千葉でも三鷹問題が浮上!まん延防止措置もあまりに複雑な市の境界線に「意味なし」の批判続々

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2021年04月21日 10:30  AERA dot.

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写真JR津田沼駅北口の駅前。パルコは船橋市だが、右隣のビルは習志野市になる(撮影・國府田英之)
JR津田沼駅北口の駅前。パルコは船橋市だが、右隣のビルは習志野市になる(撮影・國府田英之)
 新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」の適用が4月20日、千葉県の5市で始まった。ただ、JR津田沼駅周辺の飲食店や地元住民からは、「市単位で分けるのは意味がない」と早くも県の対応に異論が噴出している。

【写真】隣り合って立っている船橋市、習志野市の世にも奇妙な看板はこちら

 なぜなら、同駅周辺の繁華街は対象の船橋市と対象外の習志野市の境界が極めて複雑に入り組んでおり、「不公平」という言葉では言い尽くせない事態を生んでいるのだ。

「瞬殺でしたよ」

 適用初日の20日午後7時過ぎ。JR津田沼駅北口のとある居酒屋から出てきた30代のサラリーマンの2人組は苦笑いした。津田沼での仕事を終えて6時過ぎに入店したが、あっという間に7時のラストオーダーを迎え飲めなくなってしまった。

「店の人から、あっちの方はまだ飲めると聞いたので行ってみます」

 2人組は足早に店を後にした。

 千葉県内で今回のまん延防止措置の対象となったのは、浦安、市川、船橋、柏、松戸の5市。適用により、5市の飲食店は午後8時閉店、それ以外の飲食店では午後9時までとなる。

「飲食店にとって、一時間の違いは大きいと思います。それとともに、新型コロナの感染拡大防止という意味でも、まん延防止措置の対象は市で区切るのではなく、『津田沼の繁華街』を一体にして考えてほしかった」

 こう複雑な表情で話すのは、JR津田沼駅の北口そばに広がる繁華街「船橋市前原商店会」の大塚智明会長だ。船橋市は20日からまん延防止措置の対象となった。
 一方、同じ北口駅前にある「立ち呑み いわ鬼」店主の山崎興氏はこう語る。

「船橋市の店から、うちの店にお客さんが流れてくれるかもしれないという期待感はあります。ただ、それ以上に店が混みすぎて感染のリスクが高まることが怖いです」

「船橋市から流れてくる」と話すが、実は「いわ鬼」の店舗は先ほどの大塚さんの店からは300mも離れていない。

 同じ北口駅前の繁華街なのだが、こちらは措置の対象外の習志野市。先ほどのサラリーマン2人は、飲みたければ「あっち」。つまり、ちょっとだけ歩いて習志野市側に移動すれば良いと知ったということだ。

  東京のベッドタウンとして栄え、千葉県内の駅で有数の乗車人員を誇るJR津田沼駅。北口の駅前には「津田沼パルコ」を中心に繁華街が広がる。

 南口には高層マンションや大学キャンパスがあり、駅前はきれいに整備されているように映る。が、実は駅周辺には船橋市と習志野市の境界線が複雑に入り組んでいる。

 「津田沼」という住所は習志野市で、JR津田沼駅も習志野市である。なのに、「津田沼パルコ」は名前は「津田沼」でも住所は船橋市。そのパルコに隣接する商業ビルは、習志野市になる。習志野市になる。大塚氏が解説する。

「実はパルコ自体が両市をまたいで建っているんです。パルコのメーンの出入り口が船橋市側にあるので、登記上は船橋市になっているということです」

 パルコ前の歩道をよく見ると、「境界」と書かれた市の境を表す目印を見つけることができる。さらにパルコの裏側に回ると、新京成電鉄の線路沿いに出るが、「自転車放置禁止」という趣旨の両市の看板が、わずか数十センチの間で掲げられている。この間に市境が通っているということだ。

「びっくりするでしょう。この看板の間に自転車を捨てたら、どっちの市が担当するんだろうね」

 歩いていた地元の60代女性はこう言っていたずらっぽく笑った。
 おおざっぱに説明すると、北口駅前から見れば、パルコから北西側の繁華街(左側)は船橋市。南東側(右側)は習志野市ということになる。

 この日もパルコ内の飲食店は20時閉店だったが、隣のビルのファミレスは21時までの案内が出ていた。

「どう考えても、意味のある分け方じゃないですよね」

 いわ鬼の山崎氏も呆れたように話す。

 では、駅の南口はどうか。報道などで「駅南口は習志野市」、との伝えられ方が散見されるが、厳密には事実ではない。

 南口を出て右手の線路沿いを数十メートル歩くと、ほんのわずかだけ船橋市に入る一角があり、この通りにも居酒屋が点在している。

 同じ通りなのに習志野市側の居酒屋は、午後7時を過ぎても入店する客がいて、店の外にもがやがやと話し声が聞こえてくる。

 一方で、その並びにある船橋市側の飲食店店主は前日までの客足がぱったりと途絶え、ため息を漏らした。

「都内に務めているお客様が多いので、午後7時でお酒がラストオーダーではお客様は間に合いません。8時なら何とか来てくださっていましたが、もうゼロになってしまうと覚悟しています。行政の要請だから従うしかありませんが、この差はいったいなんなのか…。本来は飲み屋街を一体としてやるべきことではないでしょうか」

 説明のつかない事態はチェーン店でも同じようで、中華食堂「日高屋」は北口に2店舗、南口に1店舗あるが、住所が船橋市の「津田沼北口店」だけが午後8時で閉店し、他の2店舗は明かりがともっていた。

 同じような問題は12日に措置の適用が始まった東京のJR三鷹駅でもあった。北口は措置の対象となった武蔵野市だが、南口は対象外の三鷹市となり、不公平ではないかと指摘されていた。だが、ここ津田沼はさらに複雑な様相だ。前出の大塚さんは、こう考えを述べる。

「習志野市側の商店会とは例えば夏祭りで協力したりと、ずっと友好的にやってきました。我々は『津田沼で商売をする仲間』、という意識を持っています。もし今後、コロナが収束せず行政側がなんらかの宣言や措置をとるなら、次は『津田沼の繁華街』を一体として考えてほしいと思います」

 切実な意見は、行政に届くだろうか。

(AERAdot.編集部 國府田英之)

このニュースに関するつぶやき

  • 家で飲むとかってのは無理なんだろうか?そりゃ、全然違うって事は理解できますが。酒飲みって寂しがり屋が多いからなぁ、分からないでもないが。
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  • 一部のレアケースを引っ張り出して問題提起されてもね…。市町村単位で分けないと南北や東西に長い都道府県の事を考えると対象地域全体に不利益が生じるのだが…。
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