『家庭教師ヒットマンREBORN!』なぜ女性人気が高い? 主人公・ツナの“ヒーロー”らしからぬ魅力

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2021年04月20日 10:01  リアルサウンド

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 『呪術廻戦』や『テニスの王子様』など、「週刊少年ジャンプ」の連載作品には男性だけでなく女性からも支持される漫画が多い。『家庭教師ヒットマンREBORN!』もまたそんな作品のひとつである。2018年には初の舞台化。原作へのリスペクトを感じさせる演出と、舞台ならではの手法で『REBORN!』の世界観を表現し原作ファンの支持を獲得。その後も2回舞台化され、今年21年の夏には4作目の公開が予定されている。メディアミックスを成功させ、読者から長きにわたり愛され続けている『家庭教師ヒットマンREBORN!』。本稿ではその魅力、特に女性人気の理由について考えてみたい。


 主人公は勉強も運動も苦手な中学生「沢田綱吉(通称ツナ)」。ツナの前に現れたのは、彼をイタリアンマフィア「ボンゴレファミリー」の10代目ボスとして教育するため来日した赤ん坊姿の家庭教師「リボーン」であった。リボーンと共にツナの日常が描かれる学園コメディとして連載を開始したが、単行本8巻「標的62 襲撃」以降はバトル漫画寄りのストーリーが展開される。


 本作を語るうえで作画のうまさは欠かすことができない。繊細でありながら勢いを感じる戦闘シーンの美しさは、多くの読者を虜にした理由のひとつであろう。特にバトル漫画寄りのストーリーとなってからは、話数を重ねるごとに描線の美しさは研ぎ澄まされていく。『マンガ脳の鍛えかた』(集英社)の中で、原作者である天野明は迫力ある絵を描くための工夫を次のように答えている。


「線の数を増やして、密度を上げるようにしました。それと、抑揚をつけるために、筆で線を補強しています。髪の毛やアゴの下なんかのちょっと太くて、影のようになっている部分は、ペンを入れた後、筆で補強したところです。」


 本作が連載していた当時、多くの漫画家はペン先にインクをつけて描く「つけペン」を用いていた。天野はつけペンに加え、筆などの画材も使用することにより、繊細かつ迫力ある作画を可能としていたのだ。


 また天野はアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のキャラクター原案の提供も行っている。この作品も舞台化されており、女性の人気を獲得している作品である。少年漫画らしい迫力ある描写に加え、少女漫画チックに繊細に描かれるキャラクターの存在が、男女問わず多くのファンを獲得した要因なのだろう。


 本作はキャラクターの内面もまた魅力的だ。


 『ワンピース』の主人公「ルフィ」には海賊王、『NARUTO』の主人公「うずまきナルト」には先代を越える忍者になるという目標がある。しかしツナはどうだろう。「ボンゴレファミリーの10代目ボスになる」という作品のゴールは示されているが、本人は10代目になることに対し否定的である。同級生からは「ダメツナ」と呼ばれ自信を持てない姿なども、他のジャンプ作品の主人公とは対照的だ。


『家庭教師ヒットマンREBORN!』9巻(集英社)

 そんなツナであるが、11巻「標的98 20年後のランボ」ではボロボロになったランボを助けるために戦場へ身を乗り出し、16巻「標的143 覚悟」では未知の敵に怯える京子ちゃんを守るために、眉間にシワを寄せ、祈るように拳をふるう。彼の戦うモチベーションはいつも「誰かを守るため」に集約されるのである。本作ではツナを10代目として慕う「獄寺隼人」や愛校心を抱く「雲雀恭弥」など、自身の愛するものを守るために戦いに挑むキャラクターが非常に多い。


 『呪術廻戦』の主人公「虎杖悠仁」も「人を助けろ」という祖父の遺言が戦いに身を投じる動機となっている。他者を思う気持ちが原動力となっているキャラクターの優しさが、多くの人の共感を誘う。


 また学校が舞台であることも本作の魅力のひとつである。バレンタインデーに獄寺らが多くの女の子からチョコレートをプレゼントされる様子や、ツナたちが揃いプールや夏祭りに出かけ親しげにする様子も描かれる。


 激しいバトルシーンや学校生活など、多様なシチュエーションからキャラクターの様々な一面を垣間見ることができる。特に登場人物が学校で過ごす日常を覗くことができるのは、学園コメディ漫画としての側面をもつ本作の大きな特徴だ。魅力的な登場人物の様々な一面を知ることで彼らへの共感をより感じられる点が、長きにわたり作品、そしてキャラクターが愛され続ける理由なのだろう。


■あんどうまこと
フリーライターとして漫画のコラムや書評を中心に執筆。ライターの他に寮母なども務める。Twitter(https://twitter.com/andou_ryoubo)


このニュースに関するつぶやき

  • リボーンは女性って言うか腐った人達に絶大な人気があったからね。主人公のツナじゃなくて雲雀が特に異常に人気があったよ当時は。
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