは追わない」で、トレンドを追うと難しくなるし、メイクの意識が高い人が集まる場所になるのですが、トレンドよりも定番を狙っていきたいと考えています。いわゆるトレンドが終わったあとに残るものをキャッチすれば息が長いメイクになると思うので。例えば、最近で言うと「抜け感」も最初はトレンドだったんですが、今はみんな言ってますよね。まずは定番をおさえてそれをきっかけにいろんなメイクをしたいと思ったらどんどん次のステップに行ってもらえばと思います。

——メイクをすると自分のコンプレックスや“欠点”と向き合わざるを得なくなると思うのですが、コンプレックスをどう扱っていけばいいと思いますか?

佐々木:コンプレックスを受け止められるメイクや欠点をポジティブに捉えられるメイクを提案するしかないのかなと思います。でも、結構ないものねだりのコンプレックスもあるんです。

「顔が濃く見えていや」という人がいたとして、濃く見られたい人はたくさんいるんですよね。逆に「平面的な薄い顔がいや」という人もいる。メイクのやり方を工夫するだけでも、きっと自分の顔が魅力的に見えることが分かると思います。

自分がコンプレックスと思っている部分も他の人からみたらうらやましがられたり、チャームポイントに映ったりしていることもあるから。そこをうまく生かしたメイクを提案していきたいですね。

齋藤:私自身、本当にコンプレックスが多かったんです。最近まで目が特にコンプレックスだったのですが、この商品を通じて自分自身のことも好きになりたいですし、同じように悩まれている方も同様にご自身のコンプレックスも含めて、好きになってほしいと思っています。

(取材・文:ウートピ編集部・堀池沙知子)

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