“超極貧”のローカル鉄道が、なぜ存続し続けられるのか?

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2021年04月23日 20:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『廃線寸前!銚子電鉄』(寺井広樹/交通新聞社)
『廃線寸前!銚子電鉄』(寺井広樹/交通新聞社)

「経営破綻」「倒産目前」「赤字経営」といったマイナスイメージなワードとともにテレビやSNSで話題の、千葉県銚子市を走る銚子電鉄。全長6.4km、終点までわずか19分の弱小ローカル鉄道が、逆境の中、なぜ存在し続けられるのか。その秘密に迫っているのが、『廃線寸前!銚子電鉄』(寺井広樹/交通新聞社)という大胆なネーミングの本だ。

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 銚子電鉄にとってのターニングポイントの一つは、2012年、顧問税理士の竹本勝紀氏が代表取締役を引き受けたことにあった。当時の銚子電鉄は、預金残高50万円、借金2億円の、すでに倒産ぎりぎりの状態。地域に必要とされ、全国にファンが多いローカル鉄道であることは今も変わりないが、莫大な維持費がかかるにもかかわらず、県や市からの公的な補助金も打ち切られていた。

 経営難に立ち向かうため、竹本氏は常人には思いもよらない手段に打って出た。2018年、「経営をどうにかしなきゃいけない、このままではまずい」とスナック菓子「まずい棒」を販売し、2020年、「このままでは本当に廃線になって電車が止まってしまう。止めてはいけない」と映画『電車を止めるな!』を制作・公開した。いずれも悪ふざけではなく、本気のチャレンジだ。


映画『電車を止めるな!』のパンフレット

 竹本社長と銚子電鉄によるチャレンジはこれだけにとどまらない。「Official銚電ism激つらチャンネル」というYouTubeチャンネルを開設しYouTuberとして社長本人が赤裸々なメッセージを発信したほか、「線路の石」や「犬釘栓抜き」、社員さんのブロマイドなどが入った「闇袋」などの販売、「お化け屋敷電車」を運行し、地元の大学生や高校生たちをゾンビ役に抜擢して地域活性化にも貢献している。

 本書の著者は、「まずい棒」を考案者であり、『電車を止めるな!』の原作者であり、「お化け屋敷電車」のプロデューサーである寺井広樹氏。至近で銚子電鉄を見てきた人物ならではの視点で、バカバカしくも大真面目な取り組みの数々を丁寧に紹介している。「まずい棒」という限りなくグレーで、デンジャラスなアイデアを、どうやって商品化させ、ヒット商品としてブレイクさせられたのか、ブレイク後にどんな展開をしているのか、といった暴露話も興味深い。

「本書にて、皆さまに銚子電鉄を知っていただき、銚子電鉄の在り方が皆さまにとっても新しい発想のヒントとなれば幸いである」と、寺井氏は書いている。『廃線寸前!銚子電鉄』は、人口減少やマイカー社会進展を背景に厳しい経営状況が予想される日本全国のローカル鉄道関係者、さらには昨今のコロナ禍で苦境に立つ中小企業経営者にとっても、逆転への手がかりとなるのではないか。もちろん、幅広い鉄道ファンが楽しめる1冊でもある。ぜひ手に取ってみてほしい。

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