「CAT 4WD 走行2m キーレス」 中古車情報誌に載った“子猫の里親募集広告”が話題に 出版社と広告主に話を聞いた

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2021年04月23日 21:13  ねとらぼ

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写真19年前に“中古車情報誌”に掲載された広告
19年前に“中古車情報誌”に掲載された広告

 約19年前の中古車情報誌に掲載された「猫の里親募集広告」の写真がTwitterに投稿され、その意外性と、広告のセンスの良さに7300件以上のリツイート、1万7000件の「いいね!」がつき、話題となっています。



【画像:中古車情報誌に子猫の里親募集が】



 「大切に育ててくださる方 5匹限定」――中古車情報誌に掲載されたこの見出しは、2002年5月発行の月刊フリーペーパー「中古車情報誌 オートゾーン 滋賀版」に掲載された“子猫の里親募集広告”のものです。広告をよく見ると、「4WD」「走行2m」「キーレス」「本革」「CAT」など、車に模した子猫たちの情報が記載されています。



 Twitterを投稿したのは滋賀の覆面JZS155Z(@JZS155Z_shiga)さん。19年前に飲食店で子猫の記事を読み、面白いと思って雑誌を持ち帰りました。そして数十年後、部屋を整理して本を見つけ、Twitterに投稿。予想外の反響に驚いたとのことで、「あの当時、ネットや里親ボランティアが今より多く無かったはずで、中古車情報誌の枠を使うとはナイスアイデア、店主様の責任感を感じると思った」と話してくれました。



 確かに当時は、保護猫団体やボランティアの数も少なかったことでしょう。その中でなぜ“中古車情報誌”に子猫の里親募集を載せたのか? ねとらぼでは、当時を知る出版社「ZONE」、広告主「岡野自動車」に話を聞きました。



少し“緩い部分”のあった時代だからこそできたこと



 滋賀県に本社を持つ出版社「ZONE」が発行している「中古車情報誌 オートゾーン」。この子猫の里親募集広告が掲載された19年前の担当者は退職されていましたが、当時を知る社員に話を聞くことができました。



――19年前の雑誌がTwitterで話題になっていることについて、どう思われましたか?



 まさかそんな昔の雑誌のことが話題になっているとは……驚きました。



――中古車情報誌に子猫の里親募集を掲載したのはなぜですか?



 当時は広告面に車以外の情報を載せることもありました。その流れで広告主の岡野自動車さんより子猫の里親募集をお願いされ、掲載しました。ただ、子猫の里親募集は岡野自動車さんだけで、その他に掲載したことがあるのは、バイクやプロショップのタイヤ、アルミなどのカー用品、トラック会社のコンテナなど、車関係のものです。



――里親募集は何回ほど載せましたか? また里親はすぐ見つかったのでしょうか。



 はっきりと覚えていませんが14〜5年前まで複数回載せています。里親は毎回すぐ見つかったようです。



――センスある誌面ですが「走行2m」などのアイデアはどなたの発案でしょうか?



 当時の担当者が、「コラム(C)オートマ(AT)って頭文字“キャット”て読むから面白いな」などアイデアを出していました(CAT=ハンドルの横にシフトレバーがついているオートマチック車のこと)。



――現在の誌面では、このような車以外の広告は掲載できますか?



 19年前と同じように、「販売車情報の枠」に掲載することはできませんが、広告内のフリースペースに載せることは可能です。タウン情報誌の側面もある雑誌なので、見ている人が楽しくなるような内容であれば大丈夫です。



 この枠に載せられたのは、19年前の、少し“緩い部分”のあった時代だからこそでしたね。



“幸せになりや”って子猫たちを見送ってました



 滋賀県の自動車整備工場「株式会社 岡野自動車」。広告を出稿した当時は、社長夫妻お2人で経営していたとのことです。前社長夫人の岡野さんに話を聞きました。



――19年前の雑誌がTwitterで話題になっていることについて、どう思われましたか?



 19年前の記事に今頃火がついたことを、何か喜ばしく思います。7年前に亡くなった主人(前社長)に状況を報告いたしました。



――中古車情報誌に里親募集を出稿したのはなぜですか?



 当時は主人と2人でほそぼそと修理販売を営んでおりまして、雑誌に掲載する車がなかったのと、たまたま(家の)猫がよく出産して、何とかこのかわいい子猫たちを誰かにもらっていただけないかと思い、当時の担当の方に相談してみました。



 担当の方も猫好きで、快く引き受けてくださいましたが、動物愛護に引っ掛かるかもしれないという懸念もあり、1度だけ載せてみようとなりました。



 掲載の内容は主人と相談しながら、4WDにしようかとか距離は数メートルにしようか、など考えました。



――子猫の里親募集の広告への反響はいかがでしたか?



 初回掲載の際はすごい反響で、雑誌配布当日から“猫まだいますか?”の電話が1日に何件もありました。その後も反響があったので年に2回ほど、子猫が産まれたときに載せていたと思います。2回目からも、早い時は2〜3日でもらわれていきました。掲載後1カ月は問い合わせが続き、数カ月たって忘れた頃に“まだ猫いますか?”という電話もよくありました。



――当時、子猫たちを譲渡する時はどのようなお気持ちでしたか?



 子猫の譲渡が無料だということに驚かれ、“本当にただでいいんですか?”とよく聞かれましたが、かわいがってくださるなら結構ですよと言ってました。皆さんうれしそうに帰られるのをみると“幸せになりや”って心の中で見送ってました。



――里親さんが決まった子猫たちの、その後はご存じですか?



 しばらくは“こんなになりました、ありがとうございました”と写真をもって立ち寄ってくださる方もいましたし、市内の方でしたら仕事で訪問すると“こんなに大きくなったんですよ”って猫の話に花が咲くことが多かったです。



 残念ながら、今現在は分かりませんが、おそらく約20年もたっているので寿命が来てるかと思います。



――会社の公式Instagramで看板猫「モコ」ちゃん(12歳、♀)の写真を拝見しました! 猫ちゃんがお好きなんですね。



 一時期はおうちに猫ちゃんがいない時期もありました。でも寂しくて息子(現社長)の友人から譲ってもらうこともありました。



 Instagramに載っている「モコ」は、母猫がいなくなったため、私が赤ちゃんの頃からお世話した子猫のうちの1匹です。モコは自分のことを人間と思っているようで、お客さまが来ると私たちより先にお出迎えしていたり、猫好きのお客さまの膝の上に乗ったりして、かわいがられています。



(了)



 現在よりも猫の里親を探すのは大変だったであろう19年前、産まれた子猫たちにどうか優しい飼い主さんをと、中古車情報誌に広告を載せることを思い付いた岡野さん、そしてそれを快く受けいれたZONEの担当者さん。



 “少し緩い”時代だったからこそできた異例の広告掲載ではありますが、そこにあるのは、猫を思う人たちの優しさと絆。その絆のおかげで子猫たちは新しい飼い主さんが見つかり、その後もあたたかな人生を送ることができたのでしょうね。



 1つのツイートから知ることができた、19年前の人たちの絆。その時代ならではの、心があたたまる出来事でした。



画像提供:株式会社ZONEさん/岡野自動車(@okano_car)さん


このニュースに関するつぶやき

  • センスいい広告。ニャンコかわいいし、面白い。
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