地震続くトカラ列島に近年人口増の島 海賊「3億ドル?」の財宝隠し伝説残る宝島とは

0

2021年04月23日 11:30  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真※写真はイメージです(gettyimages)
※写真はイメージです(gettyimages)
 7つの有人島と5つの無人島の計12の島々がある鹿児島県・トカラ列島(十島村)。その近海で今月9日から260回を超える有感地震が続いている。21日朝7時45分にも悪石島で震度4を観測した。

【トレジャーハンターが選んだ「埋蔵金伝説」ベストテン!】

 実は、十島村はここ10年ほど、若い人をはじめ人口が増えていることで知られる。なかでも、有人島のうちのひとつ、宝島(人口131人)はその昔、イギリスの海賊キャプテン・キッドが財宝を隠したという伝説が残る。その財宝は1億ドルとも3億ドルともいわれる。この伝説は未確認だが、宝島では、明治10年前後まで旧島津藩が金鉱採掘をしていたことも、伝えられている。

 その宝島からの出身者が一時約300人を超えていた「宝島村」が、東京都文京区にある。この宝島村については、公益財団法人日本離島センターの季刊「しま」の連載「島の精神文化誌」で、筆者の順天堂大学講師・土屋久さんが詳細に触れていた。

 文京区小石川に住む杉田ハルコさん(83)も、その一人。地震があった12日、宝島に住む友人らに電話をかけた。

「あまり揺れなかったみたい。地盤がしっかりしてるから。台風の方が怖いのよ」

 前述のとおり、悪石島ではこれまで震度4を数回観測するなど不安が広がっていたが、およそ50キロメートル離れた宝島は、それほど大きな揺れではなかったという。

■東京都心の「宝島村」

 ハルコさんが上京したのは昭和31(1956)年、19歳の時だった。長兄の故・大久保清さんが社長になって製本会社「清光社」を設立。以降、宝島から同社に知り合いを呼び寄せて、社業を拡大。ハルコさんは夫の杉田稔さんと同38年「栄進堂」を独立させるなど、一時は製本工場を4カ所に拡張した。「週刊朝日」や「AERA」の製本も引き受けていたという。

 ハルコさんは今でも毎日のように、宝島や周囲の島々の友人に電話をする。最近、電話した一人が、宝島在住の前田明子(めいこ)さん(69)。以前に受け入れた経験がある「山海留学生」の里親をもう一度やりたいな、という雑談をしたばかり。

 ハルコさんが寝る間もなく働いていた高度成長時代には、故郷の島から働き手がやってきたが、日本全体が人口減少に突入した2015年の国勢調査で、十島村は人口が756人と5年間に15.1%増え、増加率は全国の市町村で第2位だった。今年4月15日現在686人と減少に転じているが、島には若い人が目立つという。なかでも、各島の小中学校への山海留学生が、今年は42人とこれまでの最高を記録し、村内では話題になっている。

 前田さんは、20年余り前に山海留学制度の「里親」をやったことがある。先日亡くなった夫も当時は元気で、鹿児島市内の小学4年と5年の兄弟を預かった。1学期間「わが子と同様に暮らした」が、夫が体調を崩したため、夏には中止した。

「でも、その子たちは20年経ってから、タイムカプセルを掘り返すために小学校に戻った時に、うちに寄ってくれたんですよ。うれしかったあ。自分の3人の子たちより、一回り下。子育てにいろんな反省があったけれど。きちんと怒れる里親じゃなくっちゃ、と思ってる。もう主人もいないし」

■転入者と転出者

 島北部の集落にある、「イギリス坂」を上ったところにある一軒家は「広いから、2,3人は預かれる」と話す前田さんだが、周囲には「里親」がたくさんいる。「地域のみんなで育てるんです。みんながきてくれる。うちの兄夫婦と、主人のいとこの妻とその姉も里親。中学の修学旅行以来つきあっている小宝島と諏訪之瀬島の同級生も3人ずつ預かってるわよ」

 今年、最高の42人となった「山海留学生」は、1991年に始まって以来述べ419人がやってきた。2002年に初めて二けたの10人となり、一昨年で初の30人、昨年33人。宝島小中学校(全校23人=小学生18、中学生5)には、4年目と3年目が一人、2年目が3人いて、今年2人が加わった。「新入生にどんな子が来たか、島のみんなが知っているわよ」と前田さんは言う。

 ただ、留学生は「人口増」の要因にはなるが、高校に進学するときは、島を離れる。同村の定住対策室の担当者によると、最近3年間では転入者の定住率が約7割だという。

 せっかく移住した人たちにはできるだけ長くいてもらおうと、同対策室は2年前に、定住サポート推進委員会を各島の住民で組織。農業や漁業、畜産などの独立した職業に就けるよう支援に力を入れている。また、Iターンばかりでなく、島で生まれた人たちの「Uターン」にも積極的な財政支援を、という声も少なくない。島の「これから」がかかっている。(ジャーナリスト・菅沼栄一郎)

※AERAオンライン限定記事

    前日のランキングへ

    ニュース設定