覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
保護司も高齢化で人材不足
最近は清原和博さんをはじめ「更生」のニュースが多くてワクワクしますが、けっこう前から「保護司さん不足」が話題ですね。
ちゅうかカタギの皆さんは、そもそも「保護司さん」てご存じでしょうか? 「犯罪者などの改善・更生を助け、犯罪予防のための保護観察に当たる者。社会的信望などを有する民間人の中から法務大臣が委嘱する」お仕事で、元不良と渡り合うのにノーギャラなんですよ。こんなタダ働きの制度があるのは日本だけやそうです。
記事によりますと、保護司さんは全国で約4万6,000人で、平均年齢は65歳過ぎ。一応「定年」はあるそうですが、なんと78歳。しかも78歳までつとめる人がけっこういてるそうですよ。 問題は、「新しく入ってくる人がほとんどいない」ちゅうことなんですね。
保護司さんになれるのは、だいたいお坊さんとか元教師とかで、定年に近い保護司さんが後任を誰かに頼むそうですが、やりたい人は減ってるんですね。それはそうやろと思います。「ノーギャラで元犯罪者と付き合いたい人」なんか、まずいてないでしょう。
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法務省は、公務員OBとか社会福祉関係の人、会社の社長さんなどにコナをかけるようにしているそうですが、それだけやと追いつかないから、最近は「ギャラの検討も含めて養成や募集に力を入れろ」ちゅう声もあるようです。
今は保護司さんのお仕事を体験できるインターンシップもあるそうですが、その前に誰か忘れてないですか?
瑠美はいつでも行けますよ、保護司さん活動。元校長先生とかエリートさんに、「不良の気持ち」とかわからへんでしょう。有名大学を出てる人に「マジメに生きろ」とか言われて、マジメに生きられるくらいなら、最初から懲役なんか行きません。
ここはね、やっぱり事件を起こしても、その後にがんばっている人が「私も昔はワルやったけど、今はがんばってるし」とか言うたら、お手本になるかなと思います。
瑠美も、ムショでいろんな人を見てきました。事件を起こす理由も人それぞれです。瑠美が聞いても「いや、それはアカンやろ」と思う理由もあるんですが(笑)、それも含めて、共感を持って聞いてあげられるし、ツラくなった時はいつでも相談に乗れますからね。
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いつまでも「次がある」でもアカン
ただ、保護観察中の人を「アカンかったら、またやり直せばええやん」と励ますのか、「『次』はないで」(=こんど逮捕されたら誰も助けてくれへんよ)と緊張させるのかは微妙なところです。少し気持ちに余裕を残してあげるのか、ギリギリ「土俵際」に立たせるのか、ちゅうことです。本人の性格もありますから、どっちが正解かを決めるのは、ほんま難しいんですよ。
ちなみに編集者さんは「『次はない』とか言われたら死にたくなる」そうですが、いつまでも「まあまた次があるやん」でもアカンのです。
まあ瑠美も4回パクられ(逮捕され)て、3回懲役に行って、「五度目の正直」で社会復帰しましたから、結局は本人の自覚しかないわけですが、自分の経験で誰かを励ませるなら、懲役もムダにならへんかなと思います。法務省のセンセイ方には、「元懲役の保護司活動」を、ぜひとも検討していただきたいです。