【インタビュー】Huluオリジナル「息をひそめて」村上虹郎「僕はコンプレックスだらけ」“2世”としての思いを吐露

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2021年04月23日 10:11  エンタメOVO

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写真村上虹郎
村上虹郎

 映画『四月の永い夢』や『わたしは光をにぎっている』などで知られる新進気鋭の映画監督・中川龍太郎が監督・脚本を手掛けたHuluオリジナル「息をひそめて」が4月23日からHuluで一挙独占配信される。本作は、新型コロナウイルスで先が見えづらい中、多摩川のそばで暮らす市井の人々に光を当てた物語。第3話「君が去って、世界は様変わりした」では、彼女に振られた傷が癒えない心平(村上虹郎)が、マッチングアプリで「琴子」(安達祐実)という女性と出会い、体を重ねていく姿が描かれる。村上に、初共演となる安達とのエピソードや、撮影の裏話、さらには自身のコンプレックスについて語ってもらった。




−本作は、中川監督らしい魅力の詰まったオムニバスドラマになっていますが、村上さんは本作の話を聞いて、まずどんなことを思いましたか。

 中川監督とは、僕が16歳の頃からの付き合いで、一緒にご飯に行ったり、映画を見たりするような仲なんです。ですが、ここ最近は少し距離が空いていたので、久しぶりに監督の名前を身近で聞いて、それがオファーだったのでうれしかったです。中川監督は、単館上映の映画作品を作るイメージが強いので、Huluでのドラマというのは意外でしたが、最近の作品を見ても、他人にフォーカスするような方向に変化してきたのを感じていたので、楽しみでした。

−主人公の宮下心平は、ごみ収集業に従事する24歳の男性という設定です。村上さんは、心平をどのように捉えて演じましたか。

 彼は文学を愛していて、小説家になりたいと思っています。でも、現状では、分かりやすい“どん底”にいる。自分と似た人間も周りにいないし、自分と共通言語を持っている人間もいない。きっと仕事場でもあまり心の交流をしていなくて、基本的に孤独なんだと思います。その中で、元カノの琴波の存在は大きかった。彼女との時間は夢のような世界だったんだと思います。だから、あれだけ引きずっていた。(心平は)価値観を塗り替えたり、日常の中で新しい世界に出会うことがない人間なので、(引きずるのは)それはそうだよな、と。青い人間だとは思いますが、決して浅い人間ではないと思います。

−安達さんとは今回が初共演でしたが、撮影はいかがでしたか。

 本当に短い時間での共演だったので、それほど深く知り合えたわけではないですが、最初にお会いしたのがクランクイン初日の夕方でした。その日は、それまで(琴波役の)横田(真悠)さんとのシーンを撮影していて、夕方からは安達さんとのシーンだったのですが、撮影前には監督も交えて、3人で話をする時間がありました。まあ、でも、3人で話をするといっても監督が特に話を回すわけでもなかったので(笑)、「現場に来る前は何をしていたんですか?」なんて話をしていました。「どんな恋愛をしてきたんですか?」とか聞いてみたり(笑)。

−結構、突っ込んだ話をするんですね(笑)。

 気になるじゃないですか、だから思い切って聞いてみようと思って(笑)。圧倒的に自分とは違う感覚を持っている方なんだろうなと思って、どんな人なのか知りたかったんです。いろいろなことを話してくださいましたが、でも、まだ全然つかめていません。

−今回、安達さんとはラブシーンもあります。中川監督にとっては男女の絡みのシーンを撮影したのは、村上さんたちのシーンが初めてだったそうですが、監督からはどんな演出がありましたか。

 台本では1、2行しか書かれていなかったのですが、実際に撮影が始まると、思った以上にカットが多かったです。ああ、こんなに撮影するんだ。監督は、あまり台本には書かずに気合いを入れるタイプなんだな、と(笑)。特に、最後に手を握るところは、すごく徹底して角度まで演出していました。それから、琴子にワンピースを着せて抱きつくシーンも印象的でした。琴波を求めているのか、琴子を求めているのかはあいまいになっていますが、でも確実に女性を、母性を求めていることが分かるシーンでもあるので、印象深いシーンになったと思います。

−劇中には、心平が学歴や育ちにコンプレックスを抱いていることが分かるシーンも登場しますが、村上さん自身はコンプレックスはありますか。

 僕、コンプレックスだらけですよ。例えば、顔が小さいこともコンプレックスです。やっぱり、スクリーンではがたいが良くて、顔も大きい方が映えるんです。もちろん、自分の持ち得ている中性的な部分などは、僕の良さでもあるとは思いますが、物理的に男っぽいものに憧れます。

−そうしたコンプレックスは、自分の中でどう消化しているんですか。

 前世や来世があるのかは分かりませんが、とりあえず、今世はこれなんだなって。自分は憧れるものが多過ぎるんだと思います。僕は、親が好きですし、親の表現も好きですし、親の子どもであることを誇らしく思ってはいますが、それと同時に名無し草からやりたかったなと思うんですよ。役者だけじゃなく、音楽もそうですし、さまざまな職業で世襲はありますし、ある意味、人は全員何かの世襲ではあると思うんですが、芸人さんには世襲がほとんどないんです。それが一つの答えなのかなと思います。映画『ソワレ』で共演した芋生悠さんという女優さんは、熊本の畳屋さんの娘で、あるきっかけがあって映画を愛して、演劇を愛して、その思いを抱えて東京に出てきて女優になったそうです。そういう話を聞くと、やっぱり憧れます。そういう話を聞きたい、って。普段、結果的に2世で集ってしまうことが多いんです。だからこそ、僕とは違う環境の人の話を聞きたいんです。

−最後に作品を楽しみにしている人たちにメッセージを。

 中川龍太郎氏をご存知ない方は、これを機にぜひ知っていただけたらと思います。そして、今回の企画は、とても新しいものだとも思います。映画とエンターテインメントは二極化している部分があったので、こうした動画配信サービスでそういった垣根をなくして、一つの作品として作られるのは面白い。どこの出身だとか、どこでやっていたとかは関係ない。Huluをはじめとした動画配信サービスが、そういうフィールドになっていると思います。そういうフィールドがやっと日本にも現れたので、これからはきっと楽しい世界になると思います。それをぜひ目撃してください。

(取材・文・写真/嶋田真己)


Huluオリジナル「息をひそめて」


 Huluオリジナル「息をひそめて」は4月23日からHuluで一挙独占配信スタート。

公式サイト https://www.hulu.jp/static/ikiwohisomete/

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