大阪名物「バッテラ」の語源はヨーロッパから? 実は知らない「箱寿司」の歴史!

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2021年04月21日 16:00  AERA dot.

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写真大阪箱寿司(写真/筆者提供)
大阪箱寿司(写真/筆者提供)
 みなさんは、お寿司といったらどんなお寿司を思い浮かべるでしょうか? 「やっぱり、にぎり寿司!」という方が多いのでしょうか。

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 にぎり寿司はご存じの通り、江戸時代に、せっかちな江戸っ子のために「早寿司」として考案されたものです。

 それまでのお寿司は、魚などを発酵させて作っていました。それが待ちきれないという江戸っ子のために、酢で酸味を出して、江戸前(東京湾)でとれた魚をのせて出したのが始まりと言われています。

 当時のにぎり寿司は、今のおにぎりくらいの大きさがあり、食べにくかったようです。そこで、あるお寿司屋さんが、食べやすいようにと半分に切って出しました。それが、お寿司が2貫で出てくることが多い理由なんです。

 お寿司には、にぎりのほかにも、ちらし寿司や巻き寿司、押し寿司などいろんな種類がありますね。

 筆者が子供のころ、岡山の実家で食べたお寿司といえば、お祭りなどのハレの日に食べる「巻き寿司」か「ちらし寿司」でした。実家で食べていたちらし寿司は、岡山県の郷土料理の「祭り寿司」だったと知ったのは、後に大阪に出てきてしばらく経ってからでした。

 祭り寿司のルーツは江戸時代。備前岡山藩主・池田光政が庶民に倹約を奨励し、食事は野菜中心の一汁一菜にせよとお触れを出しました。それに対し、庶民は魚などの具材を上にのせるのではなく、細かく切って酢飯の中に混ぜ込んで、「これなら一品だろう」としたことが始まりとされています。

 筆者の実家の祭り寿司も、小さく刻んだしいたけやレンコン、肉そぼろなどが酢飯に混ぜてありました。その上に岡山名物のままかりの酢漬けをはじめ、マグロやエビ、シャコ、イカなどの様々なネタが乗った現代版の「祭り寿司」でした。

 日本国内にはこのように、地域に伝わる伝統的なお寿司が無数にあります。みなさんも子供のころに食べた、懐かしい郷土のお寿司の記憶があることと思います。

 筆者が個人的に食べて覚えているのは、富山のます寿司や三重の手ごね寿司、奈良や和歌山の柿の葉寿司、そして京都などで有名なサバの棒寿司などでしょうか。

 そして大阪にも、大阪伝統の押し寿司を進化させた「箱寿司」という郷土料理があります。

 にぎり寿司が江戸で生まれて進化してきたのに対し、大阪では古くから酢飯を木型に入れ、サバやアジなどをのせて、上からぎゅっと押し固めた「押し寿司」が庶民の間で親しまれていました。江戸では、にぎり寿司を屋台で食べていましたが、押し寿司は、主に家庭で作られていました。

 大阪名物「バッテラ」も、押し寿司の一種です。

 酢飯に上に薄く切ったしめさばをのせ、その上に白板昆布と呼ばれる薄い昆布をのせて押し固めたのがバッテラです。バッテラが生まれた明治時代の中期には、サバではなく、コノシロで作っていました。その後コノシロがとれなくなって値段が上がったため、年中安定してとれるサバで代用するようになったんです。

 ちなみにバッテラという変わった呼び名は、ポルトガル語で「小船」を意味する「バッテイラ」に由来しています。コノシロで作った押し寿司が、小船のような形をしていたからということのようです。

 そして、この庶民的な押し寿司を「もっと豪華で、寿司屋にしか作れないものにできないか」ということで、大阪のお寿司屋さんが明治中期に考案したのが「箱寿司」です。

 箱寿司は木型に酢飯を入れたあと、しいたけなどを敷き、その上にさらに酢飯を入れて、最後にマダイの酢漬けや穴子の甘辛煮、エビなどの豪華なネタをのせて、最後に上からぎゅっとと押し固めたものです。押し寿司と違って、切り分けて食べることが多かったようです。

 このように箱寿司はそれなりの手間ひまがかかることもあり、出す店も減ってきているようです。

 くら寿司では、4月22日にオープンする、グローバル旗艦店「大阪・道頓堀」のオープン記念として、マグロ、エビ、コハダ、サーモンを使った「大阪箱寿司」を、期間限定で、道頓堀店と、東京の浅草ROX店で販売します。同時に、この二つのお店では、アメリカの郷土寿司とも言えるロール寿司や、台湾のくら寿司でしか味わえない珍しいお寿司も味わえます。

 興味がある方は、ぜひこの機会にどちらかのお店で召し上がってみてください。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

※AERAオンライン限定記事

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  • バテイラ=舟。小舟はバルキーニョ。大きな船はナビオ。梅田ナビオは船の先端に似ているからそう命名。ちなみにバテリアだとドラムやサンバ打楽器隊。
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