行列ラーメン店で横行「仲間に合流」しての割り込みは処罰できる? 専門家の見解は

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2021年04月22日 11:30  AERA dot.

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写真「代表待ち」をやめるようお願いする都内の人気ラーメン店の貼り紙(※記事中の店とは関係ありません)
「代表待ち」をやめるようお願いする都内の人気ラーメン店の貼り紙(※記事中の店とは関係ありません)
 人気ラーメン店で、行列にあらかじめ一人が並び、店に入れそうな頃になると仲間がやってきて「割り込む」ケースが後を絶たない。後ろの客にとってはたまったものではなく、店側も貼り紙などでこうした行為を慎むよう注意喚起しているが、客同士のトラブルに発展することもある。

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 そもそも、こうした「割り込み」は違法行為ではないのか。何らかの処罰はできないのか。ラーメン好きで知られ、各地の名店に足を運んでいる「ラーメン弁護士」の見解は後述するとして、まずはこんな場面から。

 今年3月中旬。東京の東部にある人気ラーメン店で、客同士の“小競り合い”が起きた。行列に並んでいた中年男性の数人前に一人の女性がいたが、突然、その仲間の男女3人が現れ、列に加わった。

「ダメだよ、入っちゃ」

 男性が最後尾に並び直すように呼び掛けたが、

「前から来てましたから。車の中で待ってただけなんで」

 と男女は開き直った。

 男性がさらに注意しようと近づくと、「なんですか。ちゃんと間隔あけてくださいよ」などとソーシャルディスタンスを持ち出し、結局は並び直さず、男性より先にラーメンにありついた。

 同じ列にいて一部始終を目撃したという自称ラーメンフリークの男子大学生は、「(注意をした)おじさん頑張れっ!て思いましたよ。何度もこういう目にあいましたけど、平然とした顔で行列に入ってくるから余計に腹が立つ。なんであいつらが先に食って、まじめに並んだ自分たちが後なのか」と憤る。

 これらは「代表待ち」と呼ばれる行為だ。だが、例えばファミレスなら代表者の名前と人数をあらかじめ記入してから待つため、後から来た客も、どのくらい並んでいるかは最初に分かるし、その後、割り込まれる可能性は低い。一方でラーメン店の場合、多くの店舗はそうした仕組みがなく、突然、自分より前に入り込まれ、後ろに追いやられてしまう形だ。

 早く食べたいのをがまんして頑張って並んでいるのに、さらに待たされてしまうのだから、たまったものではない。お目当てのメニューが売り切れてしまうリスクだってある。

 この店も、客同士のトラブルにつながるため、こうした代表待ちによる「割り込み」を慎むよう、店外に貼り紙を掲示している。だが、女性店員は嘆く。

「店側から声をかけても『ルールを知りませんでした』と言われてしまうと、それ以上は強くお願いできません。あとは『家族ですから』と、ある意味で堂々とされたり……。逆に、他のお客様から、もっとちゃんと注意しろ、と叱られたこともたくさんあります。整理券を配るという方法も検討はしましたが、新型コロナで売り上げが厳しい状況で、そのために従業員を増やすことは難しいという判断になりました」

 そもそも、こうした「割り込み」行為は法的に許されるのか。

 ラーメンを週に最低1回は食べ続けて20年。「ラーメンソムリエ」を自認する弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏弁護士は、「私自身、『代表待ち』で前に入られてしまったことは数多くあります」と自身のラーメン人生を振り返りながら、こう解説する。

「一般的な行列への割り込みについては、軽犯罪法違反に問われる場合があります。ただし、その対象となるのは主に公共の場、例えば電車やバスに並ぶ列などの限定された場面に限られています。残念ながらラーメン店など飲食店の行列に割り込んでも、完全な割り込みか『代表待ち』かを問わず、軽犯罪法違反には当たりません」

 櫻井弁護士が示した軽犯罪法の第1条13号を見ると、「公共の場所で、多数の人に対して乱暴な言動で迷惑をかけたり、威勢を示して公共の乗り物、演劇などの催し、割り当て物資の配給の列に割り込んだり、その列を乱すこと」を禁じている。

 確かに、どんな割り込み方をしたかの問題以前に、飲食店が対象に入っていない。演劇は入っているのだが…。

 さらに、櫻井弁護士は続ける。

「次に、民事上の不法行為が成立するかという点ですが、割り込みが違法な行為になるかどうかや、それによって何らかの損害が生じたと立証するのは難しいと考えます。また、もし仮に、割り込まれたことでラーメンが売り切れてしまい、せっかく並んだのに食べられなかったとします。そこで、精神的苦痛を受けたとして割り込んだ相手に損害賠償を求め、裁判所が違法な行為であるとして万が一、賠償を認めたとしても、賠償額は良くて1万円くらいではないでしょうか」

 つまり、裁判にかかる費用を考えた場合、まったく現実的な話ではないということだ。

 注意した結果、相手とケンカになってしまったら、暴行罪や傷害罪に問われるかもしれない。さらに、そのケンカの様子を撮影した動画がメディアやネット上に拡散され、店に客がまったく来なくなるなどの大損害を負った場合、店側から賠償を請求される可能性も否定できないという。

 わざわざ注意して損をするなら、結局、割り込みであろうが「代表待ち」であろうが、「被害者」はこらえるしかないのか。

「道義的な問題ですから、注意をすること自体は良いと思います。私は、店が『代表待ち禁止』の注意書きを出している場合、その当事者に声をかけて並び直してもらっています。ただ、逆に注意書きがない場合、店がルールを設けていないということなので、なかなか注意はしづらく泣き寝入りせざるを得ないように思います。対策は店側にゆだねる部分が多いと考えますので、もっと多くのラーメン店が『代表待ち禁止』の姿勢を打ち出して、列に入り込みづらい雰囲気が形成されることを期待しています」(櫻井弁護士)

 グッとがまんが必要だ……。

(AERAdot.編集部・國府田英之)

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  • そこまでするなら、他に行く。めんどくさい。
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  • ん?店側が、名前と、何名かの欄を入れた予約名簿を用意すればいいだけでは?
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